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小人族の仲介人な私。  作者: 榎本あきな
第一仲介所:草原
2/24

2人目。無口な私

前回のあらすじ


シロ兄と共に、住居とお金を求めて町へ向かっていた私達は、道中、何者かに竜車ごと攫われてしまう。まあ、小さいから持ち運びラクチンだしね。

竜車の中にいて安全だった私は、シロ兄の無事を確かめに外に出たんだけど…なんかイケメンさんに掴まれました。

そのイケメンさんは私に頼みたいことがあるらしく、その頼みごとは…「小人族の仲介人」になってほしいというものだった。


それでわ↓

…目の前の人は何を言っているの?頭が可笑しくなったの?

というより、この人は理解しているのだろうか。


小人族(コロポックル)が人間と極力接しないのを。


私達小人族は、極力人間と接しない。なんせ、私達を蔑んで来た人たちだよ?

いじめられっこがいじめっこと仲良くしたいと思う?それと同じこと。


例外は、お金が無くなったり、私達のように理由があったり、家族のために稼ぎに行く場合だけ。

それ以外は、人間としゃべりもしないし、そもそも人間の町に行くことすらない。

それに、私達の村は、本当に小さいから、大抵は人間に見つからないしね。


だが、目の前の人は私に、小人族の村へ案内して欲しいと言った。

つまり、私に小人族の仲介人(うらぎりもの)になれということだ。


……いや、なんねーよ?一族を裏切るなんて、するわけないじゃないですか。

あの村で私達は育って来たんだ。故郷を裏切るなんて…それこそ、恩を仇で返す行為だ。


「……案内して、くれるか?」

「…しない。……するわけない」


本当は、しねーよバーカ。くらいは言いたいけど、私は今、相手に掴み上げられている。

ようする、私の命は目の前の人が握っているのだ。

いや、だって、そうでしょ?いくら身体能力がある程度高くても、コンロの火にでも落とせば、私死んじゃう。


ってか、私久しぶりにしゃべった気がするなー…。しゃべらなくても、シロ兄が私の内心を察して、通訳してくれるからねー。

………あれ。そういえば、シロ兄は?


「……シロ兄……」

「…小さい方?…」


…小さい方といえば小さい方だな。私は目の前の人の問いに頷く。

…シロ兄がこの話聞いたら、激怒しそうだな…。「ちっさくない!!」って言って。


前も、ガキ大将的な子に私がいじめられてた時、シロ兄は私の代わりに殴られた。

まったく反撃しないシロ兄を見て、ガキ大将がいい気になって「小さいくせに俺様に反抗するからだ」って言ったんだ。……その後のシロ兄は、言葉で言えない位ガキ大将をボコボコにしてた。

