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小人族の仲介人な私。  作者: 榎本あきな
休憩所:王都
22/24

12人目。不安な私

遅れてすいません。


閑話の王都編スタートです。といっても、二つか三つで終わると……思いますよ?

終わると思います。終わると願っててください。もしかしたら、自分の悪い癖で後付とかするかもしれない。

とりあえず、久しぶりのボウシちゃんを楽しんでください。

「王都へ、来てほしい」

「は?」


 ……いやいや。…………え?

 どういう意味?ちょっと待って。頭が混乱しすぎて理解できてない。そもそも、二人は帰ったはずでしょ?

 王都からここまでは、確実に数日はかかるって聞いたから……往復で来るなら、数十日にはなると思うんだけど……。どういうことなの?


 私が内心、そうやって頭を抱えているのを、見透かしたかのようにめーさんは言った。


「王様……から、伝書鳩……来た。……仲介人を……連れて来いって……。……だから……引き返した」


 ……なるほど。帰ろうとしてたら、王様から「仲介人を連れてこい」って手紙が来たから、途中で引き返してきたのか。ようやく頭の整理ができた。

 けど、私は仲介人になるつもりなんて最初っからない!そもそも、草原種の仲介をしたのだって、シロ兄と竜車のおじさんのためだから。


「……私は「ボウシ」」


 「仲介人をやらない」そう言おうとして、突如、私の声を遮るように、声が重ねられた。

 振り向くと、それはヒイラギばあだった。


「ボウシ。仲介人になっておくれ」

「……え」


 ……どうして?仲介人は、裏切者でしょ?そんなのに、私はずっとなり続けるつもりはないよ?ヒイラギばあは、私に裏切者になり続けろって……そういっているの?

 ヒイラギばあの言葉の意味がわからなくて、私は、最初よりもさらに頭を混乱させた。


「別に、裏切者になれ。と言っておるわけじゃない。人間との、橋渡しをしてほしいだけだ」

「……橋……渡し?」

「ああ」


 橋渡し?それなら、私じゃなくてもいいと思うのだけど……。それに、仲間からは裏切者と言われ、人間からは臆病者と言われるなんて……そんなの、私は嫌だ。

 そんな私の考えを、見透かしているかのような目をしたヒイラギばあは、絵本を読むような心地よい声で、言った。


「いいかい?これは、人間ではもちろんのこと、他の小人族でも出来ない。あの2人の人間と繋がり、あの方々の加護を受けた、お前しかできない。ギボウシだけにしか、やり遂げられない事なんだよ」

「…………」

「大丈夫。お前ならできるよ」


 その言葉に、いつの間にか入れていた肩の力が抜ける。

 私しかできないこと。ヒイラギばあに言われた言葉が、私の頭の中を反響する。思い起こされるのは、前世での最後。私ではできないこと。


 これで皆が助かるなら。これで皆が笑顔になるなら、私は裏切者でも臆病者でも……仲介人でも、何でもなろう。

 私は、頷いた。


 私の、声にならない決意に、ヒイラギばあは微笑み……ふと思い出したように、後ろを向いた。

 なんだろう?と思っていると、ヒイラギばあが再度、私の方に向いた。その手には、さっきまで持っていなかったものを持って。


「これを」


 そういわれて渡されたのは、何も生えていない、植木鉢。普通の土が入った、芽すら出ていなく、種もあるのかすらわからない植木鉢。

 ……差し出されたからとりあえず受け取ったけど……なんなの?これ。


「これは、“妖精の花(フェアリーリリー)”と呼ばれる種が入った鉢植えだ。……きっと、お前の力になってくれるだろうよ」

「あり……がと……」


 何の役に立つかは今はわからないけれど、直にわかるだろうと思い、荷物を肩に背負い、植木鉢を両手で抱えた。


「―――!!―――!!!」


 いざ、行こう。とした所で、オルゴールのような声が遠くから聞こえた。ふとその方向を見ると、小さい、ガラスのような竜が。確実にあの竜ですね。というか、今までずっといなかったけど、どこ行ってたんだよ。

 勝手に行くなと言っているような声を無視し、馬車の隙間から入る。


 中は、私が最初に乗った時と同じ。あの時と違うのは、私に竜が付いてきていることと、目の前に、馬車を降りなかったカイアが座っていることだろうか。

 カイアはこちらをチラリと見た後、馬車の扉についている窓にあるでっぱりに、頬杖をついた。


 カイアの隣に座り、めーさんが私の後に入ってきて、私の隣に座る。私よりも小さい竜が、私の横に座る。植木鉢は、私の膝の上。

 皆が座ると、そのタイミングをしっていたかのように、馬車が走り始めた。


 景色は見れなくとも、どんどんと村が遠ざかっていくのが、なんとなくわかる。

 今まで実感がわかなかったけど、ようやく感じた。


 これが、私の思い(かえるばしょ)から離れることだと。


 私は不思議と、前世のこの世界と、覚えてもいない、前世のあの世界から離れたときのことに、思いを寄せた。


***


 馬車に乗って数日間。

 最初は、馬車ふかふかーとか思っていたけれど、もうそれも慣れた。というか、景色も私の背では見えないから、まったくもってつまらない。

 一回、窓のでっぱりに乗っかって、外の景色を見てみたが、代わり映えしない景色が続くだけだった。そのあと、振動で落ちかけたため、窓のでっぱりには動いているときには絶対乗りたくない。


 というか、この膝に乗っかっているこのチビ竜が邪魔だ。別に私の膝の上でなくともいいだろう。……まあ、最初はこの馬車を飛び回っていたのを思い出すと、飽きたってのはわかるけど。

 そういや、この竜の名前、考えてなかったなー……。……そうだな……。ちょっとガラスみたいって言っても、ちょっと青みがかっているから、ギボウシの花の種類から、「ハルシオン」なんてどうかな?


