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小人族の仲介人な私。  作者: 榎本あきな
第一仲介所:草原
8/24

8人目。危機的状況な私

はいはーい。やっと視点が戻ったね!

僕、人間視点はあんまり好きじゃないから、嬉しいよ。

さて、あらすじは……「嘆きの森(笑)に向かう小人族と+2α」だね。

ちなみに、αは……わかるよね?親切に「2」ってつけてあげたんだから。


…すべてに愛されている小人族の君を、そう簡単に僕が死なせるはずないじゃないか…

………

目覚めるとそこは………異世界だった。




いろんな意味で異世界だけどねー…。異なる世界で異世界だから。

同じ地球でも、世界観がまったく違う今の世は、異世界と言えるんじゃないだろうか。


そんなわけで、私は今、森の中にいます。


話が繋がってない?ちゃんと繋がってるよ。異世界と違い、私たちの森は………3つ首のワンコなんていません。2つ首のワンコもいません。

……完全なるケルベロスとオルトロスですね。ありがとうございます。


なんで神話上の生き物が実在してるんだよ!…いや、あの有毒な気体だったらありえるか…

なんたって、あの有毒な気体と融合した魚が人魚になったからね…。ちなみに、あの有毒な気体は魔素って言うらしい。他にも、風素、炎素、水素、樹素、土素とか色々種類はある。なんでも~素ってなればいいってもんじゃねーよ。

魔素以外は、特に有毒ではないらしい。主にこれらの気体は、体内や体外にある魔素とくっつけて魔法を作るさいに用いられる以外は、特になんの利用価値も今は見いだせていないらしい。

…簡単に言うと、私たちに魔法は使えないってことだよ!このヤロー!!

魔素を何かにくっつけるには、魔素を操れるようにならなきゃならない。もともと体内に魔素を持っている人たちは、日常的に魔素を動かしているため、操れる。私たちは、慣れない魔素、それも、私たちにとっては有毒な物を操るなんて出来っこない。…ちょっと憧れてたのに…


…そろそろ現実に目を向けようか…。


今、私は猿轡をさせられている。しゃべれないように口に布を巻くあれね。

手足も縛られている。サルビアさんも、同じように巻かれている。

ちなみに、私たちを拐った人が一生懸命ピンセット的なもので巻いてた。あれは面白かった。


で、私たち二人は木で出来た檻に入れられている。大きさは人間一人入れそうなくらいだが、網目は私たちが出れないほど細かい。たぶん、今回のために用意していたものだと思われる。


そして、私たちを見張っているのはさっき言ったケルベロスとオルトロスの二頭。いや、頭は五つあるから、ここは二体って言ったほうがいいのかな?ともかく、私達を見張っている。それとともに、私たちと犯人を凶暴な生物から守る役目をしている。


凶暴な生物とは、何らかの原因で魔素が体内で暴走して発狂し、暴れまわるモンスター。すべてが純情な魔素だけでできた魔獣、魔物…とかである。たぶん。

動物も、体内に魔素を持っている。しかし、人間のように知性とか理性とかがないため、暴走しやすく…暴走した動物は正気を失い、暴れまわる。これと動物を区別するためにできたのがモンスター。ちなみに、暴走には種類があり、魔力暴走や精神暴走、身体暴走など、たくさんある。これ以上は覚えてない。

純情な魔素だけで出来た個体…それが魔獣や魔物。魔獣は動物型で魔物は人型である。普通、純情な~素でできるのは妖精なのだけど…、地球が人類を滅ぼさせるために生み出した気体だからか、他の素とは少々違うらしい。詳しいことは専門家じゃないからわからないけど。ちなみに、魔獣や魔物は知性や理性がある。もしかしたら、他の素で出来たよーせーさんと同じようにできたから、同じような構造をしているのかもしれない。ただ、他のよーせーさんみたいに実体がないわけじゃないけど。むしろ牙とか鋭いもので殺しにかかってくるから。



「「ギャーーーー!!??」」


その時、森の奥の方で叫び声が聞こえた。犯人の声だ。

たしか…犯人の二人は、ちょっと周りを見てくるっていって、少し前に森の奥の方に行ったんだ……っけ?

