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小人族の仲介人な私。  作者: 榎本あきな
第一仲介所:草原
3/24

3人目。まだ子供な私

やっほー!僕だよ☆


前書きを僕の力でハイジャックさせてもらいましたー♪

え?早くあらすじ教えろって?もう…せっかちだなぁ。

んーと?何々…。ああ。なるほど。僕がわかったからいいよね。

ん?駄目?めんどくさいなー。それくらい読心術使ってわかってよ。

「脅されて仲介人にされました」まとめるとそんな感じ。

それにしても…ほんとにあの子は面白いなぁ♪自分の言葉にも気がついてないみたいだし…。ふふ。もっと楽しませてよ。シーちゃん?




………

え、今から行くって……今夜じゃないの?感覚的に。

夜だと私は案内できないんだけど…。猫みたいに夜目は利かないし。


「何言ってるのさ。たいちょー。時間的にも今からなんて無理に決まってるじゃん」

「いや……今から出発して、朝につけばいいかな………って」

「だからー……って、そもそも距離がわからなかったら出発するも何も出来ないや」


チャラ男はめーさんと何かを話し、こちらへ振り向いたと思うと、地図っぽいのを開いた。

……っていうか、これ地図だよ。うわー…私、転生してから始めてみたよ。


「で、君の村はどこにあるの?」


後ろに般若を侍らせ、「早く教えろ」オーラを出してるチャラ男。

見た目チャラ男なのに、私に対しての態度がまったくもってチャラくない!…いや、小人族差別者だったら当たり前か。話し聞いて貰える方がまだマシだしね。


…でも、一ついいですか。私、転生してから今まで、地図というものを見たことがなくて…現在地すらわからないし、村の位置もわからないんですが。

それに、地図も転生前と違って地形もだいぶ変わってるし、転生前に行った事がある場所も小さいことと建物とか全然違ってまったく気がつかなかったから。

お父さんに東京へ連れて行ってもらったとき、最初はどこかわからなかったからね。


伝えてもらうためにめーさんに視線を向けると……何故か空中を見ていた。

あそこは何もないはず……もしや、めーさんは霊感か何かがあるのか…!?…ごめん。その手の問題は私、大の苦手なんで遠慮させてください。


「……無理」

「え?何が……翻訳っすか」


「せめて、~って言ってるって言って欲しい」とため息を零しつつ呟く。同情します。私に同情されても嬉しくないだろうけど。

で、どうするんですか。私わかりませんよ。まあ、私はわからなくても損は…そうだ。シロ兄達解放してもらってないんだった…。どうするのこの状況…。


「……しょうがない…。あいつらに聞くか…」

「あいつらって……まさか、妖精ですか!?駄目ですよ!どんな要求されるのかもわからないのに…」


さっすがめーさん!最初からそれやっとけよ。私が無駄に睨まれるはめになったじゃないか。


「……前みたいに、竜巻を起こさせて。とかだったらどうするんですか…!あれでひどい目にあったの忘れたんですか!?…その時は民家とか近くになかったからいいですけど…」


…やっぱやんないで。マジで。ほんと止めて。竜巻とか起こったら私死んじゃう。前世で運動音痴だった私に、さらに拍車がかかってる今世では、少し高くても死んじゃうのに。ちなみに、だいたいテーブルの高さくらいで、よそ見していると死にます。余所見してないとなんとか大丈夫です。


私がそんなことを思っている間、めーさんは空中をみています。時折、何かと話すように口を動かしています。でも、まったく聞こえません。口の動きでもわからない。まあ、読唇術なんて使えないから元々なんだけど。


「……場所把握した」

「………要求は…?」


その言葉に、チャラ男が生唾を飲み込む。私も、緊張のせいか怖さのせいか、ちょっとビクビクしている。

いや、だって、竜巻起こしたいとかいうくらいなんだから、地震起こしたいとか火山噴火させたいとか言われたらどうなることか…恐ろしい…。


自然と身構える私とチャラ男。

私達に、めーさんの口が開かれた。


「……木をとある地方に生やしたい…だそうだ」


その言葉にホッと安堵する。

よかった…。なんか危険なことじゃなくて。心なしか、めーさんも笑顔の様な気がする。ほとんどわからないけど。


「とある地方って?」


余裕を取り戻したチャラ男がめーさんに問いかける。

その問いに、めーさんは無表情に答えた。


「ユミル」

「ユミル……え、ユミル?ほんとに?」


え?ユミルって…あのユミル?確かユミルって…木、生やしちゃいけない土地じゃなかったっけ?木を生やすと生態系が崩れるとか何とか。

確か、そこだけは各国で取り決めがなされていて、「誰の土地でもない。また、誰かが干渉してもいけない」場所じゃなかったけ…。…それって結構まずくない?


