第41話 (大感謝企画)死神と準と招待状
読者の皆様、いつも〈死神といっしょ!〉を御愛読頂き、有難うございます。作者の是音でございます。 この度、なんと第40話更新時点で《総アクセス数一万人》を既に突破していたことに気付き、友人達の目の前で悲鳴をあげてしまいました。それもこれも皆様の応援のおかげでございます! そこで感謝・記念の意を込めての今回の企画でございます。今企画オリジナルキャラなんかも登場予定ですので、劇場版?のような気分で読んで頂けたら良いかもしれません(笑) 長々と失礼致しました。それではどうぞ!
今朝のメニューはパストラミサンドだ。食欲旺盛な居候の為に結構多めに作らなければいけない。
バタンッ
「取ってきたよぉ」
「ありがとなー」
毎朝フロントの郵便受けから新聞を持ってくるのは死神の役割である。こいつの唯一のお手伝いでもある・・・。
「一緒にこんなのも入ってたよ?」
?
手をタオルで拭きながらキッチンから出たオレは死神から一通の封筒を受け取る。
オレ宛ではあるが誰が送ってきたかはわからない。しかも封筒には
《招待状》
と書いてある。
・・・なにやら悪寒がするぞ。
「なになに手紙?不幸の?」
もし来てたらそれは貴様宛だ。
「ありゃ?これ地獄からだよ」
地獄から?ある意味不幸の手紙よりも怖くないか?
とりあえず開いてみる。
――――――
里原準様
及び
ロシュケンプライメーダ・ヘルツェモナイーグルスペカタマラス七世様
この度我が地獄旅館アジア支部では毎年恒例の行事
死神業者演習もとい
死神業最強決定戦
《KING OF HELL》
を開催いたします。つきましては相応の戦闘力を保有していらっしゃる里原様にもご参加頂きたく御通達いたしました。
演習戦はペア出場ですので死神様と組んで頂くのが良いかと。開催は本日正午より、地獄旅館全館を用いて行います。是非ご参加下さい。
企画課 餓鬼
――――――
一緒にルール説明の紙も同封されていた。
何?演習?わけわかんねぇぞ。
「あっ、もうそんな時期かぁ!」
「なんだよ、このけったいな行事は?」
「んとねぇ〜・・・」
聞くところによると、これは毎年恒例で行われる一大イベントなのだという。
アジア支部に所属する死神業者があの凄まじく広い旅館に集まり、誰が一番先に最上階の部屋《百鬼夜行》に到着するか競い合うんだとさ。んで優勝したペアが一年間だけ凄い肩書きを与えられるらしい。
その日だけは旅館全体の営業を停止し(いいのかよ)、客や仲居達は安全を確保された部屋で観戦するらしい。
なんでこんなイベントが企画されたのかと聞いてみると、
「ホントは死神業者の戦闘演習みたいなカタい訓練行事だったんだけど、閻魔さんはつまんない事が嫌いだから観客集めて一大イベントにしちゃったの!」
だそうだ。自由気ままな閻魔さんらしい。あの人が学校の校長なんかやったら一年中イベントだらけなんだろうな。
だが閻魔さんには悪いが、ハッキリ言ってめんど・・・。
・・・。
うーん、これがオレのダメな所か。
「よし、参加すっか」
「え!?珍しく乗り気だね準くん!」
「まぁな」
何でも楽しんでみなくちゃ。だろ?
―――――――
―――――――
すげぇ。
地獄旅館の前では花火が上がり、凄まじい音量の音楽が鳴り響いている。
地獄がHIPHOPなんか流していいのか!?