あっ、そういや、言い忘れてたけど、犯人の人たちは二人組だった。一人は男性。もう一人は女性だった。


ドスドスという音がどんどん近づいてくる。木がバリバリメキメキと音が鳴っている。自然破壊すぎる。

音がこちらに近づいてくるにつれ、そこにいた鳥たちがバサバサと鳴き声を上げながら飛んでいく。おかげで、空は鳥だらけだ。


すると、横の茂みからガサガサと音がした。

何事だと思い目を向けると、そこから、二人の人影が飛び出してきた。犯人の二人だ。


犯人の二人は、檻の中にいる私たちに視線すら向けなく、そのまま私たちがいる開けた空間を横切っていった。

その直後、あの二人が出てきたところからドスドスという音が聞こえて……


ティラノサウルスが姿を現した。


いや、正確に言うと、ティラノサウルスのモンスターというべきだろう。

確かこいつって……比較的おとなしい竜の種族だと思ったけど……。

モンスターになると、ここまで凶暴になるんだ…。知らなかった。


ティラノサウルスの目は血走っており、ヨダレも地面に……地面溶けてる!お前の唾液は酸か!!

牙はするどく、さながら、サメのようだ。

色は茶色。所々に、濃い茶色の縞々が入っている。

……胴体は、非常にでかい。この森の木よりもでかい。…この木…この世界でも結構デカイ部類なんだけど…。


ティラノはドスドスと犯人達の後を追いかけていき…その途中で、私たちの檻を尻尾で壊した。

壊れた檻からジャンプして檻の外に出る。…うさぎ大ジャンプはきついです。


その時、ティラノが後ろを振り向いた。きっと、檻を壊したときの感触を不思議に思ったんだと思う。

血走った目で檻に目を向け……バレないように祈っていた私とサルビアさんに目をつけた。


「ギェァァァアアアアア!!!」


大きな雄叫びをあげる。

森全体が震え、鳥達が一斉に飛び立つ。鼓膜が痛い……!


だけど…逃げるなら今しかない………!

耳の痛みに顔を顰めながら、うさぎ跳びで森の方へ行く。サルビアさんがついてきますように…。


後ろから迫るドスドスという音から逃げながら、うさぎ跳びで高く飛び、木の枝に布を引っ掛けて手を自由にさせる。後ろからついてきたサルビアさんも、私と同じようにして布を外した。


走りながら口の布などを外していく。

これで、私たちは全力を出せる。


私たちは徐々に距離を離して行き……完全に姿が見えなくなったところで立ち止まった。


「はぁ…はぁ……。これだけ離せば……今のところは…安全……かしら」


その言葉に、私は頷くこともしなかった。できなかった。

いや、運動音痴の私が大人であるサルビアさんに追いついたまま逃げれたことがほんと奇跡的だよ。

確か、サルビアさんって小人族全員参加の競争で戦闘種や天空種の中のランキングに混じってたような…。…火事場の馬鹿力って…すごいんだね…。


とりあえず、ここにずっといたら危険だと思い、サルビアさんの袖を引っ張る。

最初は疑問符を浮かべていたけれど、少ししてわかったのか、頷いて歩き出した。


そこからはなんの会話もなく…ただ、淡々と歩く。

私とサルビアさんが土を踏む音だけが静かな森に響く。…ここ、本当に嘆きの森か?

と、そこでサルビアさんがつぶやいた。


「あのときは……ごめんなさい」


どうやら、前のときの謝罪らしい。ほら、あれだよあれ!えっと…私が大人の人たちに土下座されたときの!…言っててなんか変な感じになってきた…。大人に土下座される五歳児ェ……。

