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第八話 後悔先に立たず

 神食(かんじき)の武器は全員、てんでバラバラ。

 加賀先生の自動小銃が異彩を放つけど、日向君の軍用シャベルも、この世界には存在しないはず。

 

 そもそも、勇者に相応しい武器って何?

 何を基準に決まるのかしら?


 「私が刀、最上さんが和弓なのは納得できるけど……。加賀先生の銃と、日向君のシャベルは明らかに場違いよね。この違いは、何によるものなのかしら?」

 

 高雄さんも同じようなことを考えているようだ。


 「私は戦争をするなら、戦争映画に登場する兵士たちが持つようなライフルしかないと考えたのですが……』


「俺は彩先生の銃は凄えけど、異世界にはあり得ないし。他に軍隊の装備で便利そうなのは、シャベルかなあと考えたんだけど……。あ、そうか!」


 ()()()


 日向君が、髪の毛を掻き毟りながら悔しがる。


 「しまった! 余計な事を考えずに、銃が欲しいなら欲しいと素直に考えたら良かったのか!」


 加賀先生も息を呑む。


 「ご、ごめんなさい。何故、私の武器が銃になったのか……。それをじっくり検証してから、次の枝を引き抜けばよかったですね。ああ、私が急かしたりしなければっ!」


 全員、銃火器で武装できた可能性があったのか!


 「先生は何も悪くないよ! 俺もファンタジーな世界なら、長剣だなんて安直に考えてしまったし……」


 「ね、ねえ。やり直すことは出来ないの?」


 朱理の問いにエレオノーラが答える。


 「神食(かんじき)の武器の成長に伴い、長剣が大剣となったり、片手斧が両手斧になったという記録はありますが……。全く異なる武器に変わったという記録はありません」


 ゲームと違って現実には、リセットボタンのようなものはないということね。


 「済んでしまった事はどうしようもないわ。それぞれの武器の長所、短所をよく考えて今後に備えましょう」


 「……そうだな、たとえば鈴音ちゃんのクロスボウ。悪くないチョイスだぜ! 弓と違って訓練しなくても、それなりに当たるらしいし! 矢以外にも爆発物を投射したりとか! 神食(かんじき)の武器なら、威力や射程距離も現実のクロスボウを超えるかもにゃー」


 鈴音を気遣うような発言をする日向君。

 学校にいた時には見えなかった彼の一面を垣間見た。


 「抜身のまま刀を持ち歩くわけにはいかないわ。刀剣類には鞘。弓には弓袋や矢筒。そのほかの武器にもケースのようなものが必要ね」


 高雄さんに対して、族王が答える。


 『神食(かんじき)の武器の武器の形状が、どのようなものになるのか事前には分かりません。そのため、どのような刃物も納めることが出来る「鞘」と、あらゆる武器を、納めた武器の大きさと形状に相応しい大きさ、形状に変化する、「携帯用袋」をご用意しております』


 控えていた騎士たちが高雄さんと武蔵、続いて私には帯剣用のベルトと「鞘」を。

 先生たちには背負いカバンのような「携帯用袋」を手渡す。


 「鞘」は明らかに短剣を納めるには大きすぎるけれど、二振りの短剣を納めると丁度良いサイズに変化する。

 どのような原理なのか、さっぱり理解できないけど、これも言霊とやらの力なのかしら?


 「これで全員に武器が行き渡りましたが、防具やその他……。洞窟の探索や、戦場で必要となる物資などは、貴方たちの負担で用意して頂けるのかしら?」


 加賀先生の問いに対し、族王が笑みを浮かべながら首肯を返す。


 『勿論です。皆さまの活動に必要なものは全て、ご提供いたします』


 「洞窟の探索でチマチマと小銭稼ぎする必要ない訳だな」


 族王は武蔵の発言に対しても首肯を返しながら。


 『資金、物資、全てご用意いたしますので、些事にとらわれることなく、まずは戦うために必要なお力を蓄えてください』


 エルフたちの都合で戦いに駆り出されるのだから、当然の成り行きだろう。


 「私と最上さんは、それぞれの武器の扱いには慣れているけれど、他の皆は使い方が分かっても、実際に訓練しないと、使いこなせないでしょうね」


 高雄さんの発言はもっともだ。

 私の血で幾らか肉体が強化されたと言えど、武器を使いこなせなければ、宝の持ち腐れになる。


 あれ


 「高雄さん、竹刀じゃなくて刀に慣れているの?」


 私の疑問に高雄さんが苦笑交じりに答える。


 「南北朝時代から私の家が所有する、文字通り「伝家の宝刀」で何度か試し切りした事があるのよ。こんな形で役に立つとは思わなかったわ」


 高雄さんの実家って……由緒正しい武家だったのかしら?


