5人目。草原種の仲介人な私
さあ、そろそろこのお話のタイトルにきたよー!
といっても、「草原種」ってついてる所を見ると、まだまだ続くみたいだけどね。
…まったく。すぐ終わらせるんじゃなかったの?ほんと、ダメ作者だよね~。
ちなみに、前回のあらすじは「ギボウシ は チャラ男 の 名前 を 知った !」だよ。わかりやすいでしょ?心情的な面は抜きにして。
…ねえ、君達は……裏切り者にされる気持ちがわかる?
………
馬車がガタンゴトンと揺れ、振動がここまで伝わってくる。
…ここら辺だ。よくここらで遊んでいたから覚えている。もうすぐ…村につく。
馬とかに踏み潰されそうなのでよーく見る。
しかし、私が言おうとする前に、馬が数メートル手前で止まった。
それに反応し、立ち上がる二人。
まずい。正直言って二人が行ったら…皆攻撃態勢になって話を聞いてくれないんじゃない?
…私が人間側にいると思うだろうし…
視線でめーさんに駄目だと伝える。
めーさんは頷き、カイアの腕をとって無理やりソファに座らせる。
えっ?といっているカイアを置いといて、私は少し開けられた扉から外に降りる。
そして、村の門の前まで来る。
…いつもと変わらない風景だ。だが、ちょっとピリピリしているようだった。
たぶん、結構近くで馬の声とか馬車の音が聞こえたからだろう。
「あっ、ボウシちゃんかい?」
この村の私の家で、近所だった人が私に気がついた。
ちょっと心配そうな顔でこちらに駆け寄ってくる。
「どうしたんだい?ボウシちゃん。あんたら兄妹は町にいったはずだろ?それに、シロちゃんもいないようだし…」
おばさんは、そういったところでハッとしたような顔になり…鋭い視線を突きつけてきた。
「まさかあんた……仲介人になったなんて…ことはないでしょうね?」
その言葉に何も答えず、私は村長…ヒイラギばあの家へと真っ直ぐに向かう。
村の人々がひそひそと話し合っている。私に鋭い視線が容赦なく降り注ぐ。
その視線を、ないかのように無視して、ヒイラギばあの家へと行く。
…すいません。視線が痛いです。まじやめて。私結構ヘタレなんですよ!?前世でもこんな大勢の視線を浴びたことなかったし…。あー…仲介人今すぐやめたい。
そんな風に現実逃避をしていると、ヒイラギばあの家の前まで来た。
少々緊張する。ヒイラギばあの家に入ったことはあるけど、大抵扉は開いていたから。
ドキドキしながら、蔦でできた両開きの扉を開ける。
そこには、皆で勉強した、変わらない広場ぐらいの広さの部屋。本棚がたくさんあって、ドアは二つくらい。床には、私たち小人族の歴史の絵を入れた絨毯がしいてある。
そして、その部屋の一番隅っこ…いつもヒイラギばあがいる、ヒイラギばあの定位置に居た。ロッキングチェアに座って毛糸で何か編み物をしているようだ。
「……「わかっているよ。さあ、行こうか」」
私が言う前に、私の言葉を遮ってロッキングチェアから立ち上がる。
私の横を通り開け放たれた扉をくぐっていき、村の入り口の方へ向かって歩いていく。
ヒイラギばあの後に、私もついていった。
何故だかわからないけど…さっきより、視線が少ない。
そう気づいたのは、もう少しで入り口の近くという所だった。
不思議に思っていると、すぐに答えはわかった。
「俺たちに何のようだ!」
「出て行け!人間め!」
「皆!この人間共を、俺たちの村から追い出すぞ!」
「「「「「「「おー!!!」」」」」」」
村人達が村の入り口に集まり、武器…なのかわからないけど、鍬や包丁、金槌やシャベルをもってめーさん達を追い払おうとしていた。
止めなきゃ…!
そう思い口を開くが、ヒイラギばあの声に遮られた。
「静まれっっ!!」
その一喝で、村は静まり返った。村人が一斉に振り向き、私には敵意を。ヒイラギばあには困惑を。そんな視線を私達に向けていた。
静寂が続く中、一人の女性が私達の前に歩み寄ってきた。
ヒイラギばあの孫…サルビアさん。
たぶん、村人の代表として、彼女は歩み寄ってきたのだろう。
「…おばあ様。どうしてお止めになるのです?彼らは……私達を卑しめる人間達です」
その言葉には、はっきりとした軽蔑の色が見え隠れしていた。
…正直言って、驚いた。彼女は、誰にでも分け隔てなく接する女性だったから。
彼女に優しくされて彼女に恋に落ちた男も、たくさんいたはず。
彼女のその気持ちは…家族だから。家族だから分け隔てなく接していたのだろうか?
…今はそんなことを考えている場合じゃない。彼女の話を聞こう。
「それに、ボウシ…いえ、この裏切り者の彼女と、何故一緒にいるのです?まさか……私達に人間側につけ…なんて仰りませんよね?」
サルビア…今まで、ルビア姉さんと慕っていた時の柔らかい笑顔と優しい瞳はどこにもなく、ただあるのは、無表情な顔と裏切り者と語っている瞳だった。
私は……私は、ただシロ兄を助けたかっただけ。でも、その代わりに大事な家族の居場所を失った。…なんで?なんでこんなことになるの?……それもこれも、全部仲介人という肩書きのせいなの?これが…違う言葉だったら、皆は温かい笑顔で迎えてくれたの?
