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閑話・女伯爵の憂鬱

 やあやあ、私はマンサ・アミヤ。伯爵様だよ。

 父親を早くに戦争で亡くし、女神様の寵愛を受けている事も公表済み、テレポートスキルを用いて敵陣を壊滅させたりした事を受けて私が伯爵位を継承する事はすんなり決まってしまった。その頃は十三歳だったけども貴族は舐められたら駄目だから十五歳で男って事にしていたんだけどね。


 前世の穏やかな生活が恋しくて所領の田舎村を回っていたらとても美味しい魚と出会った。岩喰いって名前の魚らしい。また食べたいと宿屋さんに言ったらこの村を預けている騎士爵のネザーも宿屋さんに詰め寄る。その場で出会ったのがシズちゃんだ。

 女神の寵愛を受けし者の職業に釣り人が有るとは思わなかったから小さいシズちゃんに自分の事は忘れて首を傾げてしまう。

 でも付き合っていくうちにこの子が十分女神様に好かれるタイプなのも、とても強い子なのも理解できた。

 それから温泉もお魚料理も楽しめるカソレ村を拠点にして毎日テレポートしている。


 シズちゃんはそう、釣りバカってこう言う人なんだってのを体現したような子だ。流石に女王様に会おうって日まで釣りしてたのは呆れたけど、まあシズちゃんらしいっちゃらしい。

 そんなシズちゃんの事は可愛い妹分だと思っているので色々と世話をしてきたのだが、女王陛下に会わせたのは若干失敗だったかな、と思う。

 シズちゃんが釣り上げた魚が美味しすぎて陛下が勢いで釣爵なんて爵位を作ってしまった。これでますますシズちゃんは止まらない釣りバカになってしまう……。女王陛下の要請にすら逆らって釣りをするシズちゃんが容易に想像できるね。恐ろしい。

 そしてそんなシズちゃんをコントロールできるのは私だけと言う事で、魚を用意して欲しい時には私に依頼が入ってくるようになった。

 エルフで寵愛を受けし者のシラサにはマシンガンダツとか言う魚を、辺境伯のデヒトのジジイには勝利を祝う為のシャイニングトラウトを、女王陛下にはもっと大きい魚を、ついでにメイドのニャコには岩喰いを要請される。まあシズちゃんに言ったら逆に喜んでいたけど、私は無駄に忙しい。


 しかし面倒な事にシズちゃんの存在は教会に知られている。何が面倒かと言えば女神の寵愛を受けている私たちは教会には神の使い、女神の眷属と祭り上げられ、その為に反女神教徒たちにも目を付けられてしまうのだ。最近敵国であるボンズ帝国が反女神教徒に力を貸しているとの噂を聞きつけている。そのうち相当な実力者がカソレ村に攻め入って来る可能性があるのだ。これが面倒じゃなければ何が面倒なんだ。

 まあ幸い、シズちゃんは毎日のように釣りをしてレベルを上げているし、私もその魚を貴族共に高値で売りつけては経験値を稼いでいるけれど。

 私のスキルは商人なので売り買いすればするだけ強くなる。

 得意のテレポートスキルも視認可能範囲テレポートなんて荒技まで可能で敵の拠点だろうが跳べるし、そこで何でも保存できるアイテムボックスから溶岩なんかを取り出して焼き尽くしたり、まあ戦争の度に辺境伯のジジイに使い回される程度には私も強い。

 しかし面倒な事は面倒だ。もし女神の寵愛を受けし者が殺されたりしたら世界がヤバい。魔王が殺された後に大破壊をもたらした破壊神でもある星の女神様がまた暴れたら……。

 考えただけでもぞっとする。


 これからもシズちゃんを守るために毎日カソレ村に通わないと駄目だね。けしてサボってる訳でも無いし、お魚食べたいだけでも無いからね?


 そう言ったらシズちゃんが微妙な顔をした。そうだ、特別措置とは言え貴族になったんだからお茶会とかに誘っちゃおうかな? ますます私が忙しくなるだけの気もするけど。

 そしてシズちゃんに釣りに誘われた。ゴカイとか言う釣り餌がうにうにしてて面白い。手を噛ませてみたりしてたらシズちゃんまで引いてたが用意したのはシズちゃんだろうに。

 シズちゃんが召喚した竿を使わせてもらいカソレ村に住み着いてしまってる勇者君やシラサと、いつもシズちゃんといるナミちゃんと、まあ女神の寵愛を受けし者だらけの漁船で出航する。


 この船で帝国に攻め入ったら多分滅ぼせるけど、シズちゃんのスローライフを私も応援したいから面倒事は私や勇者君で片付けようね、と、まんまと勇者君を我が国の軍に引き込んだ。

 私も割と釣りが得意なようだ。商人と釣りは切っても切れない、ってね。






 現在作中最強で現在一番美少女のマンサ様の閑話でした。

 え? 残念系? 何の事ですか?


 もう二章も終わりですね。

 早すぎてなんか勿体ないような。

 皆さんどうやってお話をみずま……壮大に盛り上げているんでしょうか?

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