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釣りガールの異世界スローライフ ~釣りスキルで村を大きくします~  作者: いかや☆きいろ
最終章 釣りガール、異世界を釣る。

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釣りガール、シーサーペントと戦う

 いよいよ大詰めです。

 十五歳になった。


 戦争を終わらせ、私はカイル君とナミエの二人と合同結婚式をした。

 三人で話し合った結果こうすることにしたのだ。これがナミエも突撃した理由である。


 しかしやっぱり女同士の結婚は禁忌らしいので表向きは私とナミエが二人ともカイル君の妻だ。ナミエはまだ十四なので籍も入れてない、本当に形だけの結婚式だった。

 詳細な内容は省くが、私がナミエにキスしたことで会場が爆発するように沸いたり、それは幸せな結婚式だった。


 余談だが、グラル女王国ではシオ女王様とメラヒお母様、マンサ様の三人の働きでこれから同性婚が認められるようになった。個人的には子供が残せない同性婚は国力低下の一因かな、とは思うが、私は貴族としても末席だしナミエと結婚した当人なので……こんな政治的な話私に分かるか! ってことでマンサ様に丸投げした。

 まあナミエを好きになったのは事実だ。めっちゃ仕事任せたしね……。可愛いナミエに報いたくなったからこうなったんだ。

 愛ってこう言うものなんだと思った。同情も憐憫も愛故じゃないかな?





 そして私は今、シーサーペントと対峙している。

 マンサ様からも許可を得て船を出した。


 私の人生には最後に三つの目的を残している。


 二つは釣りだ。

 このシーサーペント釣りと、そしていつかバハムートを釣りたい。

 最後もう一つは、ちょっと恥ずかしいのだが、……子供を残すことだ。


 ……子供を残すって大変なんだね。

 大変なことをした。なぜかナミエも参戦した。内容は恥ずかしいので話したくない。

 今はシーサーペント釣りだ。


 敵はすでに私の船の周りを泳いでいる。餌は釣っておいた魔物サンマ。

 名前は女神様が変えてフォールンエクスカリバーに……なぜ悪化した?


 とにかくそれを餌にしてシーサーペントを釣り上げる。


 シーサーペントはデカい。強い。

 二十五メートルを超える大物が餌に食らいついた。

 海を割り、水のブレスを吐いてくる。


 それを私は結界でそらし、弾き、打ち返す。

 体力を奪い、魔力を奪い、生命力を奪う。

 長期戦だ。しかしラインは過去最強の五十ポンドラインにレベル七十を超えた私の魔力を込めまくっている。


 釣り上げる。釣り上げてみせる。

 この世界のお父さんの仇だからではなく。

 私の人生の目的だからでもなく。

 誰かとの約束だからでもなく。


 私が、釣りガールだから!


「キシャアアアアアアアアッ!!」

「釣~り~上~が~れ~っ!!」


 隣ではカイル君とナミエが攻撃スキルを放ち続けてくれている。

 とどめはいつも通り、私の麻痺攻撃だ。


 ――――釣れた。


「やった」

「やったやった、やったね!」

「キマシタワーッ!!」


 二人に両脇から頬にキスされる。

 私は遂に、シーサーペントを釣り上げた最強の釣りガールになったのだ。





「これがシーサーペント肉ステーキ……」

「料理人カイリの全ての技術を使ったわよ!」

「う、うまそうなかおり……」


 最後のはアタルだ。うん、カイリちゃんもアタルを釣り上げた。

 ちなみにマンサ様もノット君を釣り上げてナミエに「オネショタも良いものですわ」とか、意味が分からないことを言われていた。まあみんな幸せ。


「まずステーキって言うのはね、肉を柔らかく、血生臭くなく肉汁を楽しみ、脂や肉質を表現して肉を食べた実感があることが大切なのよ!」


 カイリちゃんのステーキ講座をしっかりメモする。シーサーペント肉はものすごい量になったのだ。食べきれないから毎日カイリちゃんの料理店に提供している。

 それでも余るので自分でも食べているのだ。


「胡椒は肉の臭み消しになるし、胡椒を最初から振るのはステーキハウスとかならもちろんお客様が香りを楽しめるから大事なんだけど、熱に強いスパイスでも熱すれば香りが揮発してしまうのね。そこでまずは粗挽き胡椒を加えます。塩は水気が抜けないように焼き目がついてからかけるのね」


 カイリちゃんの講義は熱が入ってきた。

 いつもならこんな話を聞かないアタルが真剣に話を聞いている……と、言うか赤い顔でぼんやりカイリちゃんの顔を見ている。

 本当に釣られちゃったんだな。


「だから最後にもう一度ソースと一緒に粉末の胡椒を振るのよ。仕上がりね!」


 ふわあっ、と、熱に煽られた醤油ベースのソースと胡椒、肉の脂の甘い香り……。死ぬ……。


 焼き加減はミディアムレアだけど予め室温に戻している肉には芯まで火が通っている。

 血生臭い肉になってしまわないためには中まで火が通ることが大事で、レアでもちゃんと火は通っている。

 肉汁が逃げないように低温で手早く焼く、休ませる、ガーリックや脂などでとにかく肉の香りを立てる、焦げ目を作るメイラード反応まで計算し尽くすなどして作られた目の前のステーキは間違いなく絶品である。

 マンサ様たちも含め皆が肉にがっついた。

 私も普段食べる二倍は食べたような気がする。


 美味だ……。やっぱり釣りやってて良かった……。






 肉料理を作れなかったストレスが爆発しました。

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