「…うん。本当。…それじゃあ、場所もわかったことだし、行こうか」


うわっ!っとと…。なんかめーさんにいきなり持ち上げられた。いや、手のひらにいきなり乗せられた。


めーさんが動くたびに揺れがおき、バランスが取れなくなって手のひらの上にペタンと座る。

……妙に怖いです。いや、高いところには結構行くんだけど、人の手のひらとか乗ったことないし、動いてるから落ちそうでなんか怖い。


ちょっと落ち着いて辺りを見回すと、そこはもう外だった。まったく知らない場所。周りは暗く、推測どおり今の時間帯は夜らしい。

めーさんはそんな暗がりをものともせずずんずんとどこかに向かって歩いている。迷わないのだろうか…?私は小人族だからか、動体視力が前よりも上がってて夜目が利くんだけど…。


あれ…そういえば、シロ兄は…?このままじゃシロ兄を置いてくことになるんだけど!?

その意味をこめてめーさんを見る。


「…大丈夫。あれ嘘」

「………は?」


何、私の耳が可笑しくなったの?幻聴が聞こえてきたんだけど…。シロ兄が捕まってるのが嘘?まっさかぁ…マジで?


「…捕まえてなんていない。俺たちは君だけにしか用はない…。一般人は巻き込まない。……それが騎士道」


え?じゃあ……私は騙されたと!?絶対にあのチャラ男ならやると思ったんだけ…どっ!?


突然空中に投げ出され、ボフンという音ともに顔面着地した。

………柔らかいです。


なんでこんな柔らかいの!?こんな柔らかいの!?ってかこれって何が柔らかいの!?私の中で柔らかいがゲシュタルト崩壊!!


「…それは人用の馬車のクッション…。座るところの…。…結構硬いはずなんだけど…」


なんか申し訳なさそうな空気を出すめーさん。

いやいや。私投げられたことはまったく怒ってないよ!むしろ嬉しい!Mじゃないけど!投げられたおかげで良い思い出来てるんだから。


「ちょ…たいちょ、早いです。僕は、妖精が、見えないんですから、こんな、暗い中じゃ、走れ、ないです!」


あ、よーせーさんに案内して貰ってたのか。どうりで迷いなく進んでると思った。

この世界って、私が死ぬ前よりも夜がとっても暗いみたいなんだよね。確実にあがったはずの動体視力でも、前世の月明かりに照らされてるだけの道ぐらい見えにくいからね。


呼吸を整え、チャラ男はめーさんの向かい側に座った。

ちなみに、御者からみて右に備え付けてあるドア。そこから入って左奥にめーさん。左前に私。右奥にチャラ男…みたいな感じになっている。


…なんか眠くなってきたな。この時間帯は、いつも寝てる時間帯だから、眠気が襲ってきたのかな。

……寝るか。仲介人の私を殺す。なんて自分たちにとって不利益な事はしないだろうし。



おやすみなさーい。


***


すやすやと眠るとても小さな、俺たちに似ているモノに複雑な視線を向ける。


…最初は、この任務に就かされたときなんて厄年なんだろうと思った。俺たちの真似をしている、臆病でとても弱い小さなモノ達。小人族を、俺は大嫌いだった。


…だけど、今日始めて小人族を見て、正直いって俺の考えは覆されたと言ってもいい。


自分の考えをしゃべり、自分の意思を持っている。小さくて俺たちとはぜんぜん違うけど……人間らしい…いや、俺たちよりも人間らしいと感じた。それは、この国の悪意や法律、宗教や噂などにまったく染まってない…だからだろうか。俺自身、よくわかっていない。


けど……とても人間らしい心で…何故か、イライラさせられた。


きっと、卑下していた小人族が…人間だと認識させられたからだろうか。…たぶん、認めたくなかったんだろうな…。


ちらりと、前にいる隊長に目を向ける。

隊長は、最初から人間に接するように小人族に接していた。それは…知っていたからなのだろうか?隊長だって、小さい頃から刷り込まれていたはずだ。「小人族は、臆病でとても弱い…世界の恥」だと…。


聞いてみたい。そう思ったときには、もう俺の口は動いていた。


「隊長…」

「……なんだ?」

「…僕には、どうしてもこいつが、僕の知っているような…世界の恥には、どうしても思えないんです。…むしろ、僕らよりも人間らしい…。そう感じるんです」


こいつは、見た感じ結構幼い。だけど…子供だと言うのに人間らしさを感じるんだ。それはきっと、小人族の大人も人間らしいということだろう。子供は、良くも悪くも周りに一番影響されやすい。大人が人間らしいから、それに影響されて子供も人間らしいんだろう。こいつがその証拠だ。


隊長は、少し考えるそぶりを見せ、ハッとしてから俺を見て言った。


「…そういえば、お前は…真実をしらないんだよな…」

「真実…?」


なんなんだ?真実って。…もしかして、俺がずっと聞いてきたことが…嘘?


