刹那な願い
「告白の返事を聞いてない」
「は?」
今日何度目かの“は?”を言う。意識してではない。本当に意味が分からなかった。
「は?とはなんだ」
「いや、告白された覚えが・・・。」
「バカにしているのか?」
いいえ。
「ちゃんと断ったはずですが」
ただ単に自分の気持ちを押しつけているようにしか聞こえないのだが。この感覚は間違っているのか?・・・いや、間違っていないはずだ。ストーカーの時点で相手のこと1ミリもかんがえてないしね、うん。
「いいや、君はあの場の流れでそう言ったんだ。もう一度よく、考えてみてくれ」
ん~。実は数時間前にカレシが出来てしまったのだよね。不覚だけど・・・。(仮)だけど・・・。
っていうか、カレシが出来てなかったとしてもお断りである。
「ごめんなさい」
「なぜだ」
「えーっと。非常に言いにくいことなんですが、カレシが、出来てしまいまして」
忘れずに、“(仮)だけど”と心の中でつけておく。
なんだかんだ役に立つじゃないか、夏詩くん。
「誰だ」
「・・・夏詩くんです」
言っていいのか分からなかったけど、とりあえず夏依の顔がものすごく怖い顔をしていたので答えておいた。
顔が尋常じゃないほど赤く、鼻血吹き出せそうだ。
ホントに鼻血出るかな?
興味津々で顔(主に鼻)を見ていたら、睨まれた。
おぉ、ソーリー。
この人の怒った顔は怖いんだと学習した。イケメンが怒ったら、怖いんだね。リョーカイです。
「あら、どうしたの、あなたたち」
ガチャッ
リビングの扉が開いたそこに覗いたのは、前のめりになっていながらも中途半端に人差し指を立てている夏詩くんと翔。
大翔は・・・いなかった。
なんだあいつ。
別に心配してほしいわけじゃないけど、・・・フン!!
「あら、1人増えてるじゃないの。美羽ちゃんのお知り合い?」
「まぁ、はい」
知り合いと言えば知り合いだと思うけど、私は全くこの人のことを知らない。いや、知らなくても良いんだけどね。
「じゃあ夕ご飯、まだあるから食べていってね」
「いや、おr・・・僕はいいです」
夏依が、ぼく。似合わない、最高に似合わない。笑いをこらえるのに必死だ。
そんな私を、夏詩くんが分からないような顔で見てくる。
翔は、慣れたようだ。こう見えても、笑い上戸なのだ。
つぼったら数分、抜け出せない。
「そうなの?せっかくだから食べて行ってくれたらいいのに」
「すみません、じゃあ失礼します」
そう言って、颯爽と帰って行く夏依は何気なくかっこいい。・・・イケメンだけど、そういうこととはなんか違う。
いつもそんなんだったらもっとモテたろうに。
あぁ、心がイケメンな人に会いたい・・・。