 私と高雄さんの会話に切れ間に、族王が話を続ける。


 『武器の鍛錬には練兵場をご自由にご利用ください。後ほど騎士たちにご案内させます』


 今度は加賀先生が族王の発言を遮るように。


 「その前に、アルフヘイムとハライソの現状について、詳しい説明を頂けるかしら。ここは大陸なのですか? それとも大きな島? 地図も見せて頂きたいものです」


 『では王の広間にて、地図をご覧いただきながらご説明申し上げます』



 エルフたちの案内で、族王と謁見した広間へと通される。


 『どうぞ、ご着席ください。右手の壁に掛けられた地図をご覧ください。ご覧のように母なる大地は島です』


 族王が指し示す地図を見ると、南北に細長い島が描かれている。

 国境線らしきラインから判断する限り、アルフヘイムの勢力圏は北端から南へおよそ三分の一。

 そこから南側がハライソのようね。


 「なるほど。ハライソの勢力圏の方が大きいのですね。実際の人口や戦力の差は、どの程度なのですか?それと、この島以外はどうなっているのでしょうか?」


 加賀先生の問いに、族王が答える。


 『アルフヘイムに住むエルフは、およそ八万人。常備軍一万に加え、民兵を最大二万人まで、動員できます。民兵とは言え、エルフは全員、言霊使い。民兵たちも単なる歩兵にとどまらず、強い影響力をもつ言霊使いなら、後方から言霊による支援攻撃や後方支援も可能です』


 「具体的には何ができるのかしら?」


 『支援攻撃は、言霊による『炎の矢』、『火炎弾』などによる投射攻撃。後方支援は、言霊による負傷者の治療などです』


 所謂、ファンタジー世界における魔法のような事が可能なようね。


 「私たちも、言霊使いになれば、エルフたちと同様の事が可能になるですか?」


 『この世界の『人間』は言霊使いにはなれませんが、勇者の皆さまなら可能です』


 怪我の治療だけでなく、攻撃にも言霊を行使できるなら、やはり言霊について学習した方がいいわね。


 『ハライソに住む人間はおよそ二十万人。魔族や魔物は、それぞれ合わせておよそ十五万。天使は上位から順番に、


 熾天使(してんし)、『アンラ・マンユ』

 智天使(ちてんし)、『アエーシュマ』

 座天使(ざてんし)、『アジ・ダハーカ』

 主天使(しゅてんし)、『ジャヒー』

 力天使(りきてんし)、『アバオシャ』

 能天使(のうてんし)、『タローマティ』

 権天使(ごんてんし)、『ドゥルジ』

 大天使(だいてんし)、『ドゥルズーヤー』

 天使(てんし)、『クナンサティー』


 ……以上、九体です。

 動員兵力は、人間、魔族、魔物の全てをあわせて、十万ほどと予想しています。しかし、「龍」が時々ハライソに侵入する為、ハライソはその全戦力を、アルフヘイムとの戦いには投入できません。人間たちは特別な力を持ちませんが、魔族は魔術を。天使たちは強力な神霊力を行使します』


 十字架教と拝火教がごちゃ混ぜになったような、天使名に眩暈がするわね。


 「両国における大まかな構成は把握しました。……地図を見る限り、島の周囲は海しか描かれていないのですが。島の外はどのようになっているのですか?」


 『母なる大地を取り囲む海は、龍たちの領域。私たちも、人間たちも、龍に阻まれ、外洋に出ることが出来ません。まれに船影らしきものが確認されますが、全て龍たちに撃退されております』


