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2話「一期二霊の出会い」

4月11日土曜日、俺は桜の木の下で自殺しようとしていた女性を助けた。


そして、女性は光りに包まれ消えた。


「あれ? さっきの女性はどこ行ったんだ?」


俺は、辺りを見渡すがどこにも見当たらない。というより俺以外誰もいない。


「まあ気になるけど、とりあえず帰るか!」


女性が消えたという不可解な現象に、もしかして心霊的なヤツとかしれないと恐怖心を覚えた俺は家に向かって歩き出した。


俺が公園から出ようとした時、後ろから


「どうして先に住んでるひとが居るのに入ってくるわけ? バカなの?」


あれ? 確かこの辺りには俺以外誰もいないはずじゃ……そう思ってしまった俺が後ろを向くと


昨日の夜の女子生徒とさっきの女性がいた。


「アナタに自殺無限ループの苦しみがわかりますか? いやー今日は別にいいかなーと思っている日でもやるんですよ! そして、光さんは私の無限ループを初めて止めてくれた人なんです。敢えて言うなら、私の初めての人です! 私は生きていた時の記憶は無いですが、私は初めての人に全てを捧げる気ですから!」


俺があっけにとられていると、女子生徒が反論する


「知りません! 私だって、光君が私のひとりぼっちを迎えに来てくれた白馬の王子的なやつです。」


そこで、俺が耐え切れず話を切り出す


「君達、さっきから俺がどうのこうの言ってるけど何?」


「光君・光さんはどっちが良いんですか!」


二人が俺の話を無視して、同時に質問してくる


「お前ら……俺の話聞いてる?」


「すいませんでした……」


俺のふつふつと湧き上がる怒りを感じたのか、二人が急に静かになった。


「えっとお前らは何なの? 急に俺の後ろに現れたり、あと足の方が薄いけど。もしかして」


「はい、そのもしかしてです。私達、幽霊です」


「あと、お前らの名前は? 呼ぶ時、面倒だから」


「思ったより驚かないんですね。えっと、あちらの桜の方は知りませんが私は生きている時の記憶がないので名前は覚えていません。なので勝手につけてください」


「学生さんに続いて私も同じなので名前をつけて貰えれば、嬉しいです」


「とりあえず、桜の方は"桜"な!」

もう一人の名前に悩む俺、桜ときたら姉は凜しか思い浮かばないのだが、まあ適当でいいやと

「学生は、1年6組で鉢合わせしたので"いろは"で!」


こうして幽霊'sの名前は決まった。


「最後に、俺の現状説明よろしくお願いします」


「ここは、桜の先輩である私いろはにお任せください」


姉じゃないのね。と思う俺だったが、説明を聞くことにした。

「じゃ、いろは頼むわ」


「はい! 任されました! 光君の現状は思ったより単純です。私達、二人分の幽霊に憑かれています。以上。‥‥あと、二人分憑いてるんで、霊感がかなり強くなっています」


「ありがとう面倒なことになってるな、じゃあ俺は帰るわ! お前らは、勝手に俺に憑ていてもいいけど後でちゃんと祓うからな」


そして俺の身体の同居人が三人になった。


※※※※※※※※※※※※※※


とある教会


「はい。わかりました神父おとうさん。僕は私立専掌学園しりつせんしょうがくえんに転入してそこで布教活動をしながら例の任務に就けば良いんですね。では」


少年は携帯電話をきり、少しにやけて


「日本ですか……たまりませんねぇ」


と呟いた。


※※※※※※※※※※※※※※


俺は家の前に立っている。しかし、なぜか入る気にはなれなかった。


「どうかしましたか光君? 早く入ってしまいましょう!」


俺が、ドアを開けたその先には風邪をひいていたはずのハルがいた。


4月11日午後1時、俺は椅子に縛られている。


「ハル? これおかしくない?」


「おかしくないよ。後で、昼食としてヤンデレのデレ抜き殺意マシマシをたっぷりとごちそうしてあげるからねっ!」


ハルが家には無い出刃包丁を持って冷たい笑顔を振りまいてくる。


「こえーよ! HA☆NA☆SE!」


俺が縛られている間に、母さんと妹は各個人の部屋に籠もり、挙句の果てには俺のスタンド二人は奇妙な冒険をしていく漫画を俺の部屋から持ってきて読んでいる。


「俺なんかひどいことしたっけ? 後、後ろのポルターガイストを無視してるよね?」


「光、昨日の電話私の話を全部聞かなかったでしょ! それとポルターガイスト?ナニソレ、シラナイヨ」


「ごまかすんじゃねーよ! 電話の件はごめん。で、話って何?」


「良いよ。別に、後で話すから」


そう言うとハルは荷物をまとめはじめた。


「あれ? もう帰えるのか? もうちょっとここに居ても……ほら、夕食でも食べてから帰ったって良いよ」


俺は必死で引き留めようとする。


「まだまだ昼だよ光。夕食までって言ったって流石にそこまでは……」


そう言いながら、荷物を入れたカバンを持つハル


「じゃあね!……おじゃましましたーー!」


そうして、ハルは帰って行った。椅子に縛られたままの俺を残して。


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