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一緒と隣と隣と上と下。  作者: 梅屋さくら
Story2 文化祭。
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**ブンカサイ オワリ。

稜はそれから少しだけキスをして、私から離れた。

ごめん、と謝られたが、私は何も言えずただうつむいてしまった。


「衣良、たこやきでも食べねぇ? 俺おごるわ」


そういって私に向けた顔はいつも通りの明るい稜。

いまだに私はドキドキしているのだが、彼は平気なのだろうか。

でも彼が気にしていない風なので私も忘れたふりをした。


「まじでおごってくれんの? 食べる!」


たこやき屋で私は明太子たこやきをおごってもらい、教室内で食べていると、ちょうど隣のテーブルについた人がみのりだった。


「あ……!」

「ん? あ、みのりちゃん! そう思えば俺の名前言ってなかったね。雪代 衣良」


私が微笑みかけるだけで真っ赤になるみのり。かわいい。

雑談を続ける私たちを見て稜が、小さい声で


「あの人だれ?」


とたずねてきた。

別に隠す必要もないので、1日だけ彼氏になることになったことなどすべてを説明した。

すると、いきなり不機嫌になって、


「おまえだいじょうぶなのか? 女が出たりしねぇか?」

「もうさすがに慣れた。男言葉も俺も、違和感ぜんぜんないもん」

「じゃあいいけど。なんかあったら俺を呼べ」


その様子から、怒っているように見えて心配してくれているのだとわかった。

それにしても稜の感情はあんまりわからないなぁ。


「みのりちゃん。俺らもう行くから気軽に連絡して。相談も乗るから」

「はい……! ありがとうございます!」


私が女として生活していた頃もこんなに健気でかわいい女の子ではなかった。

なんでこんなに優しいのに彼氏ができたことがないのだろうと、世の中の男たちの見る目を疑ってしまった。


校舎内を見ながらうろうろしていると、杜和と夏帆と由佑に会った。


「あ! 杜和ー!」

「あ! 衣良くんー! なんか食べた? これ食べる?」

「かき氷だ、食べる」


私がそのまま杜和のプラスチックスプーンでブルーハワイ味のかき氷を食べると、稜が睨みつけてきた。

初めはわからなかったが、もしかしたら杜和のスプーンで食べたことかもしれないと気づいた。

初めの方は私も気にしていたけれど、今はもうまったく 気にしなくなっていた。

なにか文句を言われるかと思いきや、ため息をつかれただけで終わった。


「寒くない!? この時期のかき氷はきつい……」

「えーそうー? 僕はぜんぜんだいじょうぶだけどなぁ」


私が季節外れのかき氷に震えていると、文化祭終わりの放送が流れた。

みんなで揃って集合場所の教室に集まり終わりの会が開かれ、相変わらず長い校長先生の話を聞いたりした。


終わりの会が終わると、クラスのリーダーが打ち上げをしようといった。


「もちろんみんな来るよな!?」


ちょっとリーダーのテンションにみんながついていけていないように見えたが、そんなことは気にしていないようだ。

せっかくだし行こうか、という感じで参加するというクラスメートも多かったので私も行こうかと悩んだ。

杜和たちに行くか聞くと、


「そりゃあ行くよ! だって楽しいじゃん、打ち上げ!」

「んーじゃあ俺もいこっかな。稜も夏帆も行くだろ?」


私が誘うと、2人も『まあ行くか』という雰囲気になった。


打ち上げは次の土曜日に決まり、店は電車に乗って行ける少し遠めだがおしゃれな居酒屋に決まった。

なんだかんだいって、打ち上げとかみんなでわいわいするのは私は大好きなようだった。

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