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1話 Aパート「桜の木の下には厄介事がいる」

俺がハルと初めて会ったのは十年ぐらい前のことだ。その頃、ハルは泣き虫だったのを覚えている。

ハルは俺の自宅の近所の経読きょうよみさんとこの一人娘らしい。

初めて会ったのは、春には桜が咲く近所の公園だった。その公園の桜の木の下でハルは泣いていた。


そして、俺はハルと約束をした


「うっ、あれ? ここは俺の部屋か。いつの間にか帰ってたのか、にしても懐かしい夢を見たなー約束ね……覚えてないな」

俺が起きると、4月11日の午前9時とめざまし時計が指していた。

「さて、朝食を食べるとしますか」

俺は、寝癖がひどい頭をかきながら部屋を出た。

俺の部屋は、憑神つきかみ家の二階に位置している。あと、夏場は西日がひどいのが毎年の悩み。

そして、隣の部屋がマイフェイバリットシスターの希美ちゃんの部屋となっている。敢えて言うが、妹に手を出そうとする不埒ふらちやからがいればお兄ちゃんが殺っちゃうぞ☆という心持ちである。

「今日は、土曜日だからマイフェイバリットシスターはぐーたら寝ているな。なら起こさないように抜き足差し足忍び足でリビングまで行きますか」


リビングには、母さんがコーヒー(超甘い。1回作ってもらったが甘さがコーヒーの苦味を殺していて、飲んだ人でさえも殺しにかかるといった甘さだった)を飲みながらくつろいでいた。

「光おはよー」

「おはよう」

俺は頭をかきながら母さんの挨拶に答え、顔を洗おうと洗面所に向かった。

「あーだるー」

俺は全身の気だるさに違和感を感じながら顔を洗った。


「ひかるー、朝はパンで良いねー? 勝手に焼いといてねー」

「はいよー」

「なんか飲み物でも飲む?」

「とりあえずミルクでも貰おうか」

「自分で用意して飲んでねー」

お分かり頂けただろうか。母さんは実は朝食の準備をするようで全然していないのである

「母さん相変わらず聞くだけ聞いて用意しないね」

「だってめんどくさいんだもん」

そんな母さんに呆れながらも朝食の準備を進める俺だった。


「そいえば光? 昨日、夜の12時頃にえらくしょんぼりしていたけどどしたの? もしかしてクラスの女子にたまたま会って、成り行きで告白してフラレた?」

「そうか、12時ぐらいに帰ってたのか。その成り行きおかしいな。あと俺は学校であったのは……アレ? あの子って誰だ?」

不思議がっている俺を見て母さんは

「やっぱり誰かと会ってたんじゃないの」

「でも誰なのかさっぱりわからないんだ。後、朝食食べたらちょっと散歩するわ」

「気をつけるのよー」


数分後、俺はパ○ドラのログインを済ませて外に散歩に出た。

俺が向かったのは、桜が散り終わり始めた桜並木だった。そして、そのまままっすぐに進むとあるのがハルと十年前に約束した公園である。


「もう、桜のシーズンも終わりかー。まあでも、おとといの春の大嵐の突風でこれまで生き残ってた奴らが大半やられたからなぁ」

散った桜を見ながら俺は、散れ千本桜とか言って見た。

そんなこんなしながら俺は公園に着いた。

「ここの桜だけよく持つんだよなー」

公園には、桜がやっと散り始めたぐらいの桜の木とその桜の木の下で首を吊っている女性がいた。

「たずけで……」

「おい! お前何やってんだよ!」

急いで助けようとするがなかなかロープを解くことができない。

女生があがくと桜の木の枝がミシミシ言い始めた。

そして女性は折れた枝と一緒に地面に落ちた。


「どうしてこんなことを?」

俺は女性を公園のベンチに座らせて話しかけてみた。

「いやーお恥ずかしい話ですが覚えてないんです。」

ふざけた回答だった。

「ではお名前をお聞きしてもいいですか?」

「実は名前も覚えてないんです。テヘ」

「テヘじゃないです。ってことは、どうしましょ」

この記憶喪失であろう女性をどうしようか迷っていると

「よければ、名前を聞いても?」

「俺は憑神光。この辺に住んでるんだ」

俺は、なんも考えずに名前を教えた。それがこれからどんな厄介事を招くかも知らずに……。


「ありがとうございます。憑神さんですね。なんか憑いてるみたいですが背に腹は変えられません! 失礼します!」

「え!? なんか付いてるってどうしたの?」

俺が驚いて質問する間に女性は謎の呪文みたいなのを唱え、唱え終わると彼女の全身が光りだした。

「まぶしっ」

俺は、眩しさで目を閉じる。


光が収まり、目を開けると俺の横に座っていたはずの女性が消えていた。

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