 ここは龍に包囲された、絶海の孤島なのね。


 「龍たちは知性を持つ存在なの? それとも本能のままに生きる魔物のような存在なのかしら?」


 私の問いに対して族王は苦い顔になり。


 『……龍たちは、高い知性をもつ存在です。唯一神を母なる大地に封じ込めるために、外洋を支配しているのですが、私たちとの交渉には、一切応じようとしません』


 唯一神の敵。


 でもエルフの味方じゃないなら、接触出来る機会があれば私たちの力になってくれるかもしれない。


 その時、ぐぎゅるるる~、と盛大に私のお腹が音を立てる。


 族王は私のお腹を直視してから、慌てて視線を反らしながら。


 『で、ではお時間も頃合いですので、昼食といたしましょう』




 もう開き直って、食べて食べて、とにかく飢えが満たされるまで、食べ続けた。

 何故か、料理は涙の味がした。





 昼食後に、ジリヤ達に練兵場へと案内された。

 全員、加賀先生の自動小銃の性能に興味があったので、まずは射的場へ移動する。


 

 発火炎と共に、銃口から「光弾」が次々に放たれる。

 用意された的は「光弾」により粉砕され、貫通した「光弾」は、的の遥か向こう……。

 石壁にも、無数の孔を穿つ。

 全員、気にとられて、自動小銃を構えた加賀先生の姿と、射的場の惨状へ交互に視線を向ける。


 ……とんでもないわね。

 本物の自動小銃と違い、鉛玉ではなく「光弾」なあたり、神食(かんじき)の武器なのかしら。

 こんなもので『蜂の巣』にされたら、ダンピールの私も即死するわね。

 加賀先生には、くれぐれも味方誤射しないようにお願いしたい。


 ウリヤーナが引き攣った笑みを浮かべながら。


 『兵士たちに、ここは片付けさせますので、朱理さまと鈴音さまには隣の射的場をご利用いただきます』


 


 朱理が弓から放たれた矢は的の中央を貫通して、やはり石壁に突き刺さる。


 「……1射で、これじゃあ、練習にならないよ」


 ウリヤーナは、ますます強張った笑みを浮かべながら。


 『明日からは、より多くの的を並べるよう、手配いたします。朱理さまには今日のところは、ここまでとさせてください。この調子ですと鈴音さまの矢も、石壁まで届きそうです。石壁は言霊で強化しておきます』


 鈴音がおっかなびっくり構えたクロスボウから放たれた矢も、的の端を貫通して、石壁に突き刺さる。


 ウリヤーナは諦念を表情に浮かべ。


 『明日までに、石壁を最大限に強靭に言霊で強化しておきます。これ以上は射的場が全て、滅茶苦茶になりそうですので、射撃練習は明日までご辛抱ください』


 和弓に慣れ親しんだ朱理は別格として、加賀先生は自動小銃の反動をものともせず銃撃。

 非力だった鈴音も、軽々とクロスボウを構え、初めての射撃にも関わらず、端とはいえ的に当てて見せた。

 神食(かんじき)の武器の特性なのか、強化された肉体の恩恵なのか。

 それとも両方なのかしら?


 ウリヤーナにやんわりと射的場から追い出されてしまったので、今度は練兵場で、武蔵たちが試し切りを行う事になった。


 用意された大きな岩を武蔵も日向君も、無造作に武器を振り落としただけで砕いた。


 長剣はともかく、シャベルも侮れないわね。


 高雄さんは鯉口を切ったまま、岩の前で集中している。

 

 無造作に鞘から刀を抜き放つと、流れるように刀を振り下ろし、そのまま鞘に刀を納める。


 岩に変化が無い……。


 と思いきや、斜めに断ち切られた岩が、平らな断面を見せながら真っ二つになる。

 同じ神食(かんじき)の武器でも、持ち主の技量で大きな差が出るようだ。

 

 私はナマクラでもダンピールの膂力で振り下ろせば、岩など簡単に砕ける。

 試し切りは不要だろう。

 それより、実戦的な稽古が必要ね。


 「高雄さん、私たちに剣の扱い方を教えてもらえるかしら?」


 武蔵が、長剣を鞘に納めながら独り言ちる。


 「動かない岩を砕けても、武器を持つ相手との立ち回りを覚えないと、洞窟の探索も不安になるな」


 日向君は、シャベルを手にして嬉しそうだ。


 「委員長、俺も俺も! でも優しく教えてほしいにゃー」


 日向君が、やる気を出すのは良い事なんだけれど。

 高雄さんはシャベル戦闘術なんて、日向君に教えられるのかしら?


