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死神といっしょ!  作者: 是音
67/116

第67話 死神とヒーローごっこ

 朝。

 我が家のテレビの前では五人が居座り、じーっと画面を見つめている。


 死神、ナイトメア、バンプ、冬音さん、彩花さんである。


 見ている番組は・・・なんとヒーロー戦隊ものの子供番組。


 最初は死神が一人で見ていたのだが、気がつけばいつの間にかナイトメアと冬音さんがいて、更に気づいたらバンプと彩花さんまでテレビの前に座っていた。


 死神業者三人が見入っているのはこの際良いとしても、冬音さんと彩花さんが子供番組に夢中になるのはどうなんだ?


「良いぞレッドー!私なら五分で撃破できるけどな!」


 ホントに見入ってる。


 オレはふと、どっかのドクロー仮面を思い出してしまった。


 ん、どうやら番組が終わったようだ。


「うわぁ〜ん!」


 !?


 死神が泣きだした。つーか死神業者三人が泣きだした。


「ぐすっ、終わっちゃったー」


「うぇぇん、終わっちゃったですー!」


 どうやら最終回だったらしい。


「泣くなお前達!」


 冬音さんが叫ぶ。そしてナイトメアの肩に手を乗せた。


「ヒーローは・・・《みんなの心の中に居るんだぜ》」


 恥ずかしい!恥ずかしいセリフだよ冬音さん!


「はっ!」

「はっ!」

「はっ!」


 感動してんじゃねぇよお前等も。


 彩花さんはそれを見ながら一人でケラケラと笑っていた。ってオイ。


 ちなみにオレは皿を洗っていてテレビを見ていなかったのでどんなに感動的な最後だったかは知らない。

 そして死神が勢い良く立ち上がる。


「よっしゃ!イエローの弔いをしよう!」


 えっ!イエロー死んだの!?

 メンバー一人が犠牲になったというまさかの煮え切らないエンド!? ちびっ子達にとって相当なトラウマになるだろ!


「まさかイエローが・・・」


「うん」


『敵の親玉だったなんて』


 まさかの急展開!


 脚本家スゲー腹黒いなオイ。ちびっ子達が友達や親に疑念を抱くように育っちまったらどうするのか?


「ラスボスのくせにレッドの一撃による《蜘蛛膜下出血》が原因で死んだイエローの為に・・・」


「イエローの為に・・・」


 ラスボス弱っ!


「ヒーロー戦隊ごっこしよーぜー!」

『おー!』


 というわけでオレを合わせた六人でヒーローごっこをすることになった。

 大抵戦隊もののヒーローは五人なので、当然オレが怪人役だがな。


・・・。


 外でやれよ。


――――――――

――――――――


(ほら準くんセリフセリフ!)


(・・・)


準:『わ、わははははは!脆弱な人間共め、俺様が排除してくれるわ〜』


死神:『そこまでよ!下手料理怪人マズ・クエネーめ!』


(ぶっ飛ばすぞ)


死:『愛と正義よりも歯磨きを大切にする不屈のヒーロー・・・』


(駄目じゃん)


バンプ:『《グ》!』


メア:『《ラ》!』


死神:『《マ》!』


冬音:『《ラ》!』


彩花:『《ス》!』


(・・・)


五人:『レンジャー!!』


(うわぁだせぇーー!)


バンプ:『そして僕が・・・《グラマラスレッド》!』


メア:『《グラマラスブルー》!』


死神:『《グラマラスブルー》!』


メア:『テメー被ってんじゃないわよ!』


死神:『アハハハハ!《グラマラスブラック》!』


(・・・)


冬音:『《グラマラス肌色》!』


(気味悪っ!)


彩花:『《グラマラス彩花》♪』


(変身すらしてねぇじゃねぇか!)


五人:『五人合わせて、《グラマラスレンジャー》!!』


(二回も名乗るな!)


(すげぇ。すげぇヒーローだ。レッド、ブルー、ブラック、肌色、生身・・・)


(ギルさん・・・すげぇヒーローがいるよ)


メア:『か、覚悟するです!ホントは美味しい下手料理怪人さん!』


(怪人に優しいブルーだ・・・)


冬音:『よし、自爆だレッド!』


バンプ:『えーーー!』


(肌色が無茶を言った!)


死神:『任せて肌色!』


彩花:『任せて肌色♪』


死、彩:『とぉりゃぁぁぁぁ!!』


バンプ:『うわぁぁぁぁぁ!』


(仲間を投げたーー!)


