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死神といっしょ!  作者: 是音
85/116

第85話 死神とチェンジ!

〈メッチャサルベージ♪メッチャサルベージ♪〉


〈カタコルヤーン♪カタコルヤーン♪〉


〈ムシバイテーシ♪ムシバイテーシ♪〉


・・・。


 死神が設定したオレの携帯の着信音です。


 意味不明です。


〈メッチャサルベージ♪メッチャサルベ・・・早く出ろよ〉


 何!?


 す、すげぇうぜぇ。後で変えておこう。


「はいもしもし」


 電話に出ると、聞き慣れない声が聞こえてきた。


『もしもしロシュー!?』


 全然聞き覚えのない声だから死神の友人だろう。

 もはや慣れてしまった。


「死神に用か?」


『ありゃ!噂の《準くん》だね!?そうそう、ロシュいる?』


「待ってろ。今かわるから」


 喋りながらオレは死神の部屋のドアをノックして入る。


「すぴー」


 パジャマ姿の死神はまだ爆睡していた。


「死神ー、電話だぞ」


「すぴー」


 駄目だコイツ、起きねぇわ。


「もしもし?悪い、死神は今寝てて起きねぇんだ」


『相変わらずねロシュは〜。仕方ない《準くん》、携帯をロシュの耳元に置いてくれる?』


「? おう」


 言われた通り携帯を死神の枕元に置いた。


『ロシューー!起きろーー!』


「すぴー」


『起きろーー!私だぞーー!』


「すぴー」


『・・・』


「すぴー」


『・・・』


「すぴー」


『《ジャリオン》』


「!!!!」


ガバッ!


 起きたーーー!


「ひっ、どこ!?どこなの!?」


 なんかすげぇ怯えている。そんなに恐いのかジャリオンとやらが。


『ウソだよロシュ♪』


 ここで初めて死神は携帯の存在に気が付いた。


「あーーっ!その声は《四式》さんだー!」


 変な名前だ。死神業者の一人だろうか?


「うん、うん。えーっ!今年はこっちに来るの!?絶対に見に行くよ!四式さんは?・・・そっかぁ仕事かぁ。《式神十二式》も大変だねぇ」


 よくわからない話が始まったので、オレはそのまま部屋を出て朝食の支度をすべくキッチンへ向かったのだった。


――――――――


―――――


―――




トントントントン


 包丁を動かしていると、電話が終わったのだろう、死神が居間へやってきた。なにやらとてもご機嫌だ。


「ふんふんふーん♪ジャックがやってくるなんて、とっても素敵〜!」


 ジャック?


 いつものローブ姿に着替えた死神は踊りながらキッチンへやってくる。


「ふんふんふーん♪」


「こらこら、危ねぇよ」


 料理をする周囲でうろうろすんな。


「ぼーくは愉快な〜ジャック・オー・・・」


ドスン!


 いてっ!


 死神がオレの足に激突し、膝の裏にぶつかられたオレはバランスを崩した。


 おまけに死神はぶつかった拍子にコケたので、オレの足元は余計に身動きがとれなくなる。


 あー。


 これは倒れるね。


 包丁はすぐに手放したから安全だ。


・・・。


ゴチーーーーン!!


・・・。


 痛ってぇぇ!


「痛ったぁぁぁい!」


 死神の頭とオレの頭が見事に激突し、しばらくキッチンの床で二人で頭を抱えて転がり回っていた。


「あ、危ねぇって言っただろうがぁぁぁ!」


・・・。


 ん?


 あれ?


「あー、あー、あいうえおー」


 あれ?


 オレの声じゃない。


 頭を撫でながら立ち上がってみるが、ここでまた異変に気が付いた。


 なんつーか、その・・・。


 目線がさ。


 目線の高さがさ・・・。


 低いんだよ。


 そいでもってさ、


 オ、オレが、オレの身体が・・・。


 目の前で倒れてるんだよね。


 あれ。じゃあオレは?


・・・。


 し、死神になってるーーーー!?


「う、う〜ん・・・」


 目の前のオレの身体が起き上がる。


「・・・?」


 おー。状況を把握しようとしている。


「あれ?」


 という自分の声が違うことにまた驚いている。


「・・・あ」


 そしてオレと目が合った。


「にゃんで私が目の前に居るのよぉぉぉぉぉ!」


 オレの身体でリアクションをとり、オレの声で叫んでいるので複雑な気分だ。


 そう。


 オレと死神は、入れ替わっていた。


・・・マジかよ。


――――――――


―――――


―――


 居間に向かい合って座るオレになった死神と死神になったオレ。


「わ、私が準くんになっちゃって・・・」


「オレがお前になったわけだな」


 目の前の死神はオレの身体を動かしながら言う。


「うひゃっ、凄い力。こりゃ強いはずだよね」


 逆にオレは小さくなった身体で少々動きづらい。


「うーん、私が準くんになったってことは・・・。ついに私にツッコミの役割が!?」


 問題はそこじゃねぇ!


「私、準くんの身体で一回やってみたかったことがあるの〜!」


 ?


「ふっ、《綺麗だぜ死神》」


 ぶっ飛ばすぞ。


 あー、この黒ローブ意外と重いー。


「《グラマラスだな死神》」


 やめれ。オレの身体で遊ぶんじゃねぇ。


「ねぇねぇ準くん」


「なんだよ」


 いつものように言っても声色が死神なので本当に変な感じである。


 それでも何だか不思議な感覚がある。

 これは魔力ってやつだ。説明がしにくいのだが、うまく力を入れたら何か出せる感覚があるのだ。


「良い機会だから私にツッコミやらせてよ!」


「今はそれどころじゃねぇだろ!!」


 しかも別にオレはツッコミたくてやってるわけじゃねぇ。


「いいからいいから」


・・・。


・・・。


「早くボケてよ準くん!」


 ムチャ言うな!