「…本当の人間は…俺たちじゃない。本当の人間は……彼女たちだ」

「………」


う……そ。人間の中でケレス(この大地)を汚すものが現れた。俺たちの先祖は、その連帯責任として小さくさせられた。汚したモノ達は、ケレスのその力を怖がり、一つに固まって縮こまっていた。その中で、俺たちの先祖…巻き込まれた俺たちの先祖は、ケレスのために力をつくした。ある所で自然を壊す猛獣を倒し、またある所では、壊れた自然を戻すために草を育て、花を愛で、木を植えた。

その努力が認められ、俺らの先祖だけ(・・)が元の大きさに戻った。

一方、汚したもの達は、罪を清算することもしないで、臆病に縮こまって生きていた。縮こまっていたのが原因なのか、前よりもさらに小さくなり…小指ほどの大きさになった。


…俺はそう教えられた。それが……全部嘘?


「…そう。…全部嘘だ…。彼らも…所々嘘が混じっているが…彼らの話の方が真実にもっとも近い……」


俺らの教えられてきたことが…全部う………え?

今なんていった?彼らの話にも所々嘘がまじってる?え、じゃあ……真実って…?


「本当の真実は……妖精(かれら)が…知っている」

「妖精が……関係あるんですか?」

「ああ…」


妖精が関係している…どういうことだ?


「ケレスを汚した…俺達の先祖も含めた…すべての人間。ケレスはその人間達を撲滅するために……人間には毒だった…魔素を生み出した…。人々は死に絶え…残った人々は魔素を避けるため…小さくなった。それが今の小人族だ」

「…僕らの先祖も……汚した人々…だったのか…」

「ああ…。だが、ここからが彼らの話とは少し異なる…。お前は知らないと思うが…真実の話を…しよう」


馬車の中に広がる静寂と緊張感に、思わず唾を飲み込む。真実……俺が、今まで知りもしなかった…真実。


「小さくなった人々の中に……特にケレスを汚し…妖精に嫌われている人々がいた。その者たちは…ケレスに酷い目に合わされ…妖精に大変な目に合わされ…怖くなり逃げ出した。時がたち、妖精もケレスも…彼らを相手しなくなった…。恨み妬み怒りを募らせた彼らは……魔素と融合し、大きくなり……妖精とケレスに仕返しをしようとたくらんだんだ…。だが、大きくなったものの中でも…対立が起こり…次第にそのことを忘れていった…。ただ、ケレスに、妖精に、愛されている小さいもの達を…羨ましいと感じる心は…なくならなかった…。こうして…差別が始まったんだ…。」


馬車の中で聞いた、衝撃的な言葉。

”歴史は、勝者の口からの嘘でしか…知ることはできない”小さい頃から、何故か知っている言葉だ。

それが誰かの言葉かは知らない。けど、その言葉と同じことが…俺の知っている歴史の中で本当にあった。


愛された小人族は大切に育てられ、嫌われた人間は、外へと捨てられた。

外を知らない小人族は……歴史にまったく関与しなかった。だから、歴史を改変した。自分達のいいように。

試合に勝って勝負に負けた……人間は、それを歴史の中で本当にやっていたのか…


なんだか…今まで小人族を卑下していた自分がとてつもなくちっぽけで…恥ずかしい存在に思えてきた…。

隊長が俺を見て、呟くように言葉を紡いだ。





「…お前は……もしかしたら、愛されるのかもな……」





その言葉は、俺に届くことはなく…夜の闇に消えた。

短編書いてからこの話を書こうとしたら、短編を保存するの忘れて全部消えた…。

ヤケクソで書いたので、文が大変なことになってます。

あらすじの方は、お話に出てきません。ですが、お話のヒントを出したり、補助したりする役目です。それがギボウシ達に伝わるかはわかりませんが。

…ただし、彼は正直いってうざいです。素であれなので、ソウルイーターのエクスカリバーと張り合えるかもしれません。うざい場合は、カッコの中だけ見てください。あらすじを一行でまとめてあります。


それでわ。

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