 すると、それまで黙って見ていたジリヤが割って入る。


 『長剣の振るい方でしたら、武蔵さまには私がお教えしましょう』


 ジリヤの声に露骨に渋面になった武蔵を庇うように高雄さんが、ジリヤの申し出を断る。


 「いえ、私が皆に剣の扱いを教えます」


 ジリヤは諦めずに、食い下がる。

 どうやら、ムキになりやすい性格のようね。


 『武蔵さま、祐也さま、響さまの三人に対して、泉さまお一人が指導役では、効率が悪いのでは?』


 高雄さんは少し考えるそぶりを見せる。


 「模擬刀はあるのかしら? 私とあなた、強い方が大和君に教える。これでいかがかしら?」


 高雄さんの発言にジリヤは猛り立つ。

 煽り耐性ないのねえ。


 『神食(かんじき)の武器が無ければ、今の泉さまは、まだ少し強くなっただけの人間です。アルフヘイム六騎士筆頭の力、お見せしましょう!』




 練兵場の中央で、互いに模擬刀を構えた、高雄さんとジリヤが向かい合う。



 『参ります!』


 ジリヤが袈裟懸けに模擬刀を振り落とす?

 ……ように見えたけれど、高雄さんが横薙ぎに振るった模擬刀により、遠くに弾き飛ばされる。

 

 高雄さん、凄い。

 流石、剣道では日本最強の女子高生ね。


 日向君がニヤニヤしながら、ジリヤの顔を見つめている。

 そんなジリヤは、真っ赤な顔で震えながら、まだ諦めない。


 『ま、まだです。まだ私は、本気を出していません!』


 高雄さんは不敵な笑みを浮かべ、ジリヤの挑発を受け流す。


 「今の立ち合いで実力差を把握できないのね。いいわ、仕切り直しましょう」


 再び、二人は模擬刀を構えて向かい合う。


 『祖霊の御力を我が身に!』


 言霊?


 ジリヤの全身が淡く輝き始め、カタチを変えてゆく。

 

 獣頭人身。

 ジリヤの姿が獅子の獣人と化す。

 想像通り、エルフたちは祖霊信仰を信奉しているようね。

 この世界の戦争は、預言者が掲げる創唱宗教と自然宗教の戦い。

 宗教戦争を繰り返しているのかもしれないわね。


 『『祖霊の御力』を宿した私は、先ほどのようにはいきませんよ。いざ、尋常に勝負!』


 いやいや、変身なんてしたら、ちっとも「尋常に」じゃないでしょ!

 騎士などと名乗ってる癖に、エルフたちには騎士道なんてないのかしら。


 

 文字通り、獅子の咆哮を上げながら、ジリヤが矢継ぎ早に、鋭い斬撃と刺突を繰り返すけれど、高雄さんは流れるような足さばきだけで、紙一重で回避する。


 一撃でも受ければ、大怪我、いや死んでしまうかもしれないのに、高雄さんの表情には、恐れも躊躇いも見受けられない。


 『何故、掠りもしないのです!』


 ジリヤの絶叫に高雄さんは不敵な笑みを浮かべたまま、応じる。


「……見えているからよ」


 『侮らないでください!』


 今までで最も速く、鋭い斬撃が振り下ろされるけれど……。

 高雄さんが、抜き打ちのように放った、模擬刀の一閃により、ジリヤの模擬刀が真っ二つに割れる。


 「委員長! マジ、パネェ!」


 高雄さん、強すぎる。


 「確か、高雄さんって……。剣道二段だったかしら? 二段でここまで強いものなの?」


 私の問いに対し、高雄さんは、会心の笑みを浮かべながら。


 「剣道の段位審査には、年齢制限があるの。今年、三段になる予定だったけど、去年から範士八段のおじいさまにも、負けなくなったわ。剣道以外にも、古武道の剣術、居合の嗜みもあるのよ」


