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死神といっしょ!  作者: 是音
73/116

第73話 チャンバラはdanger!

 さぁ今朝も朝飯の支度だ。甘い香りがイイ感じだな。


「準くん準くん!」


 相変わらず可愛らしく腰にぶら下がったグラマラス死神がオレを呼ぶ。


「なんだ?」


「今日の朝ご飯なぁに?」


 それは勿論、


「お前の大好きな《焼きヨーグルト》だよ」


「やったぜー!」


 そう。今オレはフライパンでヨーグルトを焼いている。

 死神の好物ならオレの好物でもあるからな。おっと、粉チーズを忘れるところだった。


「あっ!プリンは!?」


「心配するな。冷蔵庫いっぱいに買っておいた」


「やったぜー!」


 三食焼きヨーグルトとプリンは当たり前だぜ。


「死神、何か他に欲しい物とかあるか?」


「えっ!突然どうしたの準くん!?」


「何でも好きなもの買ってやるぞ」


「やったぜー!」


「他にも色々言い付けて良いからな。里原準はお前の為に全力を尽くそう」


「やったぜー!じゃあねぇ、まずは《殺伐》と〜・・・」


「あぁ、もう買ってあるぞ」


「えぇ!?やったぜー!」


 ふっ、里原準はお前の為になら全力で先読みをするさ。


「えっとえっと、じゃあ私ビジョーさんの素顔が見たい!」


「あぁ、昨日のうちに魔導社に乗り込んでジョーカーさんの着ぐるみを剥いだ写真は撮ってきたぞ」


「えぇぇぇ!?やったぜー!」


 ふっ、里原準はお前の為になら全力で暴力行為に走るさ。


「なにせお前はホレボレする程に可愛いからな」


「キャーーー!」


 あぁそうだとも。

 この里原準は、グラマラス死神の為になら持てる力を全て出し尽くしてでも奉仕する!!


――――――――


―――――


―――


『・・・という夢を見た死神でした♪』


 ベタな夢オチキター!!


 何だよ全力で先読みとか!奉仕とか!


「いやぁ、まさに夢のような夢だったよぉ・・・」


 うん、夢だけで留めとけ。


「ま、まさかこれが正夢に・・・!」


「ならねぇよ!」


 オレはヨーグルトを焼いてもいないし、ジョーカーさんの着ぐるみを剥いだりもしていない。

 プリンを、まぁ・・・その・・・買っておいたのは事実だが。


 まぁそれは良いとして、どうしようコレ。


 今オレの頭を悩ませているのは高坂先生に貰った大量の木刀。拒否できずに持って帰って来てしまったのだが、大喜びなのは死神だけである。


「短いのもあるよー!」


 奴はサンドバッグの中から色々取出しながら居間の床に並べている。

 オレはそれを困った顔で見ていた。


「こんなに沢山木刀があったらチャンバラしたいよねー!」


 やだよ。


「みんな呼ぼうぜぇー!」


 やだよ。


「電話電話〜♪」


 死神の前に拒否権は通用しない。


――――――――


―――30分後。


「うおーっ!凄い数の木刀だなぁ死神!」


「でしょー!貰ったんだよ〜♪」


 冬音さんと死神は居間に積み上げられた木刀の山を見て大興奮している。


「メア頑張れ〜!」

「ふふふっ、頑張ってメアちゃん♪」


 かたや別の方では何本の木刀を抱えられるかというわけのわからん競技をしているナイトメア、バンプ、彩花さんが居る。


 今日は有り余る木刀を使って時代劇をやるらしいです。

 なんでも死神が保健室で時代劇を見てハマったかららしいです。


「ほら準くんも木刀持って!」


「あ、はいはい」


・・・。


 いやいや、だから外でやれよ。オレの部屋でやるなよ。


――――――――


―――――


(ほら準くん、セリフ!)


(・・・マジで?)


(マジマジ〜!)


(・・・)


準:『へ、へへへへへ、お代官様のお陰でこちらの商売は大繁盛でござます』


彩花:『ウフフフ、結構結構♪』


準:『ささっ、これはつまらないものですがお菓子でございます』


彩花:『あらあら、これはまた随分と重いお菓子ですわね♪』


準:『中身はお菓子ではなくて《もっとイイモノ》でございますよ』


彩花:『越後屋ちゃん、そちもワルよのぉ♪』


準:『いえいえ、お代官様ほどでは・・・』


彩花:『オーッホホホホホ!』


準:『へ、へへへへへ・・・』


(彩花さん似合うなぁ)


ガラガラッ


死神:『そこまでよ!』


(始末屋登場だ)


彩花:『なにやつ!』


死神:『ふふふ、悪代官と越後屋め!まとめて成敗してくれるわ!』


(おー。なんか時代劇っぽいぞ)


彩花:『あらあら、クセモノめっ♪ みんな出合え、出合え〜♪』


ドドドドド


ガラガラッ


バンプ:『クセモノめっ!』


(おー。格好いいぞバンプ!)


バンプ:『クセモノめ、名を名乗れ!』


死神:『ふっ、人は私の事を・・・』


(・・・)


死神:『《ボンキュッボン侍》と呼ぶ!』


(うん、絶対に嘘だよね)


バンプ:『何!《ボンキュッボン侍》だと!?』


死神:『えぇ《ボンキュッボン侍》よ』


バンプ:『噂の《ボンキュッボン侍》か!』


死神:『えぇ。噂の《ボンキュッボン侍》よ』


バンプ:『狙った健康食品は決して逃さないあの《ボンキュッボ・・・》』


(ボンキュッボンボンキュッボンうるせぇ!)



