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死神といっしょ!  作者: 是音
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第48話 死神と学校(美香と三笠な一日)

「おはよう死神ちゃん、里原くん」


「シーッ!由良ちゃん静かに!おはよう」


「? 何してるんです二人共?」



朝。オレと死神は学校に来るなり、教室に入ることなくドアの隙間から中を覗いていた。


理由は美香と三笠である。毎朝オレ達が登校して教室に入ると、決まってスキンヘッドを真っ赤にした三笠と、美香がいる。ちなみに三笠の頭は定期的に死神が剃っているので常にスキンヘッドだ。

さらに最近は眉毛も剃られ、死神のコーディネートで眼鏡をサングラスに変えられたことで三笠はかなりアッチ系の人と間違われるようになってしまった。


当然サングラスは校則違反なので今まで数多くの教師が注意しようとしたが、《コーディネーター死神》の怒りに触れた連中はことごとく社会的、精神的にボコボコにされたのだった。


で、毎朝真っ赤になるスキンヘッドのもはやわかりきったことだが・・・を解明すべく、今朝は少し早めに学校へ来て朝の二人のやりとりを見ようと死神が言い出したわけだ。


んで、今は隣のクラスの渡瀬も加わってドアの隙間から中を覗いている。クラスメイト達の視線が気になるがな・・・。


当の美香と三笠は二人で話している。


「ねぇねぇ三笠君!」


スパァンスパァン


早速か!


「なんでしょう美香さん?」


三笠も何かリアクションしろよ!


「最近近くにできたアイスクリーム屋さん知ってる?私ストロベリーが好きなんだよねぇ」


「あ、知ってますよ。僕もアイスクリームは好きですし、何よりあそこは品揃えが・・・」


『知ったふうな口を聞くな』


スパァァァァン!!


り、理不尽・・・!


既に三笠の頭は赤くなっている。

隣では死神と渡瀬が肩を震わせて笑いを堪えていた。


「あれ?三笠くん、糸くずが頭についてるよ」


スパン


普通に取ってやれよ。


「あ、どうもありがとうございま・・・」


スパァン


「あれ、まだついてまし・・・」


スパァン!ピシッ!パァン!


やりすぎだー!


「糸くずなんてうっそーん」


無駄に叩かれれば三笠だって怒るぞコラ!


「嘘はいけませんよ!まったく!」


怒るトコちげーよ。


「あれ〜?そういえば死神ちゃん達遅いねぇ」


「まぁ、彼らが遅いのはいつものことですから」


『知ったふうな口を聞くな』


スパァァァァン!!


三笠ぁぁぁぁ!


「・・・《脳天トリッパー三笠》です」


もう全然わけわかんねぇよコイツら。


このままだとマジで三笠が脳天トリッパーになりそうだ。


「じゃあ今度行きたいから付き合ってよね!」


「え、お友達と行けば・・・」


「いいでしょ別に!」


「・・・お供しましょう」


・・・ん〜、まぁこいつらはこいつらでこれが普通のことなのか。上手くいってるみたいだしな。


ふと隣を見ると


「ーーーーっ!ぷふっ!ゥアッハハハハハ!!!」


三笠の頭に付いた幾多の赤い手形を見て耐え切れなくなった死神が爆笑していた。

渡瀬は・・・


「ふふっ!あ、頭に・・・て、手形が・・・っ!」


こっちも相当ヤバいらしい。渡瀬は走って隣の教室へ入ってしまった。




「あれ?死神ちゃん来てたの!?」


美香に見つかってしまった。


「アハハハハ!あー笑った。おはよう美香ちゃん!」


死神が教室の中へ入る。オレは紅ヘッドの三笠と軽い挨拶を交わすと席に着いた。


朝は大抵、隣で死神と美香が今日のイタズラについて話し合うのが日課となっている。


「美香ちゃん、今日は何しよっか?」


「そうねぇ・・・。ん、そうだ!・・・あ〜アレはさすがに死ぬわね」


イタズラの範疇を越えないようにしてくれよ。


「仕方ない、今日はチョークに毒針を仕込む程度にしましょ」


馬鹿言ってんじゃねぇ!


