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年下くんの大きな手  作者: 白井 みちる
翔という男
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不法侵入

なんでいんだよ。


昼の暑さがまだ残る7月中旬の夜。

玄関の前で立ち尽くす私、坂田美羽(さかたみう)。あと1歩、足を進めればクーラーにきいた涼しい家に入れるというのに入る気になれない。確かにここは我が家のはずだが。確かに今左手に持っている鍵で玄関はあけたはずだがな。


そこになぜお前がいる、翔気しょうき


満面の笑みで私を迎え入れたのは、相良 翔気さがらしょうき。私の弟、大翔たいがの友人だ。

「おかえり。美羽みう

 おかえり!じゃない。

何でそんなに嬉々とした表情を浮かべてるんだよ。

「今日、大翔遅いんじゃないの?」

 うんざりして聞く。

「うん。それがどうかした?」

 じゃあ、なんでいるんだよ。つーか、不法侵入だぞ。どうやって入ったんだよ。

「子供は、帰る時間だと思うけど」

「美羽だって子供じゃん。俺より小さいくせに」

 背は関係ねーだろ。つーか邪魔だ。入れろ。そして、ついてくんな。



相良翔気(言いにくいから翔と呼んでいる)と初めて会ったのは3月。

まだ5ヶ月も経ってないのに口の利き方が生意気だ。

引っ越してきたらしいがよく知らない。まあ、知ろうとも思わないけど・・・。


翔は約5ヶ月前、私の部屋をノックもせずに開けた。マンガを読みふけていた私は素早い動きで手を合掌しマンガを閉じた。それから机の下に隠す(投げた)まで1秒とかからなかったと思う。

女子には秘密があるくらいが丁度いいだろ(フフフ)。


「うぉ!だれ?」

・・・お前が誰だよ。つーかノックぐらいしろよ、ノッポ。

黙っていたのは数秒だったと思う。

「名前は?」

「坂田美羽です」

素直すぎた。

「俺は相良翔気中3!よろしく美羽。大翔の妹?」

違います。

っていうか中3!?私の方が年上なのにこいつの方が背が高い。

・・・敵だな。

「ふーん。そっか」じゃねぇ私は大翔の姉だ。

納得するとこがうざいぞ。

「大翔の姉です。ちなみに年上ですから、呼び捨てやめてください」

「えっ・・・。まじで。うそ、ちっちゃくね?」

だまれ。

「俺より小せぇ」じゃねえよ。お前が背でかいだけだろ。

「美羽、高校どこ?」

だから呼び捨てやめろ。

三高元高校みたかもとこうこう

ぶっきらぼうに答える。

「えっ。もしかしてテニス部?」

部屋にある賞状やトロフィーを見て聞いてくる。

「そうだけど・・・」



嫌な予感がする。むしろ嫌な予感しかしない。



「えーーー!まじで。じゃあ、俺の未来の先輩だ!」

「ごめん、聞こえなかった」

未来の後輩はいつまでもハイテンションだった。

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