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一緒と隣と隣と上と下。  作者: 梅屋さくら
Story6 ダンスパーティ。
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**リョウノカコ。

彼女持ちは彼女と、それ以外は他校の呼ばれた女子と、そしてまれに姉、妹と踊る人が主だった。

稜は姉である咲と踊るわけではなく他校の可愛くて派手な女子と踊っていた。

ははぁ、自分の好みの女の子を選んだな……?


「ねーねー、なんかあんた筋肉ないね。男じゃないよ、そんなん」

「え? ……あ、ああ、すみません……」

「別に怒ってるわけじゃないから。

それにしても良く稜なんかと友達になったよね、すげぇわ」


正体がばれたかと思ったが、普通に筋肉をつけろということだったらしい。

怒ってるわけじゃない、と言いながら、ちょっとはむっとしているようだ。

でもなぜ稜と友達になったのがすごいんだろ?


「なんでですか? 稜話しやすいし」

「話しやすい! あんた人見る目ないねぇ。ま、あたしを選んだのもおかしーけど」


そう言って目の前に差し出されたのはとある写真。若干隠し撮りっぽい。

真ん中には足を開いて悪そうに座る金髪に鼻ピアスをした青年。

怖そうな『明らかヤンキー』だったがその顔は咲に似ている。

咲に似ているということは。


「これって稜……なんですか」

「そーそ、良く分かった」

「咲さんと目元が特に似てるなーって思ったんで。

昔の稜ってこんな悪そうだったんですね、初耳です」

「そんな昔じゃねーよ? これ去年の稜」


きょ、去年!

今は(まあまだ)悪そうではないし性格はかなり優しいが、つい最近まで金髪鼻ピアスのヤンキーだったわけだ。

このとき彼も中学3年生。とてもそうは見えない。


「びっくりしすぎ。ほら踊んねーと怒られっぞ!」


今は稜よりも咲のほうが怖い……そう思ったのは言えない。


「お姉さん的に、弟と顔が似てるって言われるのいやですか?」

「別に。学校のやつらには弟かっこいーとか言われるし。

なんかわかんねーけど、良く女子にラブレターもらったり、バレンタインチョコもらったりするんだよ。うめぇから良い」


咲の大雑把さのおかげで練習した通りのダンスはしなかった。

基本彼女が動きたがらないので、私が腕を引っ張ってリードする。

本当は女子がくるくる回るところも私が回った。

気が付けば周りには私の格好と踊りの男女逆転のせいか写真を撮ったりじろじろ眺める人が増えてしまっていた。

そんなことを気にせず大あくびする咲を見て、思わず笑うと、


「あのさーあんた女でしょ?」


とずばっとすごいところを探し出された。


「そんなわけないっすよ、なんでです?」

「今の笑い声、完璧に女の子だし、その体つきも仕草もぜーんぶ女。

あたしの見抜く目をなめんじゃねーぞ」


この人の鋭さはきっと稜と繋がっているわけではないだろう。

上原姉弟は顔はまったく同じというくらい瓜二つだが、性格に似ている点はあまり見られない。

この悪そうな口調は似ているけれど。


「稜ってあんたが好きなんだと思うけど……どんぴしゃ?」

「うっ……!」

「稜の心って昔から読めるんだよね。あんた鈍そーだけど」

「うっ……!!」


二回も鋭さを発揮されて私は彼女への興味が俄然湧いてきた。


私のライフが削られていっているとすぐにダンスパーティ第1部が終わりを告げた。

第2部はまたペアを変えて踊る人がほとんど(別に変えなくても良いが)で、その2つが終わった後は、1番大切なことが。

それは……。

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