表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/79

釣りガール、釣り初める

 シズクちゃんはかなり主観で喋りますが作者の意見ではありません。

 私がまず魔法餌のスキルを使って作ったのは虫餌、ゴカイだ。どうやら虫餌スキルは私が使った事のある虫は全て使えるようである、が、最初に選んだのはゴカイだ。


 ゴカイと言うのは汽水域の泥の中に棲む多毛類の虫である、が、その姿は極めてグロテスク、ストーカーでさえ餌箱の中で絡まり合っていたゴカイを見てから一週間は私に近付かなくなった代物である。ちなみにストーカーちゃんは三日ほど寝込んでいたらしい……。魚ですらそのままでは触れないような女子には絶対見せられないね。


 どうでも良い情報だが、近年では店売りのゴカイは青イソメが主流だ。しかし日本には青イソメは自然には生息していなかったりする。ほとんどは養殖や輸入だ。

 青が存在しているのでもちろん色違いの多少高価な赤イソメもいるが釣り餌に使うなら青で十分使える。


 もし前世でゴカイで画像検索を掛けようとする人がいたら止めておくよう進言しただろう。

 簡単に言えばグロい。柔らかいムカデがたくさん絡まっているような画像が見られると思う。怖い物見たさと言うのも分かるので、それでも見ると言うなら食事中は止めておくように。麺類を食べていたら鬱になると思うが一切責任は負えません。


 そんなグロテスクなゴカイだが、虫餌としては驚くほど優秀で幅広い魚種をゲット出来る上に魚の食い付きも良い。

 ゴカイを使っての海釣りで魚が釣れないと言う事はまず有り得ない。ゴカイに触れなくて釣りにならない可能性の方が高いくらいだ。

 私自身初めてゴカイを使って釣りをした時、確か五歳くらいだったか、その、うにうに蠢く口から黒い牙が飛び出すのを見た上でちょっと噛まれて、トラウマになりかけた。今は普通に使うけどね。


 さて、私が召喚した竿はメバル用のスピニングタックル。

 ロッドとリールなどの装備をひとまとめにしてタックルと呼ぶ。今回はライン(釣り糸)を横巻きに巻くタイプのリールであるスピニングリールを使うタックルを呼び寄せた。


 今回の物はメバルと言う小魚を、ルアーと呼ばれる魚や虫などを真似て作った道具を使って釣るためのタックルだ。

 偽物の餌で釣るので餌代が掛からないのがルアーの魅力だろう。実際には根掛かりと言って藻や岩に引っかかってしまいロストするのだが……。少し専門用語が多すぎたのでこの辺りで釣りを始めよう。


 釣り餌の重さをこのメバルロッドが耐えられる七グラムまで上げる。

 余談だが釣りで使われる単位はポンドやフィート、もしくは尺、貫が多い。専門性が高い気がして敷居が高いかも知れないが釣り人が増えても獲物が増える訳では無いのでわざと敷居を高くする為に難しい言葉を使ってるのかも知れない。釣りガールを増やしたい私は少しめんどくさい。


 リールの糸を止めているベールと呼ばれる金属部分を起こす。これにより普段は固定されているラインを自由に放出出来るようにする。指をラインに掛けてオーバーハンドで構える。

 剣道などで言うなら上段の構えだ。これから私は魚との戦闘を……始める!


 素早く竿を振りつつラインをリリース、解き放つ! 高速で飛び出した魔法餌は数十メートルを超えた辺りで着水する。水の中にゆっくり沈んでいくナイロンラインを目で追う。


 この時、海の波や水上に浮かぶ遠くの島々、青く晴れ渡った空などを眺める。

 自然に包まれている感動。潮の強い香り。煌めく水面。柔らかな潮風と日差し。


「ああ、釣りしてるう~っ!」


 と、ゆっくり感動に浸っている間も無く、すぐにラインが高速で走り出す。ラインを解放するために外していたベールを戻し、余っているラインを巻き取り、一気に竿を起こす。

 フッキングと呼ばれる魚にしっかりと針を掛けるための動作だ。魚をしっかりと捕まえた感触をライン越しに味わう。


 ロッドと言う剣、リールと言う盾、そして餌や仕掛けと言う魔法を用いて魚と言うモンスターと戦う。それが釣りだ!


 掛かったのは小型の魚だろうが、かなり引きが強い。六歳児の体だからだろう。昔ストーカーちゃんに勧められた異世界転生物語で言うなら最初のゴブリン退治と言った所だろうか。

 異世界の魚だから本当にゴブリンみたいな魚だったらどうしよう……。


 心配したが釣り上がったのはハゼのような魚だ。さっそく鑑定してみるとマハゼとなっていた。地球のハゼとは形が違うがこの世界ではこれが一般的なのだろう。でも何故和名?


 ハゼが釣れたと言う事はこの沖は砂浜であろう、と、当たりを付ける。釣り人は熟練すると水中が見えるようになると言われるほど水中の状態には敏感だ。

 何故なら水中の地形で釣れる魚が違ってくるので攻め方を変えなければいけないから。


 今回はハゼをたっぷり釣って帰るかな。

 幸い魔法餌は一回では消えなかった。この調子でたくさんの魚たちやこの世界に存在する本物のモンスターを釣り上げて行きたい。そして……。


 私はこの寒村、カソレ村を大きくしたいんだ!






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