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釣りガール、魔物狩り大会に参加する

 告知から二週間後、カソレ村魔物狩り大会が始まる。会場の中央広場ではマンサ様、ニッケル様、お爺ちゃん、巫女のアミさんが挨拶をしていく。マンサ様やアミさんは可愛いから人気だが二人とも女神関係なので不埒な真似をする人間もいない。騎士様たちも楽で良い事だろう。

 それにしても女神様怖がられすぎだよね。中二病だけどすごく可愛いのに。


 周囲を見渡すと私より少し年上くらいの少年がいた。魔物狩り大会に参加するような少年……女神の寵愛を受けし者だろうか?

 見詰め過ぎていたために気付かれてしまったようで、少年は私に近寄ってきた。


「こんにちは、僕は勇者カイルだよ。君もこの大会に参加するの?」

「勇者?」


 どうやら彼が勇者らしい。黒髪に碧眼、女顔で戦いの日々のはずなのに色白、普通の女の子ならキャーキャー言いそうな美形だが私は興味無いな。これからの釣りにワクワクしているから。


「君この村の人? 良かったらパーティーを組まない?」

「陸釣り……ナンパですか?」

「い、いや、そんな、ナンパ?」


 そうか、これはナンパか、と、ボソッと呟くのが聞こえた。しかし女神の寵愛を受けし者を釣るのが目的だった訳であんまり冷たくするのも良くないか。一緒に釣りをすると言うなら付き合ってもらおうか。


「じゃあ一緒に釣りする?」

「釣り? 魔物狩りじゃ……」


 どうやら勇者さんは魔物魚の存在を知らないようだ。駄目だな、釣りもできない勇者とか有り得ない。最近のロールプレイングゲームなんてほとんど釣り要素があるとナミエが言ってたぞ。釣りに関しての記憶力は相変わらず抜群だ。


「魔物を釣るんだよ。来るの、来ないの?」

「……面白そうだ……。行くよ!」


 よし来た!

 釣りをするなら全ての人は私の味方だ。私の釣りを見せてあげよう。そんな風にワクワクを更に加速させつつ、私は港に走り出した。勇者カイル君が楽々付いて来るのは流石だ。

 ちなみに今のステータスは、こんな感じ。


名前 シズク

年齢 8→9

状態 普通

レベル 30→35

生命力 132/132→159

体力 141/141→173

魔力 178/178→212

瞬発力 126→158

持久力 144→177

総戦闘力 510→743


・スキル(釣り人)

C基礎

 →生活魔法 水操作 結界(new!) 常時身体強化 釣具召喚 道具回復 魔力回復 体力回復 生命力回復 釣り経験値獲得

C鑑定・調査

 →魚鑑定 海藻鑑定 貝鑑定 エビ鑑定 接水千里眼

C竿

 →竿強化 遠投援護 体力吸収

C糸・リール

 →糸絡み防止 糸強化 糸延長 自動巻き取り

C魔法餌

 →ウェイト操作 練り餌 虫餌 エビ餌 イカ餌 魚餌 万能餌

C釣り補助

 →滑り止め 雨除け 虫除け 魔物除け 偽装 小魚一荷釣り 麻痺(new!)

Cクーラー

 →クーラー召喚 容量350(up!) 水筒 製氷 泥抜き 保温 鮮度維持

C船

 →船酔い防止 小舟召喚 漁船(new!)


・加護

 星女神加護 漁神加護


・称号

 村長の孫娘 村人期待の星 子供たちの指導者 釣りマスター(new!) 魔物魚の天敵(new!) 料理マニア 男勝り 水棲少女(new!) 前世記憶保持者 女神に愛されし者


・女神から一言

 魔物狩り大会頑張って。



 遂に魔力が二百を超えた。スキルの結界は竿を持っている時、不意のダメージや選択した任意のダメージを魔力消費で押さえ込める。逆に言えば受け入れたいダメージ以外は全て魔力で受け止められる。

 麻痺は釣り上げた時点で魚を麻痺させる事で暴れられるのを防げる。魔物魚だろうがなんだろうが必ず麻痺させられるチートスキルだ。

 漁船は魔力でコントロールできる小型の漁船を召喚できる。


 まあ一番嬉しいのは称号に水棲少女と言う物が付いた事だ。ステータスでやっと女と認められたんだから。いや、孫娘もそうと言えばそうなんだけど……孫娘ってなんか小さい子って感じはしても「女」って感じしないし……。

 とにかく私は少し機嫌が良いのだ。


 それはそれとして、カイル君には保存しているゴカイ餌から使ってもらおうかな。ふはは、ゴカイも触れない男はサメの餌だ。

 漁船を出したらカイル君がギョッとした。駄洒落っぽいがそんな気は無い。


「凄いスキルだね。君も女神様の眷属なんだね?」

「まあね」

「じゃあ僕と一緒に……。いや、何でもない」


 何か言いかけて止められたら気になる。しかし船を褒められるのは嬉しいものだ。機嫌良く私が漁船に乗り込むとカイル君も慌てて付いて来た。


「じゃあ、出航~!」

「いいね、出航~!」


 こうして私は何故か勇者と漁船に乗って漁に出たのだった。





 釣り場に到着してそれぞれの竿を出す。勇者に出したのは私の手作りのスピニングロッドだ。手作りと言ってもほとんどは村の鍛冶屋でドワーフのタキタさんとナミエが、彼女が異世界から取り寄せた資料を元に作ったのだが。


「……これ船上デートじゃ……」

「なんか言った?」


 船の上は風が強いから声を張らないと何を言ってるか分からない。なので漁師さんはわりと皆声が大きい。

 聞き返すとまごまごする勇者君。良く分からん人だな。


 さて、釣るか。私は早速カイル君にゴカイの入った木箱を渡す。


「これは?」

「ゴカイだよ」

「ああ、あれか」


 お、平気なのだろうか、やはり勇者だな。そう思いつつ見ているとするすると針にゴカイを付けて岩場に投入した。むむ、これではサメの餌にできないからサメが釣れない。


「ごめん、タオルとか無い?」

「ああ、すすいであげる」


 水操作を使いカイル君の手を洗うと、水気も残さず払う。浄化魔法より簡単で気持ち良いんだよね。


「あ、ありがと」

「ん~」


 何故かカイル君の顔が赤い。熱中症だとまずいので蜂蜜とレモン、塩を入れた特製スポーツドリンクを水筒に入れて渡す。


「えっ、……いいの?」

「何が? 体調悪くする前に水分を補給しないと」

「う、うん……」


 更に顔が赤い。これでは釣りにならないんだが。やはり他の人と釣りをするのは難しいな。






 何時更新くらいが良いんですかね?

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