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釣りガールの異世界スローライフ ~釣りスキルで村を大きくします~  作者: いかや☆きいろ
第三章 釣りガール、大陸を釣る。

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釣りガール、帝国でご飯を作る

 リッツ様の大きなお屋敷に招待された私はすぐに厨房を借りたいと申し出る。リッツ様が見ている前で調理した方が良いだろう。


「毒味役を入れるよりは良いか。魚を見せよ」

「はい」


 リッツ様には石鯛を食べてもらおう。小物のグレーターデーモンフィッシュだが。


「見事な物だな。これなら私も釣れそうだし」

「釣れますよ、きっと」


 やあ、釣りガールが増えるのは嬉しいね。戦争なんか止めて皆で釣りをすれば良いのだ。


 石鯛を三枚に捌いて塩を振って網で焼く。良い香りだ。他にも鯵団子でスープを作ったり寒天でデザートを作る。食材に毒が無い事を証明する為に少しずつ食べる。


「実に美味そうだ。早速配膳しよう」

「あれ、自ら配膳するんですか?」


 貴族なのに待ちきれないからとか言いながらワゴンを押している。リッツ様も面白い人だな。


 食堂にある大きなテーブルにリッツ様がお皿を並べて行く。私たちの分まで並べてくれた。自分から進んでメイドの仕事をする貴族なんて初めて見たかも。


「やはり自分でやってみないと分からない事もあるのでな」

「そう言うの、良いですね」


 国は敵対しているが仲良くしたい人だ。辺境伯と言う事だから今前線にいるのは彼女の兵なのかな? 思い切りぶっ飛ばしてしまったのだが……。


「前線? ああ、女王国方面は別の人間の兵だ。私は西方を守っている」

「帝国って意外と狭いんですか?」

「縦に長い感じだな。沢山の国と隣接し、戦っている」


 帝国ってくらいだから戦いが好きなのかな。


「私も戦いなど好かん。父と兄は戦争で死んだ。結果が私の爵位だ」

「マンサ様に似てますね」

「マンサ・アミヤか。髪と目が私と同色の女貴族、凄く興味がある」

「会談でも設けて休戦協定でもすれば良いんですわ」

「それは……できれば有り難い話だが現実問題としては難しいだろう。女王国の方が圧倒的に押し入ってその後こちらが有利な協定を持ち出されるなら分からんが……」

「それがマンサ様の読みなのだと思いますわ。その為にお姉さまを利用しているのは腹が立ちますが……」

「私は平和に釣りできるなら何でも良いよ」

「大らかに過ぎますわお姉さま。そこがまた魅力的ですが」


 ナミエがハートマークが浮かびそうな声でそう叱ってきた。確かに釣りガールなので釣りだけしていたいがそれではニートと変わらない。ちゃんと考えて村作りや国作りに協力して行かないと、私の存在価値まで亡くなりそうだ。

 うん、そうだ。


「リッツ様、今回釣ったドジョウの料理をこの国の人たちに振る舞う事は出来ませんか?」

「それは有り難いが……何を狙ってる?」

「友好ムードを少しでも作れないかと」

「焼け石に水な気はしますわね」

「いや、面白そうだ。やってみよう」


 リッツ様は乗り気なようだ。私を冒険者身分の女王国出身者と公表し、魔物魚を定期的に討伐して振る舞う事で女王国に対する嫌悪感を少しずつ削って行こうと言う話になった。


「リッツ様もやはり政治家ですわね。お姉さまを利用する気なんですわ」

「利用されるのは構わないよ。それで平和に釣りが出来るなら悪い事が無い」

「それもそうですが……」

「何か危ない事があれば僕が守るよ!」

「有り難う」


 勇者様に守られていれば安心だ。カイル君ににっこり微笑んだらいきなり爆発して後ろに倒れた。ビックリしたが攻撃された訳では無いらしい。


「顔真っ赤ですわね」

「うん……」


 なんでそんなに好かれてるのかさっぱり分からんので少し微妙な気分だ。


「胃袋を掴まれた者の負けですわ……」


 ナミエの呟きは小さくて聞き取れなかった。





 広場には沢山の人が集まっている。リッツ様は人気がある領主様のようだ。カイル君には二人を護衛してもらう。私には結界も水操作もあるから多分そうそう負けないし。

 大きな魚を捌いているのを皆興味深そうに見ている。私は柵に切ったいくらかをクーラーに仕舞い、皮と肉の部分を細かく切り分け、皮の部分を網焼きにしていく。

 裏返したらタレをぬる。砂糖や果実酒を使った甘いタレは内陸の砂糖がなかなか手に入らない人たちには堪らないだろう。

 ここでリッツ様が私を女王国の冒険者でこれからも魔物魚を討伐してもらう、と、紹介する。甘く香ばしいドジョウの蒲焼きの香りは彼らの反発心を完全に封じ込めたようで罵声を浴びせてくるような人は居なかった。リッツ様の人徳も有るんだろう。何にせよ腹ぺこな民衆に大魚の美味しそうな料理が振る舞われるのだからこの場では不満を上げ難いだろう。

 魚は平和を作ってくれそうだ。


「ほほう、これは美味いな!」

「ウナギより香ばしい感じで美味しいですわ」

「うん、最高……」


 ドジョウは一匹でウナギ一匹と同じ栄養が有ると言われる。実際こんな馬鹿デカいドジョウなんか料理した事無いが、白身の魚で美味いのは間違いないとは思っていた。冥王ドジョウなんて物騒な名前だが強い魔物魚は美味いと言うのはこの世界のルールのようである。


「うん、美味い。また釣ろう」


 その言葉を聞いた民衆から歓声が上がる。流石に戦争を止めようなんて話は出ないが私は特別だからいつでもおいで、とは言われた。ゆっくりゆっくり平和を作っていこう。






 フライや焼き物、サラダが多くて汁物は少な目です。お酒飲むので。

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