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釣りガール、料理大会一回戦を戦う

 翌日は料理大会の決勝トーナメントだ。今夜は料理人二人を我が家に誘い新鮮なお魚を提供して料理をしてもらうことになった。

 それを聞いたマンサ様やイソーリズ様、オシモさんたちが我が家に押し寄せてくる。


「明日は私たちが審査するからね~」

「今から楽しみだ!」

「今晩もシズクちゃんの釣った魚を料理人さんたちが料理するそうで……」


 三人とも凄く盛り上がってるな。私も二人にいろいろ料理を教えてもらえるのでワクワクしているけれど。


 しかしカイル君やナミエ他、ニッケル様たち貴族の皆さんも来ていて凄い人数になっているのだが……。

 三日目のお祭りが終わってからも皆が押し寄せてくるんだろうな、と思ったら今から疲れてきた。


「それで、釣り人様はどんな魚を用意してくれるの?」

「カイリ、そんなに焦らなくても……」

「沢山あるから魔物魚の秋刀魚を料理してもらえるかな?」


 私は釣り大会で釣った魔物魚の秋刀魚、キクイチモンジをクーラーのスキルで解体した皮付きの柵にして二人に提供する。


「魔物魚か……面白いわね」

(はらわた)もあるかな?」

「はい」


 やっぱり秋刀魚は(はらわた)が美味しいからね。二人も秋刀魚のわたを返しに使って焼き秋刀魚を作ったりしている。やっぱり魚を焼いたりするテクニックは私とは違うようだ。

 しっかり覚えよう。


「これだけ新鮮な魚なら単純に刺身にしても美味しいわね」

「甘辛く味付けした焦がした返しを塗って大根の千切りとちしゃでまとめて……」

「それなら皮面を炙って北京ダック風にゴマだれと野菜の千切りを合わせたら……」

「美味しそう~。ためになるよ!」


 二人の料理のバリエーションはなかなか広くて実にためになる。私じゃ思いつかないな。


「ふ、ふん、まあ魚も良いから料理のしがいがあるわねっ」

「ツンデレって実在するんですわね」

「ナミエのヤンデレの方がレアだと思うよ?!」


 そんな感じで意外と二人とは仲良くなってしまった。ノット君も親切にいろいろ教えてくれるしカイリちゃんも文句を言いながらいくつもスパイスを提供してくれた。二人が北のセワーヤと言う国から来たことや、前世では年の離れた兄弟だったことなど、いろいろ話も聞けて美味しい料理もいただけて、今日一日で積もった疲れも、少し取れた気がする。


「そう言えば本戦に残った中に農家さんがいたわね」

「女神様に『村人』のスキルをもらった人だね」

「村人……?」


 どうやら予選でサラダを出していた人が村人さんだったらしい。二人は以前美味しい野菜やチーズ、卵などを彼の元に仕入れに行ったことがあるそうだ。


「私の『食糧庫』にも彼の作品がいっぱいはいってるわよ」

「わあ、分けてもらえないかな~?」

「ちょ、ちょっとだけだからねっ!」


 じゃあトマト、とか言いつつ、カイリちゃんに沢山野菜を強請った。めっちゃ親切だ。可愛い。


「お姉さまがモテすぎて辛いですわ」

「料理大会でなんとか挽回しよう!」


 なにかナミエとカイル君がまた二人で計画を練っていた。むう、最近二人に仲間外れにされてない?





 さて、いよいよ翌日、料理大会の日だ。明日のお祭りに提供される料理が出ると言うことで観客も大盛り上がり。

 私もいろいろ食べられるのを想像すると頬がゆるむ。……まあ自分も出店するのだが……。


「しょぼーん……」

「お姉さまの分も作りますわよ!」

「僕も!」

「仕方がないから私も作ったげるわよ!」

「ボクももちろん作るよ!」


 どうやらちゃんとご馳走を食べられる回のようである。生まれ変わってから皆に料理を振る舞うばかりで自分が食べられないのが不満だったが(摘まみ食いはしまくったが)今回はたっぷり食べられるのだ。嬉しい!

 ちなみに前世では他の女子の三倍食べても太らないのでそこだけは女子に嫉妬された。私は基本的に動く人なので太る要素がないんだよね。

 筋肉は付くんだけど。私は女子なのに痩せマッチョなイケメンと言われていたからな。


 さて、第一回戦だが……。対戦相手は……。


 カイル君……だね……。

 女神様が運命を決めているのでは無いと思うがどっかで見てる女神様がニヤニヤしてる気がする。

 ……カイル君か。今世では今の所、一番気になる相手。


 なんだか運命を感じる。


「シズクちゃん、今日は僕の一番美味しい料理作るよ!」

「カイル君……、私も負けないよ!」


 基本的に私は脳釣りだ。細かいことは釣り以外どうでも良い!

 全力で美味しいの作るよ~っ!





 初戦、カイル君は大ぶりな白身の魚を皮面を下に弱火でじっくり火を通していく。低温でじっくり調理するのは私やナミエもやるのでカイル君が知っていてもおかしくはない。

 カイル君の調理はひたすら丁寧だ。温まった油をスプーンで魚の柵にかけている。

 たしかアロゼって言うフランス料理の手法だ。良く知ってるなあ。

 明日の出店であんな手間のかかる調理法で大丈夫なのかな、とは思うけれど、ガチで私に勝ちに来てるのは伝わった。

 私もカイル君に美味しい物を食べてもらいたいからね。


 私の四十八ある必殺レシピで行くよ!(本当は十個くらい。増えた)


 今回のレシピは、これだ。


 カイル君と同じ白身魚の柵にある下処理をしてから、しっかり水気を拭き取り、次に小麦粉をまぶし、そして。

 しっかり溶いた生卵に浸す。パン粉をまぶす。


 フライパンにオリーブオイルを流したら魚を中火で焼く。カリカリに焼けたら最後にレタスなどを敷いた皿に魚を乗せ、バジルやガーリックパウダーなどを混ぜたシーズニングスパイスをジグザグに振り、レモンを添える。


 シズク風お魚の香草パン粉焼きだよ!






 美味しいものは正義です。

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