(・・・)


バンプ:『うっ、ぐすっ・・・』


準:『・・・』


【怪人はレッドに優しい手を差し出した】


バンプ:『はっ・・・!』


(・・・)


【レッドは仲間を裏切り怪人と徒党を組んだ】


冬 死 メ 彩:『なにぃぃぃぃぃぃぃぃ!?』


【レッドはリーダーの権限を悪用して巨大ロボットを呼び出した】


冬 死 メ 彩:『なにぃぃぃぃぃぃぃぃ!?』


【他の四人は巨大ロボットの整備・管理を全てレッドに押しつけていたので、管理ロックのパスワードを知らなかった】


冬 死 メ 彩:『なにぃぃぃぃぃぃぃぃ!?』


【レッド、ロボで反撃】


冬 死 メ 彩:『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』


(怪人ほったらかしで凄い事になってきた)


【レッドは仲間四人を撃破した】


(オイ)


【レッドと怪人は共に平和な社会を築き上げましたとさ】


――――――――

――――――――




・・・。


 スゲー、バンプの一人勝ちだ。


「何でバンプだけが正義の味方なのよーー!」

「ずるいですーー!」


 死神とナイトメアがプンプン怒っている。更には


「バンプテメー!さすがに私でも正義の巨大ロボットには手を出せないだろぉ!」

「こらバンプ、おいたしちゃダメよ♪」


 冬音さんと彩花さんまでもが大人気なくプンプン怒っていた。


「みんなが裏切るからだーーー!」


 おぉ、バンプが四人に反論してる。

・・・オレの背中に隠れながらだがな。

 仕方なくフォローしてみた。


「ほら、ヒーローは仲良くしないと。昼飯食いましょう」

 言った途端に五人がテーブルに座った。


 速ぇ・・・。


 死神と冬音さんと彩花さんはテーブルをバンバン叩き、


「アハハハ!暴飲暴食♪」

「ワハハハ!暴飲暴食♪」

「ウフフフ!暴飲暴食♪」


 背筋の寒くなるような掛け声を出していた。


――――――――


 宣言どおり五人は暴飲暴食を実行しやがり、腹が膨れたから帰っていった。


・・・。


 テレビ見て、遊んで、飯食っただけじゃん。




 しかも昼飯を全然昼にもなっていない頃に食べるというわけのわからん状況だった。

 だってまだニュースで天気予報がやってる時間だぜ? 朝飯とも昼飯とも言えねぇ。


 居間に座ったオレと死神はまったりとニュースを眺めていた。


 案の定天気予報に切り替わり、天気予想図の前にお天気お姉さんが立った。


――――――――

――――――――


『えーそれでは今日のお天気です』


(この天気予報を見て布団を干すか決めよっと)


『・・・』


『今日は・・・』


(?)


『あーっもう!今日は晴れます!』


(確信!?)


『絶対晴れる! 晴れるから! ねっ、ねっ!』


〈ちょっ、田島さん!?〉


『うるせー!大体なによ《降水確率50%》って!? 雨が降っても降らなくても《予想的中》ってか?バーカ!』


(お姉さんキレたー!)


〈た、田島さん、ちょっと落ち着きましょう!〉


『ハン、毎回毎回曖昧な事を言わされるこっちの身にもなれってんだ!そりゃあボタンもずれるわよ!』


(?)


『今日は晴れる!晴れるから! みんな傘なんか捨てろー! ついでに社会・一般的概念、お気に入りのフリカケも捨てろー!』


〈ちょっと、早く映像切り替えて!〉


『そうすれば日本はきっと凄い速さで滅びちゃいまぁす♪ウッフフフ・・・』


〈何してんの!早く映像こっちに回して!〉


『すみませんねぇ全国の皆さん! 天気予報士は《曖昧》の代名詞でぇぇぇぇす! ウフッ、ウッフフフフフ・・・〈ザーーー〉』


――――――――

――――――――


・・・。


 ついに暑さで頭がやられたかお天気お姉さん・・・。天気予報士も大変だな。


 隣に視線を向けると


「アハハハハハハハ! ひーっ、お腹痛いよーっ!」


 死神が腹を抱えて大爆笑し、床を転がり回っていた。


「〜〜っ! ぷふっ!《お気に入りのフリカケ》って何!? 何なのそのこだわり!? アッハハハハハハ!」


 笑い過ぎだ。


 オレはお天気お姉さんを信じて布団を干すことにした。


 ベランダの窓を開く。


ガラッ


・・・。


・・・。


 めっちゃ雨が降っていた。


「にゃぁぁぁあああ! す、すす、捨て身の予報がハズレてるーー! ギャーハハハハハ!」


 死神は今日一日、外を見るたびにずっと爆笑し続けた。


 タチ悪ぃ・・・。

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