バンプ:『うぅむ、相手が彼女ならこの《パシリ侍》では少々荷が重いか』


(名前で既に弱ぇ)


死神:『ふっ、貴様などこの名刀《マサ胸》でたたっ斬ってくれる!』


(字が違ぇ・・・)


バンプ:『なんの!僕の《下僕ブレード》が血を吸いたがっておるわ!!』


(弱そー!)


(まさか妖刀じゃねぇだろうな)


(でも血を吸いたがるとか、ちょっと上手いなバンプ)


死神:『てや♪』


ズバッ!


バンプ:『ぎゃぁぁぁ!』


(でもパシリ侍は弱かった・・・)


バンプ:『も、もっと出合え、出合えぇ・・・ぐふぅ』


【《パシリ侍》リタイア】


(バンプ、お前はよく頑張ったよ)


ドドドドド


ガラガラッ


メア:『只今!』


冬音:『参上!』


(おぉ。新たな敵だ)


メア:『我ら無敵の連携コンビ!』


冬音:『ひと呼んで・・・』


(・・・)


メ・冬:『《ピンポンダッシュ姉妹》!!』


(うぜぇーーー!!)


死神:『ま、まさか、あのピンポンダッシュ姉妹だというの!?』


メア:『その通――』

冬音:『その通り!!!』


(・・・)


メア:『私達が来たか――』

冬音:『私達が来たからにはお前にはここで死んでもらう!!!』


(・・・)


メア:『さ――』

冬音:『さぁ覚悟しろ!!!』


メア:『お――』

冬音:『お前の首は頂く!!』


メア:『ちょっと姉さ――』

冬音:『ワハハハハハ!!』


(うわぁ全然息が合ってねぇ・・・)


メア:『ぐすっ・・・』


(ほら見ろ妹泣いちまったぞ)


冬音:『あわわっ、すまんメア!』


死神:『スキあり♪』


ズバッ!


メ・冬:『キャァァァ!!』


【《ピンポンダッシュ姉妹》リタイア】


(確かにスキだらけだったが)


(ご、極悪非道だ《ボンキュッボン侍》・・・)



死神:『さぁ残りは越後屋、貴様だけだ!』


(・・・)


(?)


(あれ、お代官様は?)


【悪代官は《パシリ侍》登場時に逃走】


(なにぃぃぃぃぃ!)




死神:『てや♪』


ズバッ!


準:『ぐはぁ!』


【《越後屋》リタイア】


(オレもよく頑張ったよ。うん、自分を褒めてあげたいね)


死神:『正義は勝つのでごさるー!』


(・・・しかし悪代官の彩花さんがあっさり逃げるだけで終わるのか?)


死神:『勝利!勝利でごさるよ! アッハハハハハハ・・・』


【《悪代官》が屋敷を爆破】


バガァァァァァァン!!


死神:『みぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!』


【《ボンキュッボン侍》爆死リタイア】


彩花:『現実が勝つのでござる〜♪』


(これだ!これでこそ彩花さんだよ!)


――――――――


―――――


―――


 かくして時代劇は悪代官の大勝利によって幕を閉じたのだった。

 何故かオレは拳をぐっと握り締めて倒れていたが。


「ぬー!ボンキュッボン侍が勝ち残ったと思ったのにー!」


「ふふふっ、ごめんね死神ちゃん♪」


 木刀をぶんぶん振り回して悔しがる死神と、おっとり笑顔で木刀を撫でる彩花さん。

 まぁ、《マサ胸》なんかに斬られたオレとしてはこっちの方がショックだったりするわけで、同じようにバンプ、メアちゃん、冬音さんもヘコんでいた。


「うーっ!悔しいー!」


「絶対冬音さんの所為ですー!」


「何だとぉ!? それはマジですまん!」


 あっさり謝ったよこの人。


「だが全然戦わなかった準が悪いんだぞっ!」


 責任転嫁!?


「そうだそうだ!準くんも戦わなきゃ!」


「そうですよー!」


 厄介な展開!

 怒りの矛先がこっちに向いている。


 ニヤリと笑っている冬音さんは間違いなく確信犯だよね。

 死神が彩花さんに絡んでいるのを横目に確認したオレは咳払いをして、


「何を言ってんだ、オレはちゃんと戦っていたぞ。見えない程の高速戦闘だっただけだ!」


 嘘を吐いてみた。


「えーっ!すごいよ準くん!」


「すごいです!尊敬しますー!」


「準スゲー!冬音姉さんは感服しちまったよ!」


 みんな見事に引っ掛かってくれた。


 死神が行儀悪く居間のテーブルの上に立って木刀を振り上げた。(のだが、すぐにオレが持ち上げて床に下ろした)


「今からうさを晴らす為に地獄へ殴り込むぜぇぇぇぇ!」


 命知らずキター!


『殴り込むぜぇぇぇ!!』×4人


 悪ノリキター!!


――――――――


 この日の出来事により、後に地獄が出版している雑誌トリック・オア・トリートや、《殺伐》に


『木刀集団、地獄アジア支部に殴り込み!!』


 という記事が書かれる事になる。


 ちなみにこの騒動はオレの《エリート餓鬼に訓練用の木刀を提供する為のイベント》という言い訳を閻魔さんが簡単に信じた事で納まった。


 オレはオレで大量の木刀をなんとか処理することに成功して良かったのだが、


 死神、冬音さん、ナイトメア、彩花さん、ヴァンパイアを正座させて、アジア三強とオレがこっぴどく説教したのは言うまでもないよね。


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