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釣りガール、妖刀釣りに挑む

 我がカソレ村はいつの間にか釣りの聖地となっていたらしい。たくさんの釣り人が現れたのは良いのだがそうなると魚影が薄くなって魚もスレまくる。

 スローライフ出来ないと女神様が大神災を起こすかも知れないので私はとりあえず船を出し、沖を中心に釣る事にした。

 ターゲットはムラマサだ。太刀魚型魔物魚である。

 太刀魚は秋の陸からのルアー釣りでも有名だが夏頃の船釣りも人気がある。

 魚が居なければポイントを変えられる船釣りは便利だ。酔わなければ。


「ううっ……」

「揺れますわあ……」

「けっこう……キツいわね」

「船は沖に出すとどうしても揺れが強くなりますからね。船酔い防止のスキルって人に掛けられないかな?」


 私以外全員、カイルくんもナミエもマンサ様もキツそうだ。浄化魔法も効かないので私の船酔い防止スキルを三人に掛けてみた。


「ああ、楽になってきた」

「助かりますわお姉さま」

「スキル全般が他人にも使えるのね」

「これは色々試してみないと駄目ですね」


 スキルは便利だがあんまり過保護にならない程度には制限されているようだ。それでもこの他人にも使えると言う機能はかなり有り難い。


「楽になった所で今後の話をしましょうか。魔物魚が少なくなってシズちゃんも困るでしょ?」

「ですね。まあ私は自前の船も有るし問題無いんですが、釣れないと村人たちが釣り嫌いになりそうです」

「基本的には魔物魚って魔力が集まって自然発生するから無尽蔵に湧くはずなんだけどね」


 放流ができれば良いんだけどな。魔力が集まると産まれるなら大物をまとめてしとめて食べるとか外洋に遠征して大量に釣り帰る事でこの辺りの魔力量を増やすとか……。


「魔物魚釣り大会開きましょうか?」

「え、何故ですか?」

「大物を競う大会にしようって事ですわね」

「なるほど、それでポイントをカソレ村に絞らずにどこで釣ってきてもオーケーって事にすれば……」


 それでついでにスキル持ちも探せるかも知れないし、良いかも知れない。開催時期を一ヶ月後に設定してマンサ様に各地域に伝えてもらう事にした。

 マンサ様は魚も売ってくれるし私のお使いばっかりさせている気がする。お返しに魚は釣っているしマンサ様も儲かっているようだが。

 商用の魚は接水走査とターゲッティングを使うので今一つ面白くないが実はたくさん釣っている。

 さて、太刀魚釣りだ。太刀魚は捕食時は上向きに縦に立った姿勢で泳ぐ魚である。水中で見てみれば鰭をくねくねさせて泳ぐのでなかなかチャーミングだ。

 普段は横向に蛇のようにうねうねと泳ぐらしいので検索するなら要注意だと前世の友達に説明したのを思い出す。その子はゴカイの件でグロ耐性が付いたと言っていた。

 ナミエ曰わく、グロ耐性なんてゾンビゲーをやらせても喜々としていたお姉さまには関係が無い概念ですわ、とか言っていた。


 もとい、太刀魚は比較的に表層で釣れる事もあれば中層まで沈めないと釣れない事もある。時間帯により変わるらしい。餌は基本は魚餌だ。

 皆には普通の太刀魚を狙ってもらい私は魔物魚、ムラマサを狙うと言う方針に決めた。


 私は歴史に詳しくないのだがナミエが言うには村正は徳川家の人間に三度傷を負わせた事で妖刀と呼ばれるようになった刀だそうだ。もっともムラマサは徳川家の近隣地域の名工であった為に徳川家家臣の中でも村正を持っている人が多かったのでたまたま、なのだそうな。

 歴史も釣りも奥が深いものなのだなあ。

 ちなみに私が得意な科目は圧倒的に生物や化学だ。物理は専攻してなかったが趣味で割と勉強したし、天文学はもっと好きだったな。私はサバイバル好きだったから夜空の星とか好きだし、衛生の理解が低いとサバイバルで生き残れないから医学もある程度理解している。

 まあ反面文系は古文以外全滅だったのだが。

 古文はパズルみたいなものだしな。それに太公望好きだったし。

 ……自分の知識が思った以上に釣り一色でちょっと困惑した。


 さて、そんなどうでもいい事を思い出しながらもトゥイッチをゆったりと行う。

 トゥイッチジャークと言う言葉はルアーフィッシングをしていると最初に出会う難しい言葉で、ルアーフィッシングの中でももっとも技術を試されるリトリーブ(ラインの巻き取り)の手段である。

 トゥイッチはロッドをゆったりとノックするように動かし生きた「油断しきった」小魚を、ジャークは逆に敵対象を見つけ逃げ惑う小魚を演出するリトリーブ法である。


 私が得意なリトリーブはステディリトリーブ(ただ巻き取る)とかポンプリトリーブ(竿で引っ張り緩んだ糸を巻き取り、また竿を引っ張るゆっくりしたルアーの引き方)などの比較的シンプルな引き方だ。ポンプリトリーブは極めてゆっくり引くのをお薦めする。

 バイブ(細かく振動するタイプのルアー。えっちな器具では無い)のステディリトリーブやカウントダウン(ルアーが沈む速度を計算して様々な深度でルアーをステディリトリーブする)は冬場でも強く魚を呼ぶのでやってみて欲しい。カラーは金黒(金色と黒色の複合色)がクリア、マッディを選ばずに良く釣れる。

 クリア、マッディとはクリアウォーター(澄んだ水)、マッディウォーター(濁った水)の略である。ちなみにその中間はステインウォーターと呼ぶ。

 専門用語を久々に思いだしまくったがこの世界の人には分からないだろう……。


 ちなみにルアーはこの世界で流行らせるためにナミエに作ってもらった。私もオーダーしまくったのでナミエはとても忙しそうだった。流石に悪かったか。

 ストーカーだから怖いが、いろいろしてくれるナミエは本当に私のことを好いてくれているのだろう。そうそう遠ざけることも出来ないし、しない。恋人は無理だが親友だとは思っている。


 話を戻そう。金黒カラーを使ってると他の釣り人に言うと馬鹿にされるくらいメジャーなので注意だ。

 私はピンクなんかのカラーも良く使っていたが人に見つかるとかわいい子ぶってる気がして恥ずかしかったものだ。ただピンクはマッディなら普通に良く釣れるから使っていたんだけどね。


 ルアーカラーの話を始めると止まらなくなるので止めよう。ワームでウォーターメロンやシナモンを良く使うとか、釣り仲間しか分からなかったし、私が変人のクセに釣りはノーマルとかもはや今世では誰にも分からない話だろう……。


 さあ、ムラマサが私のルアーに食いついたようだ。






 このお話で書ききれなかった料理ネタや釣りネタはかなり有りますが書ける予定は無いんですよね。

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