不可抗力
面倒なことは避けていきたい。
楽にいたいし、他人に絡まれたくもない。
そもそも、人間関係自体がめんどくさい。
友達とか、家族とか恋人とかなにが違うのか分からない。
呼び方なんてどうでも良い。
そんなことで面倒なことに絡まれたくない。
しかし、今の私はどう考えても面倒なことに巻き込まれている。
いや、私のせいではない。
不可抗力だ。
人の事なんて操れるはずがない。
そもそも、人のことを操ることが出来たならこんな状況に陥っていない。
そう、不可抗力だ。
ふかこうりょく・・・。
「美羽先輩。なんで俺の姉ちゃんのこと知りたいの?」
「いや、夏詩くんには関係ないよ」
そう。夏詩くんには関係が無いことだ。
「なんかやだ」
なにがだ。
「なんか、姉ちゃんに美羽先輩とられそう」
安心しろ。それはない。
「っていうか、姉ちゃんに直接聞けば良いじゃん」
「いや、それは・・・」
「教育実習生で来てるんだから」
そう、夏詩くんの姉は今、この学校にいる。
うん。知ってる。
「先生ってなんか話しかけにくいジャン」
適当な理由をつけとけば良いだろう。
「ん~、そうかな?」
「そうだよ」
そうそう。
「ふーん。まー、いーけどね」
「なにが」
「だって美羽先輩とたくさん話せるじゃん」
きらきらした目で見つめないでくれ。
罪悪感がうずく目だな。
・・・いや、悪いことしてないし。




