Snow17 計画
その日はお日様がぽかぽかしてて日向ぼっこ日和かと思いきや、風が強くてそれどころじゃなかった。本当に冷たい風だったの!風さえなければあったかい1日だったのに、と思った日だったな。
日が暮れ始めた頃、悠太がやってきた。
「ゆかさ、僕だよ。風が冷たいね」
2人でひなあられを食べながら、話していた。
「今日は風が強いね」
「うん、そうだね。今日は日向ぼっこができると思ったのに」
「たしかにね。僕、窓際の席なんだけど、あったかくて寝ちゃいそうだった」
2人でそう言って笑った。
久しぶりに食べたひなあられは甘ったるく感じた。それで思わず言っていた。
「このひなあられ、甘いね」
「うん。甘ったるく感じる」
悠太もそう言って苦笑いをした。
「ねぇ、ゆかさ」
「なあに?」
「いつかさ、一緒に出かけたりとかできたらいいよね。楽しいと思うんだ」
悠太の提案に、私はすぐに乗った。
「いいね!行きたい!いつ行く?」
「じゃあ決定だね!行く場所も決めちゃおう。
ゆかさはどこに行きたい?」
「そうだね……なら私、銀河街に行きたいな」
——銀河街。
それは、私が住んでいた街の隣にある街、夜見月市の別名だった。由来は美しい夜景が見える場所と美しい星空が見える場所の両方が街に存在することだといわれていた。私が大好きな街だったの。
「銀河街!ゆかさ、あそこ好きなの?」
悠太が驚いたように訊いてきた。
「うん、大好きだよ」
「僕も!僕も大好きなんだ!夜景が本当に綺麗だし、なんか街全体が優しい感じがするよね」
「そうそう!星も綺麗だし、時期的に桜も咲き始めているかも!」
悠太も銀河街が好きと聞いて本当に嬉しかったなあ。
「なら銀河街に決定だね!
銀河街の中でも特にここに寄りたいとかある?」
「うーん、夜見月駅周辺を歩きたいな。あそこは銀河街の中心地でしょ?あとは……星原駅の近くに美味しいパン屋さんがあるんだけど、知ってる?」
「知ってるよ!『ベーカリー モナット』でしょ?」
「そこそこ!そこにも行きたいなぁ」
「いいね!僕も久々にモナットのパン、食べたいな。
僕は夜見月駅側に流れてる舟咲川沿いを歩きたいな、と思ってるんだけど。あそこ、綺麗な桜が咲くでしょ?時期によっては屋台も出るしね。川沿いをずっと歩いていくと高台に出て、夜景も星空も綺麗に見えるし!」
「たしかに!」
私はその時、とにかく悠太と話が合ってばかりで嬉しかったし、興奮してたかな、と思ってるんだ。
「じゃあ、日取りは詳しい予定はまた後日に決めようか。僕、まだ晩御飯食べてないんだ」
「うん、分かった。またね」
「またね」
そう言って別れた後、気付いた。
あの甘ったるいひなあられが、いつのまにかなくなっていたことに。
(あれ、いつ食べきったんだろう)
話に夢中になっていて、覚えていなかった。




