弁当の脅迫
朝は5時に起きた。いつもは6時ぐらいに起きるのにえらいよ私。だって、ぎりぎりまで寝てたいし。ご飯は夜のうちに炊いてたけど、今日からは3人分だ。
翔から作れって言われたから・・・。
いや、間違えた。作れって脅迫されたんだった。
「美羽ー。明日、俺の弁当も作ってねー」
「は?」
What? Why?英語の発音にはちょっと自信があるんだよね。
「だーかーらー。弁当、俺の分も作って」
「嫌」
「なんて言ったのかな?美羽チャン?」
「嫌!」
2人分作るだけでも大変だってのに。
オイオイ、なんで近づいてくるんだよ。笑ってるのにいつもより怖いぞ。
「ん?」
笑顔で聞くな。
「い・や・だ!」
「ハァー」
ドン。
「作って?」
どん?私の顔の横を風が切ったぞ。あー、これが世に言う壁ドンかー。
でも絶対これシュチュエーション違くね?うん違う。違わないのは翔の顔ぐらいだと思う。
こんなのんきなこと思っているが、実は怖い。これ、脅迫の疑似体験してるみたいだよ。疑似体験したことないけど。
「分かった?美羽」
「はい」
これ(脅迫)されて嫌って言える奴いねーだろ。いたら、どんだけ強靱な心もってんだよ。会ってみてーよ。・・・・・・いや、前言撤回。やっぱ会いたくない。
そんなこんなで、作らなきゃならない。お父さんの弁当箱があったはず。まぁ、ちょっと・・・アレだけど大翔と同じくらい大きいからいいか。翔もきっと結構、食べるんだろうな。
間に合わない。
朝練だと!?聞いてない。急に言われても知らない。大翔がそのことを口走ったのは、朝食の最中。私はまだ弁当と格闘中。あと10分で出るらしいが、それには間に合わない。女子テニス部は、朝練がなかったから幸いだったがどうしよう。
「あとでもってきて」
ノー。1年の教室とかヤだ。それに結構モテるんだよね。
・・・残念ながら私じゃなくて大翔と翔がね。
「昼休みに部室で渡す」
「ん。ごっそーさん」
「ありがとう、美羽」
うん、ドーモ。