そういや、サルビアさんはあのとき、土下座組に入ってなかったよね。それだったら、さぞかしさっきの場所で二人きりは気まずかっただろうに。すいません。


サルビアさんに言葉を返そうとしたとき、私は、ありえないものに目を奪われた。


「私も…あなたの事情を知らなくて…。いえ、知ろうともしなか………えっと…どうしたの?」


ありえないものを目にし、思わずサルビアさんの袖を引っ張る。サルビアさんは戸惑いながらも私が袖を引っ張った方に目を向け……絶句した。



そこに転がるのは、一つの骸骨。

周りを見ると、大きいのやら小さいのやら…結構たくさんある。

ふと顔をあげると、どうやらここは洞窟…というより、何かの巣のようだった。


暗い巣の中を、震える足を叱責して進む。後ろでサルビアさんの声が聞こえるが、それも構わず進む。

コツ、コツと靴が石の上を歩く音がする。しばらくすると、爪先にコンッ と、何かが当たる音がした。


暗い中、目を凝らすと……それは、巨大な頭蓋骨の一部だった。


大きさは私たちの何十倍もでかく、人間のものではないことはあきらかだった。

その大きい骨を乗り越えて少し歩くと…なにか、丸い球体があった。

いや、球体っていうよりは……卵型?


………うん。卵型っていうより、よく見たら卵だ。これ。

模様は…なし。ただ一つだけ、竜の模様が大きく描かれている。


これって……竜の卵じゃないか!

ってことは、ここは竜の巣ってこと!?いや、元…というべきなの…か?


じゃあ、この骨は竜のか…。だったら、こんなに大きいのも納得がいくというか…。

…でも、なんで竜の骨がこんなに綺麗に…。食べられたんだったら骨はバラバラなはずだし…。


「グワアアァァァアアアア!!!」


そのとき、さっきも聞いたあの鳴き声が竜の巣の中に反響する。

耳を抑えつつ振り向くと……そこには、想像していた通り、ティラノサウルスのモンスターがいた。

……なんだか、さっきと違う個体のような気がするけど……。


太陽の光を浴び、獲物を見つけた喜びに雄叫びを上げ続けるティラノ。

耳に悪いその雄叫びが終わったとき……ティラノは、その鋭く血走った両目で、私を見据えた。


殺される。


そう思った。本能的に…そう感じた。

ティラノがゆっくりとした動作で、竜の巣の中へ入ってくる。


鱗に反射した光が私にあたり、眩しさに目を閉じる。

何故か、その暗さに安堵し……目を開けたとき、ティラノは私の横を素通りしていた。


……え、なんで?私が標的だったんでしょ?…私の勘違い?……恥ずかしい…。この上なく恥ずかしい…。

でも、そしたら標的は………。もしかして…あの卵?


ティラノをじっと見ていると、そのようだった。

卵にゆっくりと近づいていくティラノ。その瞳は、まるで、餓死寸前の動物のようにギラギラしていた。


ティラノの口がゆっくりと卵に迫る。






何故かはわからない。どうしてだろう。ただの直感なのか思いつきなのか…。

それでも私は、あの卵が食われるのは嫌だと思った。もしかしたら、何もできないまま…足掻くこともできないまま死んでいった私たちに姿を重ねたのかもしれない。


咄嗟に石を拾い、ティラノの瞳めがけて投げつける。

ノーコンの私だが、あれだけ大きければ私でも当たる。



石は見事にティラノの瞳に入り込み、ティラノは僅かな痛みにその口を閉じ……私の方に目を向けた。



…それでいい。私は別に、死んだって構わない。もう、死んだ身なのだから。

もう一回死ぬだけだ。別に怖くもなんともない。後悔もない。


…けど、どうしてこんなに足が震えるのだろう。


…どうして、こんなに涙が溢れてくるのだろう。


また、記憶をもってやり直せるかもしれない。また、この体としてやり直せるかもしれない。

けど……なんだろうね。とても、嫌なんだ。死ぬのが。

でも、せめて死ぬなら……願いを、言わせて。



























「皆を、生きて見守りたい」

最近、ダンガンロンパというゲームにハマっています。

もう、面白すぎます。ゲーム持ってないんですけど。

欲しいけどゲーム機がない。その前に、自分に推理ゲームなんてできるのか…?

きっと、恐怖でゲームやれなくなる可能性の方が高そう…。けど、続きが気になる!

………買おっかな………。


次回は………ネタバレになりそうなんで、言いません。だいたい予想つくと思いますが(笑)


それでわ。

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