…シロ兄…。それはあなたじゃなくて私に向けた言葉ですよ…とは、口には出せなかった。シロ兄が怖すぎて。


その話は置いといて…目の前の人は視線を泳がした後、こう答えた。


「捨てた」


よし。こいつの手首を搔き切ってやる。幸い、ナイフは背中のベルトに入れたままだ。

服なんて気にしない。とりあえず、こいつの手首を切って、その後でシロ兄を探しに行く。

うん。そうしよう。


私が目をギラギラさせていると、後ろの扉が開いた。

…扉なんてあったんだ。ってか、よくみたら倉庫みたいな場所だな。


後ろの開いた扉からは、チャラそうな人が出てきた。


「たいちょー。こういうのは親切に逃がしちゃだめですよー。取引の材料になるんですから」

「…と…いわれても…」


なんだこのチャラい人。目の前の人より賢いんじゃないか?チャラ男のくせに。

ってか、目の前の人はシロ兄を逃がしてくれたいい人なのか。じゃあ、敵はあのチャラ男だな。

…いい人でも気遣いができそうにないけどな。一向に私の服のことに気がつかない。

この服、ワンピースだから襟の部分が千切れると服が重力に従って落ちちゃうんだけど。


「ってか、そろそろ降ろしてもいいんじゃない?逃げようとしても、小人族だしすぐ捕まえられるでしょ」


チャラ男の方が気遣いが出来るみたいだ。後の言葉は気に食わないけど。

私達は小さいから、壁にネズミの穴でもあれば楽々逃げられるんだぞ。


チャラ男にそういわれ、目の前の人…たいちょーさん…かな?そんな雰囲気微塵も出てないけど。

…勝手につけるか。そうだな…目の前の人だから、めーさんでいいかな。


めーさんは言われたとおりに私を降ろした。よし。これで服が破れる心配は無くなった。

さて、そろそろ本題に


「ていうか、君達そろそろ本題に入ってよ。いつまでたっても進まなくて、飽きて来たんだけど」

「……盗み聞きよくない」


反抗の意思を示すめーさん。イケメンなのに可愛いなおい。私も真似して、反抗の眼差しを…睨まれました。


「やったのは盗み見だからいいの。それより、早く進めてよ。一週間も探して、ようやく手に入れたのに、ここで逃げられてまた探すなんて、嫌だからね?」

「……わかった」


そういって、私に近づくように屈んだめーさん。というよりチャラ男。盗み見の方も十分悪いから。


で、どういう理由で私に小人族の仲介人(うらぎりもの)なれと言っているのか聞きたい。

あ、でも、言葉にしないと駄目…なんだよな。…視線で伝えられない?


手短に理由を。と視線で伝えてみる。

すると、めーさんは視線を彷徨わせて…しばしの沈黙の後、こういった。


「……国が大変で、小人族の協力が欲しい……から?」

「なんで疑問系なんですか。たいちょー…」


疑問系で言っためーさんは、何かやり遂げた表情でこちらに訴えてくる。

なんだろう…。お母さんのお使いをやり遂げた子供みたいな…いやいや、大の大人だ。それは…ない?

…このやり遂げた表情……もしかして、視線が伝わったのか!?

やった!これでしゃべらなくても通じるぞ!


「何二人で視線を交わしてるのさ…。まあ、要約すればそういうことだけど。詳しい説明が必要だったらいって」

「…詳しくお願い」


めーさんがしゅんってなった。ごめん。めーさん。私はあなたよりも裏切り者になるかならないかの方が重要なんだ。


「まず、小人族の仲介人を必要としているのは、僕達の国の王。ぺテルス王国国王、ブロウ・ロト・リラ・ぺテルス国王が小人族の知識を必要としているからだ」

「……次」

「小人族の知識を知るには、小人族を国に引き入れるのが手っ取り早い。そう考えた国王は、僕達に命令したんだ。”小人族の村を探し、交渉をしろ”ってさ。交渉するには仲介人を手に入れるのが一番いい方法だから、ついでに仲介人も手に入れておけって。で、ぜんぜんしゃべんないけど扱いやすそうな君を仲介人にしようってこと」


なるほど。いわゆる、小人族の知識が欲しいから交渉して国に引き入れろと。その時に人間だけだと警戒されて話も聞かれないと思うから、小人族の私を仲介人にしたいと。最後あたりは余計だが。


でも…それで私に何のメリットが?それじゃあ、ただの裏切り者じゃないか。

…駄目だ。チャラ男には視線で伝わんない。めーさんに伝えてもらおう。


「……メリットは?」

「え?…ああ。翻訳ね。……これだから小人族は……。メリットは、君のお兄さんを逃がしてあげる」


おい。途中聞き捨てなら無い言葉が聞こえたぞ。この無口さは私特有であって、皆が皆、そうじゃないんだからな!他の皆はちゃんとしゃべるし、チャラ男みたいに、普通は私の言葉を理解できてないんだ!

…なんだか悲しくなってきた。


ってか、メリットがシロ兄を逃がすだけ…。もう一声っていって、追加してくれないかな…


「……もう一声ー」

「なんでたいちょーが言ってるの!?ああ、もう!その腕下ろして!誰も見てないけどみっともないから!」


なんだこのチャラ男。お母さん属性か。次からママンと呼ぼうか。

……いや、冗談です。だから睨まないでください。殺気を飛ばさないでください。


「…じゃあ、あの馬車の人も解放してあげるから。……ちっ。何で僕がこんな小人族の相手なんか……」


あー…。この人、ぺテルス国民でも珍しい小人差別の人か。平民生まれじゃ、あんまりないんだよなー。

…この人、貴族か?まったくもって貴族的雰囲気が見えないんだけど。後ろから黒いオーラだしてるけど。


まあ、これでとりあえず二人の安全は確保…ってことか。よし。これで私が、人質取られてるから仕方なく仲介人を継続しますルートは消去だな。

…初めて前世の知識があってよかったと思ったよ。今までぜんぜん使わなかったからね。


で、いついくの?


「今から」

「……え?」


今からって…感覚的にもう夜じゃない?外見れないからわからないけど。

あらすじをつけて見ました。これで、何ヶ月間放置していたとしても、読者がわかるんじゃないかなーと思いまして。久しぶりにみて、どこだかわからなくなったっていうのは、自分もたまにあるので。


次回は…やっぱり未定です。どうなるか自分もわからないです。


それでわ。

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