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釣りガール、お祭りの最後を締めくくる

 さて、村の広場に帰ってきた。この広場は教会の正面にあり、今後の村の拡張も考慮してかなり広く作ってある。それが早速役に立っている。


「それでは今回倒した魔物をこちらへ。数量チェックした後は各々売るなり持ち帰るなりするように!」


 マンサ様がしっかり仕切ってくれる。若いのに頼もしい。伊達に十代で伯爵をやっていないと言う事だろう。

 次々に計測、計量される魔物たち。この辺りの魔物ってそんなに強くないんだよね。……水中を除いて。

 大物一位、二メートルほどのレッサードラゴンと数量一位、二十五匹がそれぞれ発表され、会場は大いに盛り上がった。

 しばらく盛り上がったそののち、マンサ様がこちらに目で合図をする。私に出ろと言う事だろう。


「では、この村の住人による参考記録を発表する!」


 マンサ様の宣言と共に私達の獲物が並べられ、調べられていく。私は最後にグレーターデーモンフィッシュ、約五メートル、一トン~二トンと小魔物魚百数十匹を取り出した。どよめく会場。純粋に馬鹿でかい私の獲物に、ある者は己の不甲斐なさを感じたか落胆の声を上げる。ある者は感動にうち震える。またある者はじゅるりと唾液をすする。食いしん坊がいるな。


 このグレーターデーモンフィッシュは鑑定で味も良い事は分かっているので、マンサ様の計らいで女王陛下に献上する事になった。ここでは振る舞えない。

 なので五目釣りで釣れた魔物魚たちを順番にお刺身にしたり焼いたりして振る舞う。住民たちも慣れたものでどんどん調理していく。今回は陸の魔物も調理されているようだ。

 大人数なので鍋を作って振る舞う。出汁は昆布と魚のアラと野菜だけで味付けも基本は魚醤と塩味だが、お豆腐も入っているので日本人には嬉しいだろう。カイル君もニコニコして取り分けられた出汁鍋の魔物魚を食べている。「シズクちゃんは料理も上手いんだね!」とほめてくれた。

 新しく釣り好きな友達が出来て有り難いな。この村に住むかマンサ様みたいに毎日テレポートしてこないだろうか?

 たっぷり魚料理を振る舞って洗脳しよう。


「お姉さま~、美味しいですわ!」

「うん、皆で釣った魚だから美味しいね!」


 さり気なく皆で釣りをするの楽しいよね、とアピールをしておく。


「僕もまた釣りに来て良いかな?」

「もちろん!」

「男はお姉さまに近付いて来ないで欲しいですわね!」

「そんな、良いじゃん釣りに来るくらい!」

「陸釣りはご遠慮ですわ! このナンパ男! 女たらし! スケコマシ!」

「ナンパなんてしないよ! ……スケコマシって何?」


 カイル君とナミエがまたワイワイと喧嘩を始めた。仲が良いな。これはまた皆で釣りを楽しめるかも知れない。二人が船酔いしなければ船釣りも良いな。


「……お姉さまはブレませんわね。ある意味安心ですが」

「鉄の意志を感じるよ……」


 あれ、また心の声を口に出してしまっていたようだ。でも皆で釣りをするのは楽しかったし、また皆で行きたいのだが、この感じでは駄目だろうか?


「全然駄目じゃありませんわ!」

「僕も大丈夫、また釣りに行こうよ!」


 どうやらまた皆で釣りに行けるようだ。今度はマンサ様も釣りに誘ってみようかな。


「明日は何を釣ろうか?」

「明日って……まあお姉さまは毎日釣りしてますけども」

「僕もしばらくここに泊まるよ。和食も食べたいし」


 どうやらカイル君とは釣りができるようだ。アタルやトマンを誘っても良いかな?


「シズちゃん、女王様と連絡が取れたから明後日は王都に行くから、色々準備しておいてね」

「分かりました」


 マンサ様のフットワークの軽さは相変わらずだ。明日は王都に行く準備に当てた方が良さそうである。


「お姉さま、今日はお祭りを楽しみましょ!」

「屋台がいっぱい出てるよ、楽しもうよ!」

「うん、金魚すくいとかあるかな?」

「お祭りでも魚ですか!」


 金魚は食べないけどね。食べるならイカ焼きだろう。イカの姿焼き。明日はイカ釣りかなあ?


