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年下くんの大きな手  作者: 白井 みちる
翔という男
3/85

お泊まり

そうか、そういうことか。

今日はやけに荷物多いし、ゆったりしてるなとか思ってたら・・・。

はめられた。

再度、敵認識。


「そろそろ帰んなくていいの?」

 夜10時にまだ家にいたから何となく聞いた。

「ん?あー。今日から、泊まるから」

「ごめん。聞こえなかった」

 っていうかなぜにだ。そんな短文聞いたことないぞ。っていうか主語はどこだよ。国語ほんとに勉強してんのか?文系だろ、お前。 

現実逃避にはしる。

「おーい。美羽、聞いてる?」

いいえ、まったく。

「俺、どこで寝ればいいの?」

・・・床で。

 ガチャ!リビングのドアが無造作に開け放れたあと、私は今までに無いほどに褒めたくなった。

そして、にやけた。(一応、自覚はある)

グッドタイミングだ、大翔!!

「キモい」と言われたが今は聞かなかった事にしてやる。

「なんで、翔いんの?」

 そうそう。それだよ、我が弟。うんうん。

「お前、聞いてなかったのかよ」 

 そう!聞・・・?

「何を」何を?

「今日から泊まるって言っただろ」

 はい?

「あー。そうだったな」

 えーと。お姉ちゃん聞いてないけどな。

「おい、ねーちゃん。今日からこいつうちに泊まるから」

 そう言い残して、大翔は2階へと階段を上っていった。

我が弟ながらなんて勝手な。涙が出てくるわ。


えーと。確か「今日から」って言ったよね。・・・意味知ってんのか?

「今日から」それはつまり、うちに毎日、泊まるということか?いや、違う。

きっと、大翔と翔が言い間違えたか、テレビの音がかぶったか、幻聴の類いか、私の耳が変になったか・・・

「美羽ー、部屋どこー?」

 だめだ。

1つだけ分かったことがある。

現実逃避は意外と役に立たない実用性の薄いものだ。


確か、お父さんとお母さんのベッドがあったと思う。2階に見に行くがあいにく冬用の毛布だった。ちなみに2人は現在、海外で仕事中。

さすがに、翔とはいえソファで寝ろとは言えない。親しき仲にも礼儀ありだ。天才、私。

「翔、私の部屋で寝て」

「女子の部屋で寝ていいの?イヤーン。それとももしかして俺、男子って認識されてない?シクシク」

いちいち感情のこもっていない擬音をつけるな。あと、安心しろ。お前のことはちゃんと認識しているぞ。・・・敵として。

「早く」

「美羽は、どこで寝んの?・・・まさか俺と!?」

「なわけ。ソファで寝るよ。どうせ1晩だけだし」

 明日は、お母さんたちのベッドを夏用に変えて寝てもらう予定だ。

「え。じゃあ、俺がソファで寝るよ」

「いいよ」

「いいの。俺が寝たいの」

 なわけないでしょ。

「悪いよ」

「はい。いいから、いいから。おやすみ!美羽」

強引に階段前までいかされてしまった。やっぱ翔とはいえ、イケメンは違うなー。

そんなのんきなことを思っていたのは事実だが、翔のせいで数秒間そこを動けなかったのも事実だ。最後の笑顔は反則だと思う。

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