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一緒と隣と隣と上と下。  作者: 梅屋さくら
Story4 いろんな恋。
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**ジョシリョクナルモノ。

私たちがみのりの家で寝て待っていると、だいぶ経ってからみのりと真樹は帰ってきた。

手に紅茶を持っているかと思いきや、何も持っていない。

暖かい部屋の中でうとうとしながら少し体を起き上がらせた。

私以外はぐっすりと寝てしまっている。人の家なのに……。


「おかえり、ずいぶん遅かったね?」

「ちょっと長くウィンドーショッピングしちゃいました、すみません!

もっとくつろいで行きますか? 大丈夫ですよ!」


いやいや、大丈夫、遠慮しとく。そういって断った。

心なしか真樹の目は常にみのりの顔を追っている気がする。

おかしいなとは思ったが、そこは無視した。


私は杜和たちを起こして寮に帰ろうとした。

すると真樹は私の耳に顔を近づけて小声でこう言った。


「僕、ショッピング行ってきてみのりちゃんのこと……好き、になったんだ……。

だから僕だけどうにかして泊まる!」

「へ!?」


いつも優しげな笑顔を浮かべているが、今の真樹は燃えていた。

だれにでもかわいい、とか言うが、みのりに対する愛は本物らしい。

きっと本気で惚れている表情をしている。

真樹なら変なことしないよね……そう信じて、おいていくことにした。


寮に真樹以外の私たちは帰った。

夏帆の部屋に集まってトランプをしながら真樹について話した。


「真樹くんも本気で女の子に恋するんだねぇ」

「そりゃあ俺らと同じ男だからな……。

つぅか、杜和も俺も女に本気で惚れ……むぐっ!?」


稜がにやけながら言おうとする言葉を杜和は口を塞いで遮った。

稜は杜和を睨むが、そんなことを気にかけない。

こんな彼はあまり見たことがないので少し面白い。


「真樹さん、どういう理由をつけて泊まったんですかね?」

「んー真樹なら色々上手くやりそう。私には無理だなぁ」

「お前は男の部屋に泊まってんだろ、もうすでに!」


あ、そっか。

私がそういうとみんなが笑う。

夜中まで恋バナばかりしてしまい、気分は修学旅行の夜だった。


自室に戻り、少し女子力なるものを見せつけてやろうと思い、紅茶を淹れることにした。私と杜和の分。

するとまさかの紅茶から泡が吹き出し、キッチンは泡だらけになった。

杜和が駆けつけてきて、一緒に拭いてくれた。


「なにやってるの! 危ないから、僕がやるよ」


結局杜和のほうが女子力なるものは高かった。

私はただただ落ち込んだだけ……。

こんな私って、だれかに好かれているのかな?

いつか結婚したりとかって出来るのかな?

不安が募ったが相談はしづらかった。

次話からまた真樹視点にするつもりです。

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