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釣りガール、八歳になる

 春が来て、私も今日で八歳である。長い間苦労した借金もようやく返しきり、今はオシモさんからの税金でホクホクだ。そのお金で商店や広場などの村の施設も充実していく。


 前世の話、春生まれの私は昔から周りより体が大きかったのだが、それが中学に入っても変わらないとは思ってもみなかった。お兄ちゃんたちをいつも見上げていた私が男子を上から見下ろすのはかなり微妙な気分だった。

 そんな私だが生まれ変わったのだからもうあんなに成長しないだろうと、そう思っていたのに。


 気が付けば私は、八歳の村人の誰より大きくなっていた。ニッケル様にもらった服は既に着る事が出来ない……。でも恩返しは出来たと思うから良いかな。この服は孤児の女の子にあげようと思う……。泣いてないし。


 話を戻そう。私は大きくなった。毎日魚を食べていればカルシウムもタンパク質も取れるのだからそりゃ成長すると言うものだ。私が魚料理を流行らせたせいか、カソレ村の子供たち皆が他の村の子たちより大きいとニッケル様やマンサ様が感心していた。

 そんな中でも私は一番大きい。

 辛うじてアタルが私と同じ身長か少し大きいくらいだが、アタルは一歳年上だった。

 どうやら今回の人生でも私の女成分は順調に死滅していっているようだ。絶滅はどんな手を使っても防がなくてはならない。なので髪型をツーサイドアップにしたりして無駄な抵抗をする。それを見たマンサ様には誉めてもらえた。


「可愛いわよ、シズちゃん」


 マンサ様は最近私をシズちゃんと呼ぶ。名前を略されるのはあまり好きではない。友達がシズちゃんシズちゃんと呼んでいたせいで私の名前はシズカだと思っている人が良くいた。

 靴箱に入っているラブレターには差出人の名前が書いていない事があるのだが、私の名前は当然書いてある。一パーセントくらいの確率でシズカ様だった。

 女の子からラブレターをもらうまでは良いのだが(それも問題だが)ラブレターの宛名が間違ってると凄く微妙な気分になる。皆も一度経験してみると良いのだ。


 ちなみにマンサ様は商人スキルの拠点テレポートを使って毎日のように村に来ているようだ。道理で頻繁に訪れると思った。

 儲かるので助かるのだがさすがに気を使う。元日本人同士なので良いよ、と、本人はあまり気にしていない様子だが。


 さて、それはさておき、一年経ったのでレベルは上がっている。


名前 シズク

年齢 7→8

状態 普通

レベル 21→30

生命力 87/87→132

体力 101/101→141

魔力 125/125→178

瞬発力 85→126

持久力 102→144

総戦闘力 310→510


・スキル(釣り人)

C基礎

 →生活魔法 水操作(new!) 常時身体強化 釣具召喚 道具回復 魔力回復 体力回復 生命力回復(new!) 釣り経験値獲得

C鑑定・調査

 →魚鑑定 海藻鑑定 貝鑑定 エビ鑑定 接水千里眼(new!)

C竿

 →竿強化 遠投援護 体力吸収(new!)

C糸・リール

 →糸絡み防止 糸強化 糸延長 自動巻き取り

C魔法餌

 →ウェイト操作 練り餌 虫餌 エビ餌 イカ餌 魚餌(new!) 万能餌(new!)

C釣り補助

 →滑り止め 雨除け 虫除け 魔物除け(new!) 偽装 小魚一荷釣り

Cクーラー

 →クーラー召喚 容量300(up!) 水筒 製氷 泥抜き 保温 鮮度維持(new!)

C船

 →船酔い防止 小舟召喚(new!)


・加護

 星女神加護 漁神加護


・称号

 村長の孫娘 村人期待の星(new!) 子供たちの指導者(new!) 釣りマニア(new!) 魔物を釣りし者(new!) 料理好き 男勝り(new!) 前世記憶保持者 女神に愛されし者


・女神から一言

 お主は強い。戦うのじゃ!



 まず女神様の口調が違う。わざとだろうけれど。私は何と戦わないと駄目なのだろうか。なんだかダークフォースをまとった敵役とか出てくるんだろうか。

 私が求めてるのは無双ではなくてスローライフだから敵はいらないのだが……。

 水操作と言うのはほとんど魔法だった。攻撃でも防御でも水を自在に使える。いったい女神様は私に何を期待しているのか。

 ついにレベル三十で船を使えるようになったのは有り難い。より大型の魔物と戦えるだろう。

 ……いや、本当に無双がしたい訳じゃ無いからね?


 今日も子供たちを釣りに連れて行ってるので子供たちの指導者なのは間違い無いかも知れない。


 最近図書館もオープンし、遂にナミエも女神様の寵愛を受けし者と公開する事になった。

 ナミエはいながらにして図書館の本を全て読んだりお勧めの本をピックアップして召還したり、前世の本を召喚したりして、そのスキルで知識チートを存分に振るっている。おかげで村は町と言える規模まで開拓が進んだ。数年もすればカソレ村はカソレ町になるだろう。


「じゃあ私は沖に出るから」

「気をつけろよシズク」


 アタルと騎士の皆さんに子供たちの面倒を見させて私は小舟を召喚し、オールを漕いで沖に出る。

 騎士の皆さんは私の護衛だが水上にはついてこれないのでほとんど子供のお守りをしている状態だ。


 手を海水面に浸けて新能力の一つ、接水千里眼を使うとその水が触れている限りどんな場所でも見る事が出来る。魚群探知機なんて目じゃないスキルだ。

 今回のターゲットである魔物魚、魔鯛を狙う。

 冗談みたいな名前だが味も良いし美しい魔物魚だ。

 魔物なので当然襲い掛かって来るのだがいつもは深海にいるのでそれほど驚異ではない。身体強化の影響で攻撃を受けても捕まえてクーラーに放り込めるので脅威どころか有り難いくらいだ。

 クーラーも遂に鮮度を維持してくれるようになったので釣りまくっては近くの村に売りにも行ける。なので今回遂に村を出ることにした。


 さて、餌だが今回は万能餌を使う。これはどんな魚でも釣れる餌ではなく、ターゲットによって形を変えられる餌だ。

 形だけなので匂いや味がある他の餌より釣るのが難しかったりする。だがルアーフィッシングを嗜んでいた私にとっては楽しい餌だ。

 今回は鯛ラバと呼ばれるタコのような形のルアーを形成してみた。

 エビで釣れば楽なのにわざわざルアーを使うのはやはり自分のテクニックを使って釣るのが楽しいからだ。数を揃えたいのでエビでも良いのだがまだあまり魚がスレていないうちはルアーを使いたい。

 ルアーは継続して使いすぎると魚がルアーを見破り食わなくなってしまう。これをスレた状態と言うのだが、こうなってきたら餌に切り替えるつもりだ。


 さて、最初の一匹を目指して召喚した竿は船の上でも使い易い五フィートの船釣り用スピニングロッドだ。ベイトリールや両軸リールのような縦巻き型のリールを使っても良いのだがスピニングが使い慣れているのでスピニングを選んだ。

 ベイトリールはバス釣りに良く使われるブレーキが付いているので投げ釣りに使える、ルアーフィッシングで良く使われるリールだ。両軸リールは自動巻き取り機能がある電動リールなどが有り、深海釣りなどの沖釣りに良く使われる。


 ライン延長のスキルを使ってするするとラインを伸ばして鯛ラバを沈めていく。ゆっくりと着底させてすぐに少し巻き戻す。

 さて、釣れるかな?






 鯛は塩焼きで十分ですよねえ……。

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