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釣りガール、錬金術を知る

 岩場で岩喰いを釣ってレベルを上げる事にする。

 天草を数種類確保して鑑定した所、凍らせたりしないと駄目なのが分かった。粘液を抽出するまでは鑑定に書いてあったレシピに従えば出来るのだが、このままじゃ固まらない。乾燥させないと駄目なのだが凍らせてから解凍すると分離すると書いてあった。そしてご丁寧にレベルが上がるとクーラーボックスで氷が作れる、とも書いてある。もう女神様がスキルで寒天製作とか作ってくれないだろうか……。


 ちなみにこの辺りの沖の島でサトウキビを育てている島があるらしく、カソレ村では砂糖も安い。村で作れば良いのだが塩田が場所を取ってるからなかなか難しいようだ。あと取れるのは柑橘系の果物か。林檎などは北の騎士爵様の町、ニッケルの北の山脈地帯で栽培されているそうだ。フルーツポンチを作りたい。

 なので釣りをしている。どうでも良い事だがクーラーボックスって釣りスキルの中でも便利すぎるよね。


「よし、フィ~ッシュ!」

「きましたわー!」

「待って、なんかそのセリフ危ない」


 ストーカーちゃんは頭の中がマッピンクな五歳児だ。相手にしていられない。


 レベルが上がったからか岩喰いは最初より楽に引き寄せられる。しばらく良い引きを味わった所で釣り上げた。


「タモさん持ちますのに」

「もっと大物なら頼むよ……タモさん?!」


 タモアミに敬称はいらない。

 釣れたのは四十センチくらいの岩喰い。何匹も釣ったらお裾分けしないと食べきれない量になる。宿屋さんや市場で売っても良いのだがそれはクーラーボックスの品質が保持されるようなスキルが出来てからだろう。このクーラーボックスの便利さを考えると女神様もその辺りは考えていそうだ。


「さて、レベルは……おかしいな、まだ上がらないのか」

「苦戦しないと経験値にならないんですかね~」


 ちなみにナミエは司書スキルをもらったらしい。本はお爺ちゃんが村作りの勉強のために大量に購入したのでうちの書庫にたくさん有るのだが、せっかく司書がいるなら図書館を設けても良いかも知れない。住人の教育レベルも上がりそうだ。

 帰ったらお爺ちゃんに相談しようと心に留め置く。


「まだまだ釣らないと駄目だな」

「次はタモさんが必要になる魚だと良いですね~」


 ナミエはどうやらタモさん呼びが気に入ったらしい。ちなみに特に他意は無いがナミエにも偏光グラスを着けさせている。

 と、ラインが引き込まれ竿がググッと曲げられる。


「お・さ・か・な!」

「きましたわー!」


 やめろと言うのにナミエは調子に乗って続けた。もうツッコミは入れるまい。

 それよりもこいつは大物だ。レベルが上がって大人より筋力が有る私でもキツい。これを釣り上げればようやくレベルが上がりそうだ。


「と、油断禁物!」

「跳ねましたね~」


 強烈なエラ洗いだ。激しく水上にジャンプし、左右に頭を振る岩喰い。エラが広がって頭が丸太のように太くなっている。五十センチは超えてきそうだ。魚用のメジャーも召喚しておこう。


 これ以上エラ洗いさせないために水中に竿先を突っ込み一気にラインを巻き取る。スプール(リールの糸を巻く部分)の高速回転でどんどんラインが吸い込まれていくがまだまだ距離が有る。魚が上を向いたのを感じたのでロッドで頭を強引に横に向けさせ、エラ洗いを防ぐ。あと少し。


「出番ですわタモさん!」

「頼んだ!」


 ぐるぐると回転する魚の頭を手前に向けさせるがタモを嫌ってまた沖に逃げようとする。ロッド操作で頭を戻させるがドラグをギリギリと鳴らしてまた逃げる。しばらくの格闘の末、ナミエは上手く魚を捕らえた。


「おーっし、お疲れ様!」

「有り難う御座います~!」


 さっそくメジャーを取り出して計ると、五十八センチもある大物だった。これなら岩喰いは六十オーバーのサイズの魚も期待できるか。こうやって徐々に目標のサイズをアップしていくのも釣りの楽しさだね。


 あと、レベルはさすがに上がった。


名前 シズク

年齢 6

状態 普通

レベル 6→7

生命力 23/23→28

体力 25/30→35

魔力 20/34→40

瞬発力 22→26

持久力 24→30

総戦闘力 68→82


・スキル(釣り人)

C基礎

 →生活魔法 常時身体強化 釣具召喚 道具回復 釣り経験値獲得

C鑑定・調査

 →魚鑑定 海藻鑑定

C竿

 →竿強化

C糸・リール

 →糸絡み防止 糸強化

C魔法餌

 →ウェイト操作 練り餌 虫餌 エビ餌

C釣り補助

 →滑り止め 雨除け

Cクーラー

 →クーラー召喚 容量70(up!) 水筒 製氷(new!)

C船

 →船酔い防止


・加護

 星女神加護 漁神加護


・称号

 村長の孫娘 釣り好き 料理好き 前世記憶保持者 女神に愛されし者


・女神から一言

 甘い物たくさん作ってね。そのうち食べに行くから。



 えっ、と。そのうち食べに来る? 良いのか女神様。

 まあ氷を作れるなら塩を使えば色々凍らせられるしね。アイスクリームも作れるかあ。

 まずは寒天をなんとかしないとね……。村の産業にするには氷の魔石が必要だけど他の魔石に比べてかなりお高いと聞く。


「氷の魔石欲しいなあ」

「錬金術でも学んでみましょうかね?」

「錬金術なんて有るの?」


 どうやら火の魔石や光の魔石は魔物から取れる魔石を錬金術で変質させて作るらしい。昔は大砲なども作れたのだが大神災以降魔石の能力が著しく下がったそうだ。


「女神様のお怒りはそれはそれは凄まじかったようですね」

「いったい人類は何をやらかしたの?」

「魔王を退治してしまったそうですよ」


 え、魔王って倒さないと駄目なんじゃないの? と、思ったがナミエによるとこの世界の魔王は世界の法と紛争を管理し大戦争を防ぐ存在らしい。現在は勇者は存在するが魔王はいないそうだ。女神様は失った魔王をとても大切にしていたのだろう。あの人かなり甘々だもんね。


「ともかくこれから研究するので何年かかかると思いますよ~」

「それでも村を大きくするには錬金術の力は必要だと思う。お願いして良いかな?」

「もちのろんですわ! 水臭すぎて飲めませんわ!」

「意味は分からないけど有り難う」


 ナミエスイッチが入ったようなので数年後には魔石を作り出せるようになりそうだ。彼女もスキル持ちならもっと早いかも知れない。女神様に力を授かった人間が二人もいるならこの村の未来は明るいんじゃないだろうか。


 さて、ようやく寒天作りにチャレンジ出来る。






 ナミエは割と良い子です。

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