夏詩くんの暴走 part3
「美羽、ホントなの?マジ?どうして?いつ?」
さっきから翔がうるさいんだけど。
「美羽先輩。早く帰らない?」
夏詩くんもうるさいし。
唯一黙っている大翔は私のことに口を出す気はないらしい。興味がないだけかもしれないけど。
「ハァ。もう、早く帰ろーよ」
「誰と帰るの?」
「誰とでもいいから」
「えーーー」
夏詩くんの方から不満があったが今は無視だ。とにかく早く帰ってご飯食べたい。お腹が割と限界なんだ。今は何よりもご飯が最優先だ。
「おなかすいた。早く帰ろー」
「だったら、どっか寄ってけば?」
思いがけない言葉を発したのは大翔だった。
「おっ、いいね!さすが大翔」
翔がすかさず同意している。
家帰ってから作るのも面倒くさいからいいけど。
「だったら、俺ん家くれば?」
はい出ました、思いがけない発言。
夏詩くん、君はなんだ。
「・・・いいんじゃね?近いし、お前が良いんなら。なぁ?」
「おう。久しぶりだな、夏詩ん家」
「いいっすか?美羽先輩」
「え、あ、うん」
なんかされるがままになっている気がする。
「よっしゃ、じゃ、行こうぜ」
「翔、お前張り切りすぎだよ」
「うるせー」
私はこんなに流される人だったのか。
そんな会話を聞きながしながら、3人についていく。
街灯のついた道はいつもより、せまかった。それでも、暖かい風は4人の間を吹き抜けた。
このとき、私は忘れていた。あの人のことを・・・。
もうすぐ秋が来る。そんなことを、3人の後を歩きながら思った。
秋は嫌いだ。
なぜか、秋だけぞっとする感覚がある。
それが何でなのかは分からない。でも秋に、1人にはなりたくないと思ってしまうのだ。
ごめんなさい、夏詩くんの暴走に手がつけられません。