それよりもこの観客の量だ。
アジア支部所属の魂や仲居は旅館内の各部屋で既に待機し、開幕を待ちわびている。
だからこの巨大な門の前に密集する数万の魂は全て他の支部から観戦に来た魂達なのである。
さすがにこいつらまで中に入れることはできないので開幕時は門を閉ざし、巨大モニターで生中継するんだとさ。
んでもってオレはそんな大規模イベントに出場するんだとさ。
オレと死神は着いたばかりで、いきなりこの人混みに呑まれちまったわけで、結構パニくってます。
隣でわくわくしながら周りを見渡す死神。
すると、人混みを掻き分けてオレ達に近づいてくる集団があった。
上等なスーツに身を包み、清潔そうな真っ白な手袋をはめ、顔を包帯で巻いた長身の男達。エリート餓鬼の集団である。
そいつらはオレ達の前で立ち止まると一斉に頭を下げた。
某国の総書記もビックリな揃い具合だ。
先頭の一人が頭を上げる。
『里原様、それにロシュ様でございますね?』
「そうだよーっ!」
と死神。
『お待ちしておりました。出迎えが遅れましたことを深くお詫び申し上げます』
オレは構わないというジェスチャーをした。
それから、オレ達はエリート餓鬼達(こいつら多分強い)に囲まれ、超VIP扱いで地獄旅館の中に入ってワープゲートを使い、中規模都市一つ分くらいの広さはある地獄旅館の一階、東に位置する客間に入れられた。
他には誰もいない。
「ここは?」
『貴殿方のスタート地点でございます。他の参加者の方々も個々にスタンバイしておられます』
ナルホドね。
『開幕時まで備え付けのモニターを御覧になりながらお待ち下さい。それと今大会、ワープゲートの使用は禁止されておりますのであしからず。では』
そう言うとエリート餓鬼達は襖{ふすま}を閉めて出ていった。包帯で表情はわからないが、なんとなく全員笑顔だったような・・・。
フライングしようなどとは考えなかった。何故ならここへ来るまで至る所に監視を兼ねた中継用カメラが浮いていたからだ。死神はそれに向かって笑顔で手を振っていた。
「うひゃー、わくわくするね準くん!」
「こんなに盛り上がるものなのか」
この部屋に着くまで、観客用部屋の至る所から歓声を浴びた。
今も出場者であるオレ達がこの部屋の中にいるのを知っているためか、周囲の観客部屋から
〈オレ達の隣からスタートするなら絶対優勝しろよーーー!!〉
〈負けたら噛み付くからな!頑張れー!!〉
など叫び声が聞こえてくる。
ありがたいが、うるさいのでほっとく。
「準くん、モニター見て!」
死神に言われて、和室には全然似合わない大きさの液晶画面に目を向ける。
―――――
『YEAH!! OK everyone!! 今年もやってきたよ地獄アジア支部の一大イベント《KING OF HELL》!!』
なんだこのカラフルな包帯を全身に巻いた奴は?
『オゥ!自己紹介が遅れたね!オレは実況担当のDJ!《GAKI・P》だ!よろしくシュガーレス!フゥーー!!』
テンション高ぇ・・・。
観客はすげぇ盛り上がってる。
「イエーーー!いいぞぉ《カキぴー》!!」
死神、名前が違うぞ。
カラフルDJの名前が《カキぴー》で決定してしまった。
『さぁ毎回激戦を繰り広げる《閻魔・夜叉》ペアと《白狐・カブキ》ペアは当然今大会でも優勝候補だぁー!!』
モニターに四人の写真が交互に映る。
そうか、そうだった。この人達も出るに決まってんじゃん。
勝てるわけねぇ!
その他まだ見たことのない死神業者の写真が映っていく。アジア支部所属の連中だからか、見たことのある妖怪みたいな奴も多い。
「全員抹殺してやるわぁ!ね、準くん!」
ポジティブな奴だ。
とりあえず頷いておく。
『ただ〜し!敵は死神業者だけではない!!《百鬼夜行》の間を守るために旅館内には地獄が誇る働き者《エリート餓鬼》達が敵として歩き回っているから気を付けろーー!!』
あいつら敵かよ!さっきの笑顔の意味がなんとなくわかった。
それにだんだんと大会の苛酷さも理解できてきた。
餓鬼に加えて相手は死神業者だろ?まず常人じゃ勝てないよな。
「期待してるよ主力の準くん!」
ハードル上げんな。
『さぁさぁ!間もなく開幕時刻の正午だ!!地獄門の前は既に最大級の盛り上がりだぜぇー!!』
映像が地獄門前に切り替わる。
もうなんつーか、ここまで来るとフーリガンの暴動だなってくらいの騒ぎ様だ。
旅館内も凄い。周囲の観客の足踏みで軽く地震が起こっている。
・・・簡単に負けでもしたら囲まれてボコボコにされるな。
とりあえず屈伸運動その他準備運動をしておく。ようはケンカだろ?相手はヤバいが。
おまけにカキぴーがまた余計なことを言いやがる。
『今回は前大会とは違った顔触れも揃っているから注目だ!もしかしたら驚異の実力を見せてくれるかもな!ヨロシク頼むぜシュガーレス!!』
アイツ大会が終わったらぶっ殺す。
・・・。
シュガーレスってなんだ?
「やってやろうぜシュガーレス!!」
お前も乗るなよ!
「ねっ?ねっ?準くん!」
「おぅ」
「ねっ?ねっ?準くん!」
・・・。
「任せろシュガーレス・・・」
「イエーイ!!」
乗っちまった!
それだけオレのテンションも上がり気味ってことだ。
よし、もう正直に言おう。
・・・。
結構ワクワクだコノヤロー。
―――――
―――――
『さぁ正午まであとわずか!みんなでカウントダウンだぁぁぁぁ!!』
その瞬間、歓声と共にこの日一番の揺れが起こる。部屋の中まで響き渡り、オレと死神は大声を出さなければ会話ができない程だ。
「おい死神」
「なぁに?」
「オレは負けるのが大嫌いだ」
「私もだよ!」
「・・・勝つぞ」
死神は一瞬驚いたような顔を見せたが
「あぃ、了解!!」
パチンと互いの両手を叩き合った。
悪いな閻魔さん達
今回ばかりはオレも本気だ。