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小人族の仲介人な私。  作者: 榎本あきな
休憩所:王都
24/24

14人目。獲物な私

 手に持っている転生華をハルに運んでもらい、街道の隅を歩く。

 正直言って私の小ささじゃ踏まれそうだけど、それは小人族に生まれたものの宿命という奴だろう。


 それにしても、あの人は、なんだったのだろう。


 私と同じ前世持ちの人。

 けれど、私に前世があるとどうやってしったのだろう。私は話してもいないし、そもそもあの人とは初対面だ。それに、あの人がどうして私に自身の前世の記憶の有無を教えてくれたのかもわからない。

 そこらへんは、次に会ったときに聴くしかないだろう。……次、また会えるかはわからないけど。


 そんなことを考えていると、ふと、こちらによってくる子供たちが見えた。

 ……明らかに私を凝視している気がするけど……気のせいだよね?


「……おい!あそこにいるの、小人族じゃねぇか……!?」

「え、どこどこ!?」

「……ばっかお前!もうちょっと声小さくしろ!気づかれて横取りされんぞ……!」

「……あ、マジか……!」

「……とりあえず、捕まえるか!売れば金になるだろうしな……!」

「……そうだな……!」


……完全に私を捕まえて売るきですねわかります。

 私達小人族は、元人間でありながらも、神や精霊、妖精に愛された種族だ。そのため、その加護が欲しい貴族たちなどに高値で売買される。ちなみに、情報源は最初に私とシロ兄を馬車に乗せてくれたおじさんです。

 けれど、そう簡単に捕まるなんて、正直嫌だ。


 私を最初に見つけた少年が、仲間を呼ぶのを横目で見ながら、路地の方に入っていく。

 少年たちは、私がまだ気が付いていないと思っているのか、後ろから音を立てない様にこっそりと後をつけてくる。


 ハルにカイアへ伝言を頼み、一人で路地を淡々と歩いていく。

 そして曲がり角まで行ったとき……一気に走る!


「あっ!おい、逃げるぞ!?」

「お前等、全員あいつを囲めぇ!!あいつら(・・・・)に見つかる前に、捕まえるぞ!!」

「ここらへんじゃ見かけない小人族だから、地理的にはこっちの方が有利だ!行けぇ!!」


 私が走り出すと同時に、後ろから声が聞こえ、バタバタと追いかけてくる音がした。

 きっと、彼らが私を追いかけている音だろう。


 この町のことなんて右も左もわからないまま、あっちへ行き、こっちへ行き、目的地もわからないまま走り続ける。

 けれど、どの道へ行っても少年の仲間らしき人達が私の行く手を塞ぐ。

 やっぱり、来たばかりの私では、ここにずっと住んでいる少年たちには敵わないのだろう。




 とうとう、路地の行き止まりに追い詰められた。少年たちは、私同様、息を切らしながら、私を鋭いまなざしで見つめている。

 むしろ、まったく道がわからないわりに、よくここまで逃げ切れたと思う。

 けれど、走る気力ももうなくて…………逃げれない。


 せめて、せめて、シロ兄だったら……逃げれたのかなぁ……。


 コツンコツンと、少年達のリーダーが、息を切らしながら近づいてくるのがわかる。

 その瞳は、他の誰よりも鋭かった。


「ようやく追い詰めたぜ……あいつらが来る前に、お前を捕まえて、売ってやる!!」


 そういう少年の手には、小さな、それでも、私を入れられるくらいの大きさの麻袋が握られていた。

 壁を蹴って上る力はない。それに、上にも少年たちの仲間がいる。

 ここで……捕まるのだろうか?


 一応ハルに頼んでカイアかめーさんを呼んできてもらってるけど、それも間に合わなそうだし。

 ……どうして、こんなことばっかりだったんだろう。

 なんで、シロ兄と一緒にいれないんだろう。


 私は、シロ兄と一緒に、居たいだけなのに。


 そう思って、私は目をつぶった。







「天が呼ぶ地が呼ぶ小人が呼ぶ!助けを求める声がするぅ!!」


 ……上から、変な声が聞こえた。

 突然の事にびっくりしながらも、私は真上を見上げた。


「か弱き小人をいじめる奴は、この『OUTLOWS』の名のもとに、成敗してくれよう!!」


 建物の隙間から、漏れ出る光に目を細めた。

 その光に、一瞬、小さな黒い影が通る。


 その黒い影は、突然空中に現れたと思ったら、そのまま少年たちのリーダーの顔を踏み、それを足場にして蹴る。

 その威力はなかなかのもので、少年たちのリーダーの頭が、ゴンッ!と音を立てて地面にぶつかった。


 地面に降りるとともに、瞬間移動のように次々と少年たちの目のまえへと移動し、気が付いたときには



 少年たちの半分が倒れていた。



 突然の事態の好転に、思わず目を瞬く。

 逆光で見えない顔は、いまも背中を向けていて、私からでは見えない。

 降ってきたその小人族は、腰に手を当てて、少年たちに問いかけた。


「……で、半数以上が使い物にならなくなったけど、残りの半分はどうするんだ?」


 そう問いかけると、残った少年たちは肩をビクリと震わせ、倒れている少年たちをつかみ、そこから逃げていった。

 少年たちがどこかへ行った安堵からか、私はフラフラとその場に座り込んだ。

 それに気が付いた小人族が、初めて私の方へと顔を向けた。


「大丈夫だったか?」


 その小人族の顔を見て、驚きに目を見開く。

 正確には、顔の頬にある逆三角形(・・・・)の黒い刺青を見て。



 どうしてここに…………流浪の種である、戦闘種がいるのだろう。



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