 カイル君とナミエと三人で屋台を巡る。牛串みたいな魔物肉を焼いた物を買って食べようとしたら今出てる屋台は全部無料で食べられるらしい。お釣りと言う言葉も好きなんだが。

 魚や貝の料理を出している屋台も多い。村人たちが積極的に運営しているようでオキヤシさんも魔鯛の半身を塩焼きにして配っている。高級魚なのに無料で配らないで欲しいのだが。宣伝にはなるのだが次から高く売ろうとしたら文句を言われるかも知れない。


 さて、色々見ていたら二人とはぐれた。

 こんな時には釣りに行くしかないな。イカを釣ろう。

 皆が集まる港前広場から竿を出すと餌をエビに変えてウェイトを魔力強化で耐えれるギリギリまで重くして投げる。ギュンギュンと糸が吐き出されて魔法餌が海に突き刺さる寸前にウェイトを消す。そのままだと小規模な津波が起こりかねない。

 パスッと言う小気味良い音を立てて餌が着水すると数十グラムだけウェイトを戻した。

 リトリーブ(巻き取り)を開始するとすぐにも大物の当たりがある。


「イカっ!」


 周りから歓声が上がる。何事かと思い周囲を見れば祭りの参加者や村人たちが集まって私の釣りを見ていた。見せ物では無いのだがこれはこれで村の宣伝になるかも知れない。


 ガリガリとリールを回してラインを巻き取るがどうも海草が引っかかったような重さがある。本命が来たようだ。


「こいこい、イカ~っ!」

「おおおっ」

「鉤持って来い! 三本くらい!」


 漁師のアゴニーさんがすぐに鉤の付いた竿、ギャフを用意して手元に寄せきった二メートルはありそうなイカを持ち上げる。皆パワーが有り過ぎだが私はこの人たちが苦戦する大物を釣り上げているのだから実は一番化け物なのは私だろう。持ち上がったイカはマンサ様にお伺いを立てて皆で食べる事にした。鑑定するとクラーケン幼体となっている。遂に伝説の生き物を釣り上げてしまったか。

 レベルも一つ上がった。


名前 シズク

年齢 9

状態 普通

レベル 37→38

生命力 171/171→179

体力 156/186→195

魔力 103/227→240

瞬発力 172→181

持久力 189→201

総戦闘力 805→883


・スキル(釣り人)

C基礎

 →生活魔法 水操作 結界 常時身体強化 釣具召喚 道具回復 魔力回復 体力回復 生命力回復 釣り経験値獲得

C鑑定・調査

 →魚鑑定 海藻鑑定 貝鑑定 エビ鑑定 接水千里眼 釣り場テレポート(new!)

C竿

 →竿強化 遠投援護 竿二本召喚 体力吸収

C糸・リール

 →糸絡み防止 糸強化 糸延長 自動巻き取り

C魔法餌

 →ウェイト操作 練り餌 虫餌 エビ餌 イカ餌 魚餌 貝餌 万能餌

C釣り補助

 →滑り止め 雨除け 虫除け 魔物除け 偽装 小魚一荷釣り 麻痺

Cクーラー

 →クーラー召喚 容量380(up!) 水筒 製氷 泥抜き 保温 鮮度維持

C船

 →船酔い防止 小舟召喚 漁船


・加護

 星女神加護 漁神加護


・称号

 村長の孫娘 アミヤ領期待の星(new!) 子供たちの指導者 釣り仙人(new!) 魔物魚の天敵 魔物喰い(new!) 料理マニア 男勝り 水棲少女 前世記憶保持者 女神に愛されし者


・女神から一言

 祭りに行きたい。



 女神様いつ来るんだろう?

 能力が異常に上がってるな、と思って称号を調べると魔物喰いの称号に魔物を食べ続けた事により身体能力アップと書いてあった。もう人間を辞めてるのかも知れない。


 祭りは大いに盛り上がり、翌朝まで村人たちは酒盛りを続けていたようだが私はすぐに寝た。翌朝お手製のスポーツドリンク(レモン汁、蜂蜜、食塩を適量の水で溶かしたもの)を配って歩く事になったが。






 一度に二話更新していますがペースはどうでしょうか?

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