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死神といっしょ!  作者: 是音
33/116

第33話 寝過ぎに注意?

ピピピ・ピピピ・ピピピ



朝だ。起きて朝飯作んないと。


・・・。


この束縛感は?


「う〜ん、ムニャムニャ、パチンコCR死神・・・ウフフ♪」


何でコイツいんの?


しかも抜けられない・・・!

アレだ。例の抱き枕だ。どうりでなんか寝苦しいと思った。つーか昨晩オレは一人で布団に入ったはずだぞ。


まぁ、今日は休日だからそんなに急がなくてもいいんだけど。

しかも今回の抱き枕レベルは半端ない。両手足でガッチリだ。自由がきくのは両腕だけ。


「捕まえたっ!」


痛い痛い。夢の中で一体何を捕まえたんだ?


「もう逃がさないんだからねっ、シベリアトラ♪ムニャムニャ・・・」


自然保護動物じゃねぇか!早く逃がせ!



いや、むしろお前が逃げろ!食われるぞ!


オレは掛け布団を剥がして死神を起こそうとした。


「死神、おい死神!」


「すー」


メキメキメキ!


ぎゃあぁぁぁ背骨が砕ける・・・!


「し、死ぬ。死神、おき、起きろ・・・!」


オレは背筋に力を入れて重圧に耐えていた。


も、もう限界・・・。


「・・・ふぁ?あっ!準くんおはよー!」


やっと起きたか。背筋がつりそうだったぞ。


「おはよ」


「あれぇ?準くん何でムスッとしてるの?朝から怒ってちゃ幸せが逃げていくぜ〜っ!」


死神が幸せとか言うな。


「お前何でまたオレの布団で寝てんだよ?」


死神はまだ眠いのか、剥がした掛け布団を掴んで引き寄せた。


「だって昨日の夜、雷すごく鳴ってたから恐くって・・・来ちゃった♪」


・・・死神が雷を恐がるな。


「来ちゃったってお前・・・」


まぁ前みたいにドンドン騒いで起こされるよりは全然マシだな。


「どうでもいいが、どいてくれ死神。そろそろ起きないと」


「準くん、今日は休みだよっ!」


「だから?」


「二度寝しよーぜぇ!」


おー、朝飯より寝る方を選んだか。こいつがそう言うなら朝飯はまぁいいか。


というわけで二度寝します。




五時間後



再び起きたオレは、身体が死神から解放されているのを見計らって抜け出した。死神はまだ眠っている。

どんだけ寝れば気が済むんだよ・・・。ま、いいや。オレは昼食の準備をするべく部屋を出た。そう、時間はすでに昼になってしまっていた。


にもかかわらず死神は・・・


あと三時間寝続けた。



「ん〜、準くん今何時〜?」


死神が目を擦りながら居間にやってきた。


「14:30だ」


「えぇ〜!!」


こいつの今日の睡眠時間16時間です。


「何で起こしてくれないの〜!?」


いや、二度寝しようと言ったのはお前だ。


「うわ〜ん!切ないよ〜!」


あぁ、よく休日の昼間とか寝すぎちゃうと損した気分になるよな。


「もうっ!準くんご飯!」


ひどくお冠のご様子。


「起きたそばから怒ってちゃ幸せが逃げていくと言ったのはお前じゃなかったか?」


「撤回!」


安い言葉ですな。

怒った死神はよく食った。それはもうよく食った。オレの分までよく食った。ぐすん。


「もぐもぐ、準くん出掛けよう!」


急な提案キター!


多分なんか行動しないと気が済まないのだろう。

オレはこのままどこも連れていかなかった場合の死神の行動パターンを予測してみた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【15:00〜16:00】


・《どこか連れていけ》と、とにかくゴネる。


【16:30】


・飽きる


【16:30〜17:00】


・何らかの遊びをやり出す(これがまた迷惑)。


【18:00〜19:00】


・夕飯


【19:00〜22:00】


・まったりタイム(らしい)。


【22:00〜02:00】


・寝る。が、眠いはずもなくすぐに目が覚める。


【02:00〜】


・破壊神降臨。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



・・・。


ぞっ


連れていくしかない。疲れさせて夜起きないようにさせるしかない。


「よし、どこ行きたい?」


「え!連れていってくれるの!?」

「連れていかないとゴネるだろ?いいよ」


「やったぜー!どこ行こうかなぁ♪」


死神は笑顔で《殺伐》を開いた。


って待て待て。


「やっぱ《腐敗部屋》かな?」


なんだそのオカルトチックな場所は。


「腐敗部屋?」


「うん!ホストクラブだよ!」


ふざけんな。


何でオレがお前をホストクラブに連れて行かなきゃいけねぇんだよ。


「あ、やっぱ買い物がいい!ねぇ買い物行こうよ!!」


あぁ、また新しいローブ欲しいのか。


「よし、じゃあ行くか」


というワケで


連れてこられたのはショッピング街。ローブが欲しいだけかと思いきや、どうやら色々と買ってほしいものがあるみたいだ。

あ、オレも服買おうかな。ちょっとあったかくなってきたし。


「あっ!見て〜準くんが立ってる〜!」


おー、相変わらずいい髭だなカーネル・サ○ダース。ぶっ殺すぞ。



「じゃあ準くん、私ちょっと見てくるね〜っ」


そう言うと死神は飛んでいってしまった。オレはどうしようか?