あげくマムシの毒とか言い出しやがったので、せめて睡眠薬程度にしておくように抑えた。


・・・なんと無力かなオレ。


結局一現目の物理教師は授業開始三十分で爆睡してしまったのだった。




―――昼休み


弁当はいつも屋上で食べることになっているので、オレと死神、美香、三笠、そして最近は渡瀬も交えた五人で屋上へ向かう。


すれ違う後輩達が、まずオレを見て頭を軽く下げ、次に三笠を見てぎょっとした直後、深々とお辞儀するのも日課となっていた。


ウチの学校の本校舎は以前説明した通り、無駄にでかい庭園風の中庭を囲むような四角形を成しており、屋上も同じように繋がっている。

中庭の真ん中にはでっかい木が植えられていて、屋上より高い位置まで伸びているからビックリだ。

死神も初めて屋上から中庭を覗いた時、『ほわぁ〜』って見とれていた。


そんなわけで屋上も中庭を囲むようにぐるりと一周していてこれもまた広い。見渡すとバレーをしている女子や、ラジカセの前でレゲエダンスの練習をする人達、さらにはスケボーを持ち出して技を見せ合う連中までいる。


オレ達はそんな賑やかな場所に等感覚で設置されているテーブルに腰掛けた。


さて、飯だ〜。

オレは弁当の蓋を開けた。


・・・。


・・・。


からっぽだぜ。


「・・・死神」


「なぁに?」


「食ったか?」


「ううん」


あれ?


「《完食》した」


「てめぇぇぇぇぇぇ!」


死神のほっぺを引っ張る。


「むぃぃぃぃぃぃ!ごめんなさぁい!」



仕方なく一人購買へ向かうことにした。昼休みなだけあって校舎内は賑やかだ。


「おっす里原」


「よっ」


すれ違う知り合い達に挨拶しながら学生食堂へ着いた。中へ入り、さっさと購買でパンを買って出ようとする。


「最近変質者が出るらしいよ〜」


食堂で食事をする女生徒の言葉に足を止める。


「え〜、なにそれー」


「よくわかんないんだけど、友達が夜中に街の玩具店の前で中をじっと覗いてる人を見たんだってさ」


「ふーん」


変質者ねぇ。


・・・!


何で変質者に親近感を感じたんだオレは!

早く飯食べに行こっと。


――――


屋上へ戻ると死神と美香と渡瀬はバレーをして遊んでいた。

それを見ている三笠の隣に座り、三人を眺めながら昼飯を食べる。


つーか死神は見えないんだから常人からはボールが物理法則を完全無視した動きをしてるように見えちまうぞ。


「いやぁ、本当に元気いっぱいですね彼女等は」


「まったくだ」




「そういえば里原くん知ってますか?変質者の噂」


お前が言うなよグラサンスキンヘッド。


「まぁ、聞いたことはある。つーかさっき聞いた」


「変質者、つまり異常者とは変な言い方だとは思いませんか?我々一般の社会からズレているからそれは異常者だという。社会的観念は人それぞれ違いますが今の社会は最も多い観念によって基準が定められています。それを常識だと決め付けている」


なんか変な話が始まった・・・。


「こんなことは本当はありえませんが、ならばもし古来から社会的に常識から逸脱した思考の持ち主ばかりだった場合、我々の常識はその社会では異常とみなされてしまうわけで・・・」


「三笠くんアターック!」


「ふごぉ!」


死神が三笠にバレーボールをぶつけた。

ナイスだ死神!


「準くんと三笠くんもバレーしようよっ!」



見ると美香と渡瀬は白熱したアタックとレシーブのやりあいをしていた。


「くらいなさい由良ちゃん!《波動アタック》!」


『オホホホホホ!甘い、甘いわよ美香さん!』


渡瀬は声優モードに突入だ。


「早く早く!三笠くんも!」


死神に腕を引っ張られる三笠。


「じゃあ行きましょうか里原くん」


「仕方ねぇなぁ。あいよ」


ま、昼休みはいつもこんな感じですな。


「三笠くん、今度サングラスから色眼鏡にしてみよっか〜?」


「それはファンキーなコーディネートですね死神さん」


おい。

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