中学校時代
中学の頃、私はなかなかのワルだった。
勝手に学校をサボり、親にも迷惑をかけ、何もしていなかった。
そして、ちょいちょいケンカもしていた(もちろん女子と)。警察に見つかることもあって、署の人にも覚えられてしまった。つまり、前科があるのだ。ばらされたのはそのことだろう。停学・・・。それはやばい。
そんな日々が続いて2年。あっという間に、中3の進路を考えなければいけない時期になっていた。そんな日々の夏休み。呼びだされて、私は空き地にいた。
何でケンカしたかは忘れたけど、あっちから因縁つけてきたのだ。ちなみに言っておくが、私はケンカなんて売ったことない。・・・と思う。
ケンカをしていると、時々、人が通りかかる。でも、みんな目をそらして行くのだ。まるで自分には関係ないとでも言うように。私はその時、かなりやられていた。朝もケンカしたから。そこに、部活終わりの弟が通りかかった。私としては、そのまま通り過ぎてほしかったのだが・・・。
「あの、もうやめてもらえますか?」
「はぁ!誰アンタ。キモ!なに良い子ぶっちゃってんの?」
「大翔。先帰ってろよバカ」
「ボロボロでよくそんなこと言えんな」
「うるさい!まだ負けてないから」
私は負けず嫌いだった。でも、もう疲れた。家、帰ってお風呂入りたい。
「立ってるだけでふらふらしてんのになに言ってんの?」
「ごちゃごちゃうるせーんだけど。お前もやられたいの?女だからってなめてんじゃねーよ!」
「大翔!危ない!!」
私の視界に入ったのは、相手の女が大翔の頭めがけて蹴ろうとしているところまで。目をつぶった。
再び恐る恐る目を開けると、大翔がその足を押さえていた。
「やめてもらって良いですか?僕だって一応男ですからあなたなんかには負けないと思いますよ」
「はあ!?うっざ!」
「だって、僕のねーちゃんに1回でも勝ったことありました?ないですよね。今日以外は」
だまれ。
「ねーちゃんはこういうこと今日からやめます」
誰もそんなこと言ってねーよ。逃げるみたいでヤだし。
「だからあなたも、もうそろそろやめたらどうですか?」
「は?関係ねーだろ」
「でも、家族がいるんでしょ」
おーおー、急にまともなこと言い出したぞ。熱あるだろ、お前。
「そんなことしてたら悲しませるだけですよ」
女は言葉に詰まっていた。
「ほら、行くぞ」
嫌だったけど、このまま女にやられるのはもっと嫌だったし大翔の言葉が有無を言わせなかったから、しおらしくついて行くことにした。
帰宅中、こっぴどく大翔に怒られた。無口な大翔があんなにしゃべっていることなんて無かった。
あぁ、自分はこんなに心配させてたんだなってそのとき初めて思った。
「ごめんね」
家に着くとそれだけ言って、私は2階に上がってった。割と恥ずかしかった。
その日を境に、私のイキリ生活は幕を閉じたのだった。