―――――


死神(中身準):

【え、えっと】


(私っぽい口調でやってよねっ)


(もはや拷問・・・)


死(準):

【さ、さぁ準くん。プリン百個買いにいこうぜ〜・・・】


準(中身死神):

【うん、いいぞ】


(ツッコめよ!)


(アハハハハ!さぁもういっちょ行こう)


(はいはい)


死(準):【あっ、見て見て準くん、木の上に《パンダ》が居るよ・・・】


準(死):【《番田》さんだろ!】


(それも違ぇだろ!)


―――――


 駄目だ。こいつに意識したツッコミは無理だ。



「できてねぇじゃん」


「えー!」


 とにかくこの状況をなんとかしないとな。

 さもないと・・・


『こんにちわです準くん〜!』


 手遅れでした。


 ワープゲートからナイトメアがやってきた。地獄に用があった帰りなのだろう。


「いらっしゃいメアちゃん」


 オレがそう言うとナイトメアはギョッとした顔になった。


「な、なに言ってんのロシュ?」


 あ、そうだ。オレは今死神なんだった。


 隣では死神がオレの顔で邪悪な笑いを浮かべていた。なにか思いついたらしい。

 つーかオレにあんな表情ができたのか・・・。


 死神はなにくわぬ顔でメアちゃんに向かってオレの声で


「いらっしゃいメアちゃん」


 と言った。


「今日は地獄へお手伝いに呼ばれてたんですー」


「メアちゃ・・・メアは何で地獄に呼ばれたの・・・?」


「何言ってんのよロシュ。あんたも呼ばれたでしょ?」


 そうだったのか。

 オレは横目で死神の方を睨んだ。

 奴は焦って目をそらしやがる。


「ま、まったくだなメアちゃん。駄目だぞ死神」


 テメーこのやろー。


「あ、そうだ準くん。今度暇ありますか?」


 うん?暇?


「ないね」


 おいコラ死神。


「そうですかぁ。準くんお暇ないんですか・・・」


 あぁ・・・。違うんだナイトメア、それはオレじゃないんだ。


「うん無い無い!ごめんねメアちゃん!死神の為に時間を作らないといけな・・・ぁ痛たたたたたたたた!!痛ーーーい!」


 耐えかねたオレは隣に座るオレの身体を全力でつねった。弱点は横腹だからな。

 そしてその様子に首を傾げるナイトメアに、事実を話したのだった。


――――――――


―――――


「コノヤローロシュ!入れ替わったなら入れ替わったって言いやがれーー!」


「ちょっとした遊び心じゃないのよ!」



 ナイトメアは驚く前に死神に飛び掛かっていた。

 端から見ればオレとナイトメアが取っ組み合いをしているわけだから変な光景だ。


 オレは死神っぽい口調をしなくてよくなったので普通にナイトメアに話し掛ける。


「ところでメアちゃん、何で地獄に呼ばれていたんだ?」


「うぅ、ロシュの身体でその口調は奇妙ですー。えっと、もうすぐ《ハロウィンパーティー》がありますから、その飾り付けに呼ばれていたんです」


「ハロウィンパーティー?」


 そうか、そんな時期だなぁ。


「ロシュだって呼ばれてたのにサボりやがったです!」


「アハハハハ、こんな状況だから仕方ないでしょー!」


「準くんの身体でふざけんじゃねぇ!」


「無限のパワーを手に入れた今の私に勝てると思うな!」


ボカスカボカスカ!


 頼むからオレの身体をボロボロにしないでくれよ。


「ハロウィンパーティーとは地獄らしい。閻魔さんも好きだなぁ」


「にぎぎぎ・・・!ハロウィンパーティーは全支部で行われるです!」


「むいいい・・・!こ、今年はアジア支部にハロウィンに唯一姿を見せるキャラクターが現れるらしいの!」


 ほー。それはレアなキャラクターだな。


「だから準くん!私達も参加するぜー!」


「お菓子いっぱい貰えますー!」


 はは、そりゃお前達にとっては大切なイベントだな。

 二人はケンカをやめてお菓子を貰う計画を立て始めた。


・・・。


「死神、お前さらっとオレ達が入れ替わっていること忘れはじめてないか?」


「あ」


 今回のサブタイトル無視するとはいい度胸してるなオイ。


「でもどうするの?」


「うーん、どうすっかなぁ」


 つーかこれはなかなか重大な事態なのに何でこんな余裕こいてんだ。


「簡単ですよ準くん!」


 と提案してきたのはナイトメア。


「こういう場合、全く同じシチュエーションを起こせば元に戻る筈ですよ!」


 おー。典型的な解決パターンだ。


――――――――


―――――


 ナイトメアが帰った後、オレと死神は朝と同じシチュエーションを作った。


「えっと、オレはあの時料理してたから、死神はキッチンに立っていろ」


「うん!じゃあ私は準くんが激突するのを待てば良いんだねっ」


 こうしてオレになった死神はキッチンに立って包丁を動かし始めた。


トントントントン


 さて、死神になったオレは朝のアイツの行動に沿って動く。


 ふらふらと居間をうろつき、


 そのままキッチンへ。


 そしてこのままオレの足へ向けて突撃し、


「頭をぶつければ・・・」


「元に戻るぜー!」


・・・。


・・・。


 頭を・・・ぶつければ・・・。


・・・。


「怖ぇぇぇぇぇ!」


「怖いよーーー!」

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