 「……範士八段って、どのくらい強いの?」


 私が続ける問いかけに対し、高雄さんは得意そうに胸を張り。


 「段級位は八段が最高位。そして範士は武道における称号の最高位よ」


 「委員長! マジ、パネェ!」


 日向君は、さっきから奇声を上げっぱなしね。


 剣道って、実戦的なものではないと聞いていたけれど。

 高雄さんは、努力する天才なのだろう。

 高雄さんは、生まれる時代を間違えたわね。

 戦国時代に生まれていたら、剣聖・泉御前として歴史に名前を刻んだんじゃないかしら。

 でもこの状況では、高雄さんの強さは、とても頼もしいわね。


 いつの間にか、ジリヤは走り去り、リュボフィが大声で哄笑していた。





 就寝前に、部屋の前で、思いつめた表情の鈴音に呼び止められる。


 「お姉ちゃん、相談したいことがあるんだけど……」


 「いいわ、じゃ、私の部屋に入って」


 個室にはベッドだけでなく、机や椅子も用意されている。

 調度品は、なかなか豪華なものだし、何より!


 お風呂があるのだ!


 残念ながら、浴槽はなく、シャワーのように、お湯が出るだけだけど、毎日体を清潔に保てるのはありがたい。

 鈴音の相談が終ったら、久しぶりに、一緒にお風呂に入ろうかしら?

 おっと、まずは鈴音の相談だ。


 私はベッドに腰掛け、鈴音は椅子に座らせる。


 「それで、相談って何?」


 鈴音は少しの間、言葉を選ぶように。


 「その、高雄さんが、武蔵ちゃんに、剣の扱い方を教える事になったよね。……でも、私は武蔵ちゃんの為に、何もできなくて……。稽古の間に、武蔵ちゃんと、高雄さんが仲良くなっちゃったら、どうしようかなって……」

 

 私、は躊躇せずに即答。


 「今すぐ、武蔵の部屋に夜這いに行って、既成事実を作ってきなさい」


 鈴音は、ぽかんとした後、私の言葉を理解したのか、顔を真っ赤に染めながら。


 「よ、夜這いとか……。き、既成事実とか。私たちにはまだ早すぎるよ……」


 女の子が相談を持ち掛ける時は、共感や同意が欲しい事は分かっている。

 でも私は(かぶり)を振りながら、譲らない。

 私が「わかるわー」とか、「辛いわね」なんて相槌を打つだけだったら、話が進まないじゃない!

 ここ一番という時に、鈴音がもっと前に出ないから武蔵との関係が進展しないと、私は考えているのよね。


 「恋愛は早い者勝ちよ。武蔵を高雄さんに取られる不安があるなら、早過ぎるなんてことはないわ。後悔することになる前に、覚悟を決めなさい」


 それでも鈴音は煮え切らない。


 「で、でも。やっぱり、怖いよ」


 私は、ため息を吐いてから諦める。

 今日はこれ以上鈴音と話しても、決断させることは出来そうにない。


 「今夜が無理なら、一晩寝て頭をすっきりさせてからもう一度考えてみなさい。何度も言うけど、恋愛は早い者勝ちなのよ」


 口には出せなかったけど、高雄さん云々に関係なく。

 洞窟や戦場で、武蔵か鈴音が死んでしまう事になったら、本当に手遅れなんだけど。

 鈴音の背中をどう押してあげればいいのか、私もよく考えてみよう。

響の食事シーンは、真剣に描写するとキリがないので、

基本的にショートカットします。


現実のアサルトライフルは銃剣をつけたまま発砲するのは、

色々と問題があるようですが、加賀先生の自動小銃はファンタジー(笑)仕様なので、

細かい点はスルーしていただければ。

クロスボウも色々ツッコミどころ満載ですが、

これもファンタジー(笑)仕様です。


実際の自動小銃とクロスボウに詳しい読者様がいらっしゃれば、

ご意見をお寄せいただければ、戦闘描写の参考にさせて頂きます。

槍とか、もっと描写しやすい武器の方が楽だったのですが、

鈴音が

『殴ったり、斬ったり、刺したりするのは怖い』

と駄々をこねてしまったので。


追記

力天使(りきてんし)、『アバオシャ』の名前が間違ってましたので修正。

ZAPZAPZAP!

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