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釣りガール、女王様と釣りに行く

 さて、何故か陛下に釣りに誘われた。私に釣る魚を選んで欲しいと言うので手軽に釣れる鯵釣りに誘う事にする。


「難しい釣りでも良いのよ~?」

「まずは獲物を捕まえる楽しみや嬉しさを知るのが釣りの始まりですよ」


 いきなり船釣りに誘って高価な魚を釣らせるのも釣りガールを増やす常套手段ではあるが、船酔いがあるので陸からの釣り、更に料理を教え込む事で魚ゲットの嬉しさや楽しさを教え込む……ナミエ風に言えば調教するのが私のやり方である。


「お姉さまに調教されたお陰で私は多分お姉さまがいない世界に転生していても釣りはしてましたわ」

「釣りガールが増えて嬉しいよ」

「私もお姉さまに認められて嬉しいですわ」


 ナミエを決定的に嫌いになれないのはナミエが釣りガールになったからだろう。ある意味孤独な釣りガール、釣りガール仲間が増えたら凄く嬉しい。


 美しい自然と触れ合い、楽しそうな人たちと触れ合える。最高だ。

 さて、釣ろうか。


「シズちゃんってさ、小物釣りも好きなの?」

「釣りに貴賤はありませんよ!」


 マンサ様も大物を釣りたいのだろうか?

 釣りの面白さはターゲットの大きさに依らない。小さい魚も美味しいのだからある意味トレジャーハントなのだ。


「お姉さまのハゼの天ぷらがいただきたいですわ」

「ハゼに卵と水で溶いた小麦粉をつけて揚げたら藻塩とかの香る塩を振るだけだけどね。ソースやケチャップも美味しいけど」


 簡単なのに美味しいレシピが多いのが魚料理だ。魚自体が脂も旨味も凄い。


 魚料理をたくさん知っている私でも好きなのは粗塩の塩焼きだ。どの料理も美味しいけど魚のパイなんてかなり手間がかかる。


 何故かは分からないが、あたしこのパイ嫌いなのよね。と、言えとナミエに言われた。

 作り方次第では凄く美味しい料理なんだが。

 鯛などの白身魚ベースで味付けは粗塩、胡椒を中心にミックススパイスを作り、野菜で甘さや苦味を足して魚臭さを香草できっちり抑えつつ香ばしく焼くのがポイント、かな。

 そう話したらナミエは「お姉さまの女子力は十分高いですわ」と、嬉しい事を言ってくれた。正直ナミエに女らしさを誉められたら嬉しい。ナミエは女の子らしいしあんまり嘘は言わないから。


「うふふ」

「お姉さまが可愛らしいですわあ……ご飯三万杯いけますわあ……」

「大食いってレベルじゃないね」


 女子力を高めても使い道ないけど、やっぱり女のくせにと言われると面白くないからね。

 それより釣りをしよう。


「……こんなに攻略するのが難しい女そうそういませんわね」

「うん……」


 何かまたナミエとカイル君が仲良くしている。良いな……恋人欲しいかも。


「お姉さま……それはあんまりですわ……」

「僕らが好きなのはシズクちゃんだけなのに……」

「え、何それ」


 き、急に好きと言われてしまった。そんな、まさか。ストーカーのナミエならまだ分かるけどカイル君に惚れられた理由が全くこれっぽっちも分からないのだが。


「流石にそれは非道ですわ」

「もう一年も一緒に遊んでるのに……」

「いや、でも、え?」


 アタリが無いのに魚が釣れた気分なのだが……。ワクワク感一回損失した感じ。


 私が……恋愛なんて出来るんだろうか?

 とりあえず釣るか。


「出た、お姉さまの思考強制リセット」

「とりあえず釣りなんだね。そこもなんか可愛いけど」


 何か言ってるけど無視無視。釣りしよう。女王陛下も放置してるし。


「青春ね~。うちの王配はロマン無いのよね~」

「王配?」


 そう言えば日照り気味のマンサ様とは違って女王陛下はご結婚されてるのか。


「日照り気味は非道い」

「確かに非道すぎですわ」

「マンサ様凄い美人なのに……」

「ご免なさい」


 ついつい思ったことを口に出してしまうのが私の悪い癖だ。マンサ様とナミエから抗議の声が上がったので速攻で謝った。私も万年日照りだから悪気はなかったのだが。

 カイル君はマンサ様みたいな人が好きなのか。マンサ様は確かに美人だ。私が男なら結婚したのにマンサ様の周りの男は余程ヘタレなのに違いない。ちなみにイソーリズ様はご結婚されてた。残念だ。


「お姉さまって枯れ専ですか?」

「いや、意味が分からない」

「僕も二十歳くらい年を取れば……」


 確かに若すぎる相手は嫌だが、若いと駄目って事も無いんだが……。

 とにかく釣ろう。

 あ、鯵が一荷で釣れてきた。クーラークーラー。


「日を改めた方が良いですわね」

「そうみたいだね」


 とにかく釣るぞ、と、二人は竿を出す。女王陛下もニコニコと、マンサ様とイソーリズ様もわいわいと小魚をどんどん釣り上げていった。


 私まだ十歳だし、恋愛なんて早いよね!





 ウシオさんとタマリさんの宿に行き女王陛下に料理を振る舞う。ハンバーグも叩きも手鞠寿司も……。

 しかしこんな無防備に出歩いて、小国ではあるが女王陛下は警戒心が薄すぎでは無いだろうか?


「私を含め何人も女神の寵愛を受けし者がいるこの場所は世界のどこよりも安全よ」

「ですか」


 マンサ様が言うとおりこの場には勇者もいるのだ。安全極まりないね。

 これだけの戦力が私を慕ってくれるからスローライフ出来てるんだろうね。明日は何を釣ろうかな?


「お姉さまの釣りに対する情熱は尊敬に値しますが」

「たまには他にも目を向けてね……」


 大丈夫、村作りもしてますよ!






 釣り仲間と話をするとついつい話が大きくなりますよね。

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