「……ハル」

「―――!―――――!」


 耳をピクピクと動かし、オルゴールのような鳴き声で、嬉しそうに鳴く。気に入ってもらえたみたいだ。

 ……あれ?なんか、ハルの体が、さっきよりも青に染まったような……。それに、額のやつって、黒じゃなくて赤だったよね?……気のせいかな?


 私が妙な違和感を感じていると、ガタゴトと音を立てていた馬車が、ゆっくりと止まった。どうしたのだろうと心配していると、外から怒鳴るような激しい音が聞こえてきた。

 ……喧嘩か何かでもしているのだろうか?気になるなー……。


「何やってんの君たち!」


 ガチャリと右側から音がし、それに反応して右を向くと、カイアが扉を開けて外に出て行っていた。私の予想通り、何か起こっていたらしい。

 さっき落ちかけた失敗を反省して、ゆっくり跳……ぼうとしたけど、ゆっくりなんてできない上に、今止まってるから、大丈夫か。と思い直し、扉にある窓のでっぱりに、飛び乗った。


 私では少々重いカーテンを押し上げ、外を覗き見る。すると、外で何かを言い争っているように見えた。御者の人と町を守る警備の人が言い争い、それをカイアを諌めている……みたいなんだけど。あ、カイアも参加し始めた。


 というか、あの警備の人、なんで口に布なんか巻いているんだろう?それとめーさん。私の頭の上から覗かないで。押しつぶされちゃうんじゃないかと思うから。あと、外見から想像つかないから。


 とか思ってると、カイアがこっちに向かって歩いてきた。急いで自分の所の座る。何事もなかったかのように。

 右側の扉が開き、カイアが入ってくる。カイアが自分の席に座ると、これまたタイミングを知っていたかのように、馬車が動き始めた。



 ……カイアが話す気配は、一向にしない。何があったのか気になるんだが。


「……流行病」


 もう聞こうと思った所で、カイアが話し始めた……のだが、流行病?え、それとあの町と、どういう関係が。


「流行病が、あの町で流行っているらしい。感染が早いみたいで、処方薬もまだ開発されていない。今、急ピッチで進めてるんだけど……。とりあえず、広がらない様に、町全体を隔離してあるらしい」


 その言葉に、思わず血の気が引いた。自分でも、顔が青くなっているのがわかる。めーさんの無言も、カイアの焦ったような声も、ハルの慰めるような声も、どんどん遠のいていく。


 どうしようどうしようどうしよう。あの町にシロ兄がいたら……どうしよう。流行病にかかってたらどうしよう。……死んでたら、どうしよう。

 怖い。怖い怖い怖い。嫌だ。もう家族がいなくなるのは嫌だ。どうしてみんな、私がいないところで死んでいくの?嫌だよ。怖いよ。私も一緒に連れて行ってよ。


「お―――!おい――――!!おい、ギボウシ!!」


 突如、その声と共に頭に衝撃が走り、めーさんが座っている方向に吹っ飛ばされた。

 痛みを我慢し、のそりとゆっくりした動作で起き上がり、声の発生源をたどると、そこには指をデコピンした後の形にしている、カイアの姿。さっきの衝撃は、デコピンだろう。


 突然の事でぼーとしている私に、カイアは言葉をつづけた。


「無事だって、信じてやれよ。家族なんだろ?お前みたいなやつの家族やってる奴なんだろ?そんな軟な奴じゃないだろ。信じろよ」


 いつにも増して鋭い視線なカイアに諭された。そういったカイアの瞳は、とても必死で……どこか、後悔していた。

 その言葉と瞳に言われ、落ち着きを取り戻した私は、小さく頷いた。


「じゃ、今は寝てなよ。信じるための心の準備のためにも」


 そう呟き、カイアは私の目の上に、左手を覆いかぶせた。暗闇が私の視界を覆い、急激な眠気に襲われる。そして、私は眠りに落ちていった。


 カイアの悲しそうな、でも、安堵した表情が、強く脳裏に残っていた。

久しぶり過ぎて、ボウシちゃんをどう書いたらいいのかわからなかった。一回執筆した奴、全部消しましたから。妙に変な気がして。

そのせいで遅れました。すいません。


次回は、王都突入です。はい。シロ兄はもうちょっと後で。


そういや、小人族のキャラクター達を書いてたら、友人に「載せろよ」と言われました。ペンタブをゲットするまで、やめとこうと思ってたんですけど……気が向いたら、載せます。

いや、ただ単に自分が納得できる絵を描けなかっただけです。描けたらたぶん載せます。


それでわ。

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