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釣りガールの異世界スローライフ ~釣りスキルで村を大きくします~  作者: いかや☆きいろ
第三章 釣りガール、大陸を釣る。

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釣りガール、五目釣りで心を慰める

 今章残りはゆったりほのぼのです。

 魔物魚釣り大会の目的は大きさと数を競う事だ。つまり今から私は数釣りをしないといけない。

 はっきり言って今の私は初めて釣りの事を考えられなくなっていた。

 憎い仇に、絶対釣り上げると誓ったターゲットに逃げられたのだ。

 胸に去来するのは悲しみだけ。でも釣らないと。

 釣らないと私はただの少女だし、女部分が死に絶えてる私はもうそこで死んだようなものだ。

 釣るのだ。


「お姉さまには今日は釣りをさせませんわ」

「なんで……?」

「私はもう二度とお姉さまに早くに死んで欲しく有りませんもの! お姉さま、何故私が後追いまでしたのか考えた事は有りますの?」

「……」


 確かに、ナミエの言う通りだ。後追いでも何でも、自殺なんてそんなに簡単には出来ない。それほどまでにナミエは私の死を悲しんでくれたのだ。たとえ仇でも無謀な釣りはするべきじゃなかった。

 それに気付いて私はナミエの顔を見る。そしてただ一言だけ、謝った。


「ごめんね、ナミエ……」

「ん、十分ですわお姉さま。それより楽しい事をしませんか?」

「楽しい事?」


 ナミエが言うといつもなら卑猥に聞こえる言葉だが、今はそんな風に聞こえなかった。疑問に首を傾げる私にナミエはまだ無い胸を張って言った。


「釣りですわ!」

「……! ……うんっ!」


 さっき自分で釣りをさせないと言っておきながらナミエは自分の言葉をあっさり覆した。ナミエにも私は釣りしかないと思われているのだろう。


 そうだ、私は釣りガール。魚を釣る少女なのだ。

 少し時間を食ってしまったがここからでも逆転してみせる。

 釣る!

 釣りガールだから、もう釣りで敗北しない、その為にっ!!





 私たちは前回の魔物狩り大会の時に使った数釣りポイントに入った。しかし既に何人か人が入り釣っているのが見える。


「どうする?」

「どうしますか?」


 カイル君とナミエが問うてくるがこの状況で数釣りする方法は多くない。私はすぐに漁船を出した。


「沖の岩礁に行くよ」

「なるほど、沖のスレていない根魚を狙う訳ですわね!」

「勉強になるなあ」


 カイル君に誉められて少し照れる。頬を掻く私を見てナミエとカイル君がお互いに手を取ってキラキラした目をしている。何だと言うのか。

 まあ良いか。釣るぞ!


 漁船を岩礁につけて五人で乗り込む。

 制限時間まであと二時間くらいで、試合時間は四時間。半分くらいの時間だが、まあハンデとしては十分だし、ここから二百匹は釣ってやる。そう意気込んだ。


「おっ、来たよ」

「きましたわーっ!」

「お、俺にも釣れた」

「釣れたよ~!」


 皆が次々に魚を釣り上げるが私は……一分に一匹ペースで釣っている。この辺りの海は浅く雑魚しか釣れない。私に取っては行商の時の釣りと同じただの作業だ。

 だが釣れてくる魚の暴れ方、竿の微妙な振動、釣れた魔物魚キュウセンの美しさは少しずつ私の心を癒してくれている。


「釣りしてる……」

「もちのろんでしてますわ」

「幸せかも……」

「もちのろんですわお姉さま。お姉さまは幸せになるように女神様に守られていますわ」


 そうだ。今はもうシーサーペントに挑めはしない。でもいつか、またいつかあいつに挑むんだ。釣るんだ、シーサーペントを。

 その為にも釣ろう。レベルを上げなければ。

 再び戦えるその日までに、もっともっと強くなってやる!

 それに私の目的はゆったりスローライフなんだから無理をする必要は無かったのだ。よし、まったり釣るぞ。

 アイナメっぽい魚やメバルっぽい魚、しかも全部魔物魚が釣れてくる。楽しい。時間が有れば一匹一匹浮き釣りやちょい投げで釣るんだが今は大会中なので仕方ない。一荷釣りモードで一発に六匹とか釣る。スレバリ(返しの無い針)では無いが触るだけでクーラーに放り込めるので同じようなものだ。どんどん仕掛けを放り込む。魔法餌なので何度か釣っても餌が失われていない。なので魚を格納したらそのまま仕掛けを海に投入する。また釣り上げる。

 海を割って溢れるように出てくるお宝の山に心が踊る。やっぱり釣りは最高だね!


 ふと横を見るとナミエがプルプル震えながらゴカイを餌にしている。ゴカイ嫌いを克服したのだろうか?

 よく見ると頭をハサミで落としている。ゴカイの頭は魚も食べない部位ではあるが頭を落とすと生命力の弱いゴカイはすぐに動かなくなってしまう。釣り餌としては頭は落とさない方が良い。その事を教えようかと思ったが順調に釣り上げていたのでやめておいた。

 本当にこのポイントは魚影が濃いなあ。アタルやトマンも魔物魚特有の強い引きを楽しんでいるようだ。竿はナミエたちが苦心の末作り上げた異世界スピニングリール。構造はちゃちだし浄化魔法を掛けないとすぐに錆びるが(浄化魔法便利過ぎ)ちゃんと使用に耐える物のようだ。

 と、アタルが大物を掛けた。すぐに滑り止めを掛けようと近寄る。しかしアタルに片手で制された。


「これくらい自力で釣れなきゃ釣り人じゃねえ……くっ!」


 強く身体強化を掛けているようで体が発光しているのが分かる。ちなみにアタルはまだ私より身長が高い。海の漢らしい逞しい体つきになってきた。

 ……ゴリマッチョになったらどうしよう。……割と好みだが。

 ちなみにトマンはオシモさんに弟子入りしてからみっちり太っている。商人は貴族より良い物を先に見つけるので一番グルメでないと駄目と言うのがオシモさんの教えらしい。


「シズクに守られなくてもシーサーペントくらい釣り上げて見せる!」

「いやいやいや、無理だから!」

「お姉さまを侮り過ぎですわ!」


 そう言えば今世のお父さんとアタル、トマンのお父さんは同じ漁船に乗っていたのだ。シーサーペントを仇と思っているのは私だけじゃなかった。


「……頑張れアタル」

「おうっ!」


 その後一時間近いファイトの後、アタルは二メートルを超えるワニヅラスズキを見事に釣り上げたのだった。

 ……私も釣りたいぞ。






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