話題のあの人
「ねえねえ、美羽の席の前の転校生って美羽のことしってる人?」
翔がそう聞いてきたのは、電話をして大翔の話を聞いたあとのことだった。
「凌君のこと?」
翔が小動物みたいに首をかしげる。
「芳須って人」
はすって。
あぁ、確か凌君がそんな感じの名字だった気がする。
「それ凌君」
「美羽知ってるの?」
なぜに翔が知っている。
「ねえ、ちょっとさ。まさかとは思うけど、いやそうであってほしくないと思うけど、私の教室行ったりしてないよね?」
でも、まあさすがにこれは考えすg
「うん」
うん、どっち?
「昼休みにいったよ」
行っちゃったのね。何でいらない行動力あるかな。
「で、女子達が騒いでたから聞いたらその芳須って人だった」
へー。
私があんなにも嫌われて睨まれている女子達に・・・。
何か負けた気がする。
どこまでいっても敵は敵なのである。
by美羽
「んで、何でしってんの?」
答えに困るんだな。
「んー、昔。隣の家に住んでたから、かな」
「ふーん」
そういえば今も隣の家だった。
・・・説明する必要ないよな。めんどくさいし。
「じゃあ、大翔も知ってる?」
「覚えてると思うけど?」
「へー」
なんせ、ちっさいころの話だからな。
「あのひとさ、俺あったことある?」
いや、しらんがな。
「っていうか、引っ越してきたんでしょ?私が知ってるわけないじゃん」
「そっか」
床を見て、私の答えを流す翔。
珍しく、考え込んでるな。
口元を手で触る姿とか、画になりすぎてるんですけど。
むしろ画になりすぎて、むかつくんですけど。
翔が何かつぶやいたけど聞き取ることが出来なかった。
「え?」
「ん?何でも無いよ」
「ほんとに?」
「うん」
似合わない。
翔が落ち込んでいるように見える。
どうしてだろう。
そんなにくらい話もしていないのに。
「なんかあった?」
「ううん」
そう言って翔は首を振った。
これ以上、踏み込んじゃいけない・・・?
そっか。
家庭の事情かも知れないしね。
さて、夏詩くんのお姉さんに2回目の電話といきますか