今までの村の人々の笑顔を思い出し、涙が溢れて来る。
次から次へと溢れて来て、止めたいと思っても止められない。辞めたいと思っても辞められない。
…ねえ、私はどうすればいいの?
「…大丈夫。ギボウシは、ギボウシの思うままに道を進めばよい」
泣きじゃくる私に、ヒイラギばあがそう耳元で囁いた。
「皆の者!よく聞け。彼女…ギボウシは裏切り者ではない!」
「おっ、おばあ様!?」
え…?どういうこと?私は仲介人。いわば、小人族でありながら自分達を卑しめる人間と手を組もうと考えた、愚かな、小人族の敵のはず。
意外すぎる言葉に、涙も止まった。
「ギボウシは、我等の家族……人間に人質に取られたシロツメクサを救おうとこの職業に無理やりされたのだ」
その言葉に、村人がざわざわとざわめき出した。
「じゃ、じゃあ、俺達は家族を…裏切り者と?同じ家族を救おうとしたものを…裏切り者と?」
「そうじゃ」
誰かが、ポツリと零した言葉。
それを聞き逃さず、ヒイラギばあは答えた。
その回答に、またもや村は静まり返り…村人が次々と武器らしきものを落としていった。
そして、武器らしきものを置いたものから、次々と私の前で土下座をし始めた。
「すまん!ボウシちゃん!俺らはそんな事情も知らないで…」
「本当に悪かったよ。何でもするから、ボウシちゃんを裏切り者と言った私達を許しておくれ!」
「ボウシちゃん…。本当にごめんなさい…」
…あの~…。頭上げてもらえます?5歳児に向かって大勢の大人が土下座してる図なんて、正直言って私が気まず過ぎます。もう、許すとか許さないとか別で、早く頭上げてください。精神的にきついです。
その思いが通じたのか、村人達が頭を上げ始め…たかと思いきや、武器らしきものを手に立ち上がり、めーさん達を睨み付け始めた。
…ごめん。正直言って今まで忘れてた。
「お前らが黒幕か!」
「人間とは、何とも卑しい思考を持っている!」
「人間から私達の家族を取り返すんだ!」
…ねえ、この村の人達ってこんなに荒っぽかったっけ?喧嘩なんてじゃれあいとかで、本気で怒った村の人達を見るのは今日が初めてなんだけど。
ってか、これじゃあ一向に話が進まないじゃん!!
「お前らは気が短すぎるっ!」
ヒイラギばあがそういうと、私が瞬きをした次には、何故か皆が頭を抑えて蹲っていた。
…え?何をやったの?ヒイラギばあ。
「この者たちは、我等の勢力争いがまた起きぬ様、離れ離れになった我等をまとめ様としている者たちだ。その使者を無下に扱うとは…お主等はまたあの争いが起きていいと思っているのか!」
その一言で、村は静かになり、人々は無言になった。
すると、一人が自分の家へ戻りだした。それに続いて、他の人々も戻りだした。
次々に戻っていき、最後にはめーさん達と私、ヒイラギばあとその娘のサルビアさんだけになった。
えっと…どうすればいいんだろう。
流れ的には、この後話し合いをするんだよね?だとしたら…私は位置的にめーさん達の所なんだけど…。
気まずい。非常に気まずい。どうすれば…。
そう悩んでいると、ヒイラギばあが手招きをしていた。ちょっとサルビアさんに会釈をして前を通り過ぎる。その時にちらりと見た瞳は、ごめんなさいと訴えているようだった。
ヒイラギばあの右隣へ行き、ヒイラギばあの口元へ耳を寄せる。
「…いつものおまじないをかけて上げるよ」
そういって、不思議と心が暖かくなる言葉を囁く。
…聞きなれた心地いい言葉。何故かはわからないけれど、私はこの言葉を聴くと、昔から流暢にしゃべれるようになる。でも、ヒイラギばあは大事なときにしか言ってくれない。……もっと皆としゃべりたいのに……。
昔を思い出し、不機嫌になる。
それを見て、ヒイラギばあは私の耳元でポツリと囁いた。
その言葉に顔を緩ませ、意気揚々とめーさん達の所へ行き、めーさんの肩によじ登る私。
よじ登った所で、私は合図をした。
「仲介、始めます!!」
―――お前の場所はちゃんととっておくよ。だから安心してお行き。 ―――
はい。タイトルきました。
実はこれと後数話で終わる予定だったんですが…私の妄sげふんげふん。私の想像がこれ以上を想像してしまったので、お気に入りに入れてくれた方もたくさんいますし、もう少し延長します。
でも…まさかあんなにptが貰えるとは思わなかった。ただ、私が空想実験をした続きを考えたから、暇つぶしに公開しただけなのに…。
えー。pt&お気に入り、ありがとうございます。まだまだ続きますので、どうぞ宜しくお願いします。
次回は、仲介…したいです。できるかわかりませんが。後、同時にこの世界の力関係とか私の空想実験の結果考え出した苦肉の案とか出します。たぶん。
それでわ。