『買ってよ買ってよ〜!』


おやおや、買い物では定番の声が聞こえてきた。


『ねぇ買ってよ〜!』


どうやら雑貨店から聞こえてくるようだ。


『買ってよバンプ〜!』


えーっ彩花だった!

つーか女子大生が少年困らせてんじゃねぇよ!


「あっ、里原くん!」


ヤベー見つかった。彩花さんに困り果てていたであろうヴァンパイアがオレを見てホッとした表情になる。・・・仕方ねぇなぁ。


「彩花さんどうしたんですか?」


「聞いてよ〜っ、バンプったら買ってくれないのよ!」


「何を?」


「《国》」


規模でかっ!ってかバカすぎ!

これじゃヴァンパイアも楽しめないだろ。


「あー、バンプ。買い物行こうか」


「いいの!?」


「おう。お前レザー系好きだろ?オレの知ってる服屋あるから見に行こうぜ」


「やったー!」


喜ぶ吸血鬼。まじまじと見たこと無かったが、本当に綺麗な顔してやがる。こんな少年をパシリにする彩花さんがわかんねぇ。


「ちょっと里原くん!国は?国〜!」


完全無視された彩花さんは邪悪な野望を胸にしまい込んでついてきた。


そもそも何で雑貨屋で国を探してたんだ?ま、いいか。


その後ロックテイストな服屋でヴァンパイアは興味深く服に見入っていたが、これがなんと彩花さんまでレザーが気に入ってしまい、二人仲良く服選びを始めたのでオレは死神を探しに行くことにした。

どこ行ったんだろ?金払うのオレだからなぁ。


あ、いたいた。何やら立ち止まって電柱に貼られたポスターを見つめている。


「死神、何見てるんだ?」

「あ、準くん。これ見てよ〜っ」


死神がポスターを指差す。オレは電柱に貼られたポスターを見てみた。


〈これで貴方も美しくシャープなボディを手に入れられる!さぁ今からはじめよう!〉


ああ、よくあるダイエット製品の宣伝だ。飲料や栄養食品系だろ?


〈簡単《腹話術》!〉


痩せるかバカヤロー。


「腹話術かぁ・・・」


興味持つな!


「ほら行くぞ死神」


「うんっ!」


死神はどうやら買うものを選んで来たらしい。

結局ローブ以外はわけのわからん物を買わされた。その中に《腹話術人形》が入っていたのに気付いたのは部屋に帰った後だった。

オレも服買えたし、まぁいいか。


・・・最近妥協が多くないかオレ?



しかし夕飯の後、オレは死神に腹話術人形を買い与えてしまったことを激しく後悔した。

死神は人形を割と気に入ってしまったからだ。


居間に座ってテレビを見ていたオレの前に死神が人形を持って立った。


「ねぇ準くん、この子の名前何にしよう?」


「そんなこと考えてたのか?」


「うん。だってバカみたいな名前しか思い浮かばないんだもん」


「バカみたいな名前?」


「うん。里原じゅ・・・」

「死にたいか?」


「ごめんなさい」


居間を飛び出した死神はしばらく経つと再び戻ってきた。


「ハーイ紹介しまぁす!私の相方

《消臭・ポット君》です〜!」


もっとマシな名前を付けろ。しかも〈消臭〉が名字みたいに言うな。


「ハーイじゃあポット君、準くんに挨拶してね〜っ!ちゃんとできるのかなぁ?」


『体操着お前だけやぞ』


いや意味わからん。


何でもないはずなのに軽く傷ついた。つーか何で関西弁?


「こらっポット君、ちゃんと挨拶しなさい!」


『こいつ《ペプシマン》とちゃうん?』


違ぇよ。体操着なんか着てねぇし。


「惜しいけど違うよ!」


かすってもねぇよ!


「何だよこの人形は?」


「ポット君は毒舌がウリなの!たまに関西弁が入るのが特徴だよっ」


たまにって・・・。


『そういうことだ。わかったか《食パ○マン》』


だから違ぇよ。なんでそんな微妙なポジションのキャラなんだよ。


「《食パン○ン》はいつ頃《キ○肉マン》と戦うの?」


そっち!?ジャンルそっちですか!?


『その前に《ペプシマン》やなぁ』


また出た!つーか何でペプシマンだけ名前一文字隠さねぇの?


「まぁ準くんは微妙なポジションのキャラってことだね!アハハハハ!」


『せやせや!例えるなら・・・って、見つからへん!例えるキャラが見つからへん位微妙なポジションや!ワハハハハ!!』


言いたい放題だこいつら。


ん?


・・・。


はっ!


「よく考えたら腹話術人形なんだから両方死神の声じゃねぇか!」


「バレた〜っ!」


『かまへんかまへん!』


かまへんじゃねぇよ!


そして結局、この日は夜遅くまで死神と消臭ポット君(名前ひでぇな)のわけわからん会話に付き合わされました。

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