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釣りガールの異世界スローライフ ~釣りスキルで村を大きくします~  作者: いかや☆きいろ
最終章 釣りガール、異世界を釣る。

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釣りガール、また婚約する

 最近カイリちゃんと仲良くしているので気が付かなかったがナミエが私の前に全く現れない。

 前世から追いかけてくるほどのストーカーが現れないとそれはそれで不安になる。なので図書館に出掛けてみることにした。


 ナミエはカワヒラ領開発の指揮もしてくれているらしく、上下水道から浄水施設まですでにカワヒラ領は完備している。

 もちろんオーバーテクノロジーだ。

 そんなナミエが落ち込んでいるのだとしたらいろいろといたたまれない。


「こんにちは~」

「はい、わあっ! 領主様!」


 あ、そう言えば私が領主なのか。何にもしてないんだけど。裁判とかしなきゃ駄目らしいけどマンサ様が送ってくれた騎士さんが代官をしてくれてるんだよね。私ノータッチ。

 代官さんは魚が大好物なので喜んでやってくれているらしい。

 そう言えば女王陛下のメイドをしていたニャコ・ミイミが何故かうちに住み着いて騎士団の指揮をしている。

 ……完全に魚目当てだけど良く女王陛下に許してもらえたな。

 流石にメラヒ様の娘認定アンド子爵受爵が大きく、国からかなり人材が送られてきたのだが、一見すると島流しなこの職場は今一番競争率が激しい職場にもなっている。

 商人のオシモさんやナミエの活躍があって初めてここまでこの領地が愛されているのだ。そのナミエを欠くわけにはいかない。


「畏まらなくて良いよ。ナミエはいるかな?」

「は、はい、今日は館長は此方にいます!」


 その司書さん、マチさんは初期の頃からこの図書館に勤め、ナミエにこき使われていた人である。

 カワヒラ領、影の立役者の一人だ。


 マチさんの案内で館長室に向かう。


「館長、領主様がおいでになりました!」

「マジで!?」


 部屋の中からナミエの声が響くが、なんだか反応がおかしい。避けられているものだとばかり思っていたのだが嬉しそうな声が響いてきたのだ。


「お姉さま~! ナミエは、ナミエは、嬉しゅうございますわああああ!!」


 いつも通りのウザいテンションのナミエに、凄くホッとして思わず笑みが零れる。


「ナミエに嫌われたのかと思ってたよ。……カイル君と婚約したから」

「知ってますわ。あと、私がお姉さまを嫌うわけが有りませんわ!」

「有り難う。でも知ってた割に冷静だね」


 ナミエのことだから全力でカイル君を倒しにかかるのかと思った。何か二人の間であったんだろうか?


「カイル君は偽装婚約ですわ」

「へ?」

「これでお姉さまが私と付き合っても大丈夫ですわ」

「は?」


 なんだろう、時々こう言うことがあったが、未だかつて無いほどナミエの言ってる言葉の意味が分からない。


「カイル君は言いましたわ。他の男が言い寄らないように仮に自分が婚約するのだと! これはもはや偽装婚約と言わざるを得ませんわね! さあ、お姉さま、私と愛を育みましょう!」

「いや、無いから」

「館長、お仕事が……」


 どうやらナミエはカイル君が婚約を申し込むことを事前に相談されていたらしい。

 それを聞いてしばらくはガチで落ち込んだものの、私が子爵に、カワヒラ領が正式に領地に認められたことで死ぬほど忙しくなり、ついつい合間でしていた妄想がいつの間にか自分の中で事実とすり替わってしまったようなのだ。

 ナミエは心底変態だけどちょっとだけ申し訳ない。仕事押し付けすぎた。


「じゃあもうナミエも私と婚約する?」

「はえっ!? 幻聴ですか?!」


 実はこの国に「同性と結婚できない」とか「女性の重婚を認めない」とかの法律は無い。

 整備がされてないだけで実際は禁忌とされているはずだが私は聞いたことがない。

 そもそもグラルは女王国であり、女性の権限は強く、さらに宗教は三女神教なので女性同士の恋愛が割と認められているのだ。

 それを知ったのは巫女のアミさんが女神様大好きなレズビアンだと知って本人にこの国の同性愛に関する考え方や法律の確認を取った時だ。

 意外と同性で、表立ってではないが婚約したり同棲しているケースがあるらしいのだ。

 私はレズビアンじゃないからナミエの肉体的な欲求には応えられないが、精神的な部分は満たせてあげられるかも知れないと思ったのだ。

 もちろん子供は作れないしエッチなことも一切無しだが、それをナミエが許容できるなら構わないかと思った。

 ナミエは私を追って命を投げた挙げ句、ここまで尽くしてくれているんだから。


「私と陰ながら婚約するとなるとナミエは他の人と結婚して子供を残すことは出来ないし、重大なことだからじっくり考えて……」

「そんなもの全くノープロブレムに決まってますわああああああああっ!!」


 怖い。早まったかも知れない。


「か、カイル君にも了承をもらってからね……」

「くっ、もう少しカイル君に優しくしておくんでしたわ!」


 私の提案ではあるが、なんだか面白いことになってきた。

 また三人で仲良く出来るなら、それが良いな、とは思っていたから。


 ひょっとしたら私は鬼畜なことをしているんだろうか?

 ナミエに恋心は抱けないのに良いように振り回しているんだから、人からみたら酷いのかも知れない。悪女の所業だよね。

 とは言っても今ナミエはめっちゃ喜んでいるし……。


 私もカイル君との婚約でちょっと浮かれすぎているのかも知れない。


「すぐに錬金術でシークレットリングを作りますわあああっ! 予め作っておくんでしたわあああっ!」


 ナミエのテンションが超怖い。やはり早まったか。

 その後たった三分でナミエは可愛いシルバーのリングを作り上げた。指にはめると見えなくなる魔法がかかっている。

 どうやら近日中にカイル君に許可をもらいに行かないと駄目らしい。その時はナミエもついてくる、と張り切っていた。

 なんか申し訳ないな。結局私はナミエを良いように扱ってるだけな気がする。

 いつかデートくらいはするべきだろうか。

 それにカイル君にも先に話を通しておくべきだったよね。多分カイル君なら全く気にしないと思うけど。






 最初に書いた通りこのお話は最後まで書いてから更新しています。なのでもっとこうしたら、とか、まあ後悔は後にとっておきますw

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