**ヒョンナコト。
今日は私にとってとても大きな日。
なぜかというと、初めて親の元を離れて寮で暮らしながら遠くの学校へ通うから。
今日、初めてその寮へ移る日なのだ。
私の暮らす寮は、私の通う学校、県立星倉学園高等学校と1km離れたところにある。
寮というわりに遠い気がするが、高校……星高には7つもの寮があるので仕方ない。
通称、七つ星荘。
一部屋狭めだが、そこに2人の生徒が住む。
食堂があり、図書館もあり、部屋には一応ひとりひとりの勉強スペースがあるというちょっと豪華なところ。
私はわくわくしながら築10年の比較的新しい寮に入ろうとした。
すると。
「君、ここは女子立ち入り禁止だよ」
と警備員に止められてしまった。
女子立ち入り禁止?
七つ星荘ではないところに来てしまったかと思い、一つ星荘から六つ星荘まで巡ったがどこでも同じ反応をされた。
七つ星荘前で途方に暮れていると、若く綺麗な美女が手をふってきた。
見覚えのない人なので少し警戒する。
「怖がんないでぇ〜!
私はこの学校の歴史の先生。田辺 史織っていうの。
衣良ちゃんよね? ちょっと来て!」
「ちょ……!」
史織は私の腕を力強く握り引っ張ってきた。
されるがままについて行くと、豪華な部屋に連れて行かれた。
「ようこそ、星高へ。
衣良ちゃんにはこの制服を着てもらいます」
そうして渡されたのはブレザーにチェックのパンツ。
え、これって……
「男子の制服ではないでしょーか?」
すると、史織は目を丸くしてうなずいた。
間違って出しちゃった……っていう反応じゃない。
「そうだけど……あなた、男装してうちの学校入るのよね?」
「はい、そうですよ。 ……ってほぇぇっ!?」
だ、ん、そ、う!?
県立星倉学園高等学校=けんりつほしくらがくえんこうとうがっこう
通称、ほしこう。
寮について☆寮は7つにわかれていて、一つ星荘が一番学校から近く、七つ星荘が一
番遠い。七つ星荘は安いが古め。