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死神といっしょ!  作者: 是音
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第20話 死神となぞなぞ

「と・ん・ち・は〜ピピ〜ピピ〜だよ、ズッ、ギュゥン品〜♪だぁけどピピピはからっきし〜だよ、ズッ、ギュゥン品♪」


 ん?こいつが歌ってるのって何の曲だっけ?


「ピッピピッピ、ピッピピッピ、ピピッピピ、あ〜い〜して〜る♪」


 あ、わかった。某有名坊主アニメの曲だ。


「ピッピピッピ、ピッピピッピ、ピピッピピ〜、ピッキュゥ~さん♪」


 相変わらず規制音の物真似の所為でなにがなんだかわかんねえ。


「準くん!なぞなぞやろう!」

 何言いだすんだコイツ。


「お前がなぞなぞを考えられるくらい常識を持った死神ならな。」


「考えられるに決まってんじゃーん!いくよ〜

《上はフニャフニャ、下はフニャフニャ》

な〜んだ!」


 全部フニャフニャじゃねえか。

 多分こいつのノリに合わせるなら答えは・・・


「どうせ《湯を入れたまま忘れちゃって十分後やっと気が付いた時のカップ麺》とか言うんだろ?」


「・・・!!にゃ、にゃぜわかったの?」


 案の定当たりか。そんな驚いた顔でオレを見るな。


「む〜やるな準くん!ならこれならどうだ!

《サバを味噌で煮込んだもの》

コレな〜んだ!」


「サバの味噌煮。」

「ぐっはぁ〜!!」


 くだらねぇ。マジでくだらねぇよこのなぞなぞ。


「ちくしょ〜!なんでだぁ〜!」

「やはり一般常識を欠いたお前になぞなぞは難しいみたいだな。」

「じゃあ準くんがなぞなぞ出して〜!!」


 オレが?まぁいいけど。


「じゃあいくぞ?《目を閉じていると見えて、目を開いていると見えないもの》な〜んだ。」

 ヤバい、ちょっとノってるじゃんオレ。


「目を閉じていると見えて、目を開いていると見えないもの!?え、なにそれ!う〜んう〜ん・・・」


 おー悩んでる悩んでる。


「ん〜・・・うぅ〜ん・・・しゅばぁぁん・・・」


 めっちゃ悩んでる。

 しゅばぁぁんって悩み方は聞いたことないケドめっちゃ悩んでる。


「ん〜・・・わかったー!《魔法魔人ゲルゲパーマ》だ!」


 ゲルゲパーマ!?


「なんだよゲルゲパーマって!」

「えっ知らないの!?目を閉じていると見えて、目を開いていると見えない魔人といえばゲルゲパーマじゃん!」


 知るかそんな魔人。


「とりあえずハズレだ。」

「えーっ!じゃあ答えなに〜?」

「答えは《まぶた》だ。」


「・・・ん?何で?」


 ダメだコイツ。


「じゃあ準くん、もう一問出して〜!」

「はいはい。」

「簡単なやつね〜。」


 ここで死神が答えられる問題を出してやらないと延々と付き合わされそうだからな。ノリを合わせて適当に問題出して適当に正解にするか。


「じゃあいくぞ〜《潜ったまま煙を吐いて紙を折るもの》な〜んだ。」


「《魚人ケタマハーグ》!」


 早っ!つーか潜ったまま煙を吐いて紙を折る奴いたよ!


「せ、正解・・・。」

「やったー!」


 なぞなぞ疲れる・・・。


「じゃあ今度は私から・・・」

「昼飯作んないと。」


「えー!待っておくれよ準くん!」



 まただよ。また腰に捕まってぶらさがりやがった。


「あのなぁ死神、ぶらさがってたら昼飯作れないだろ?」

「ぶら〜ん、だってまだなぞなぞ続けたいんだも〜ん!」


 仕方なくオレは死神を連れたままで昼飯を作ることにした。動きづらい・・・。しかも死神は容赦なくなぞなぞを出してくる。というかもう質問みたいになっている。


「《準くんが好きな食物》な〜んだ?」


 こういう時は死神と趣味を合わせた方がいいな。

「ん〜そうだな、ヨーグルトかな?」

「だよねだよね!」


 よし、これだ。


「じゃあ《準くんが好きなもの》な〜んだ?」


 好きなもの?またアバウトな質問を。死神が一番好きなものは・・・。う〜む、わからん。よし、ここは


「好きなものは死神かな〜?」

「・・・え。えぇ!?」


 ん、なんだこの反応は?


「や、やだなぁ!そんな当たり前な事言わないでよぉ!」


 当たり前だったのかよ。


「準くん私天ぷら食べた〜い!」


 昼飯にしてはヘビーだろ天ぷらは。

「もうサンドイッチ作り始めたからダメだ。」

「えー!天ぷら食べたいよー!」

「わがまま言うんじゃありません。」

 

 そう言うとしばらく死神は腰にぶらさがったままおとなしくしていたが、突然口を開いた。


「むかぁしむかし、あるところに〈天ぷらが食べたくて仕方がないグラマラスな死神〉がおりました・