脅迫 part.2
「ねえ、何で私の名前知ってんの?」
「え、ショック」
何がだ。とりあえず、リアクションの前に説明してほしい。
「俺、テニス部だよ?」
「は?」
部活では、女子と男子は分かれて活動している。男子部員との共通点は、テニス部ということだけだと思う。
「“は?”ってひどくない?あ、あと俺大翔と翔とダチだから」
だから何だ。警戒するなって事か?って言うかまず、翔と友達ってだけで安心できないから。
「で、私に何の用でしょうか」
「んー、特に用はない。天井ばっかみて、難しい顔してたからダイジョーブかな?と思って」
マジか。こんな人に心配されるぐらい難しい顔してたのか、私。
「ね、先輩さ、中学の頃ぐれてたってマジ?」
うるせー。
「やっぱ、マジなんだ。・・・おもしろ」
うぜぇ。っていうか、どういう思考回路をたどったら、おもしろくなるのか教えてほしい。
「あのねぇ、ものすごく失礼だよ」
「あ、ごめん。でも、ぐれてたって、笑える」
「笑えないから。どうやっても、絶対笑えないから」
「そう?俺的に笑えるジャンルなんだけど。」
お前の中の笑えるジャンルとか、どうでも良いわ。
「それよりさ、翔とどういう関係?」
「は?」
話飛びすぎじゃね?っていうか、この台詞、二股かけられてる人が言う台詞だと思う。
「だから翔は、彼氏?」
カレシ?聞き慣れない単語が出てきたな。
「いいえ」
「じゃあ、彼氏いる?」
「いいえ」
「そっ。よかった」
何がだ。
「俺にさ、ちょっと付き合ってほしいんだけど」
「・・・今?」
「えっとー。正確に言うと、今から?」
なぜに疑問系だ。しかも、“今から”って、私にどうしろというのだ。
これは敵認識して良いのか?いいよな、うん。いい。
「いい?」
「嫌って言ったら?」
「言うのかな?うーん。ま、そんなこと考えなくても中学の頃、美羽先輩はぐれてたけど今は優しいから、きっと快く良いって言ってくれるよね?」
何で私の周りには、こういう奴が多いんだろう。脅迫とか、脅迫とか、脅迫とか・・・。
「・・・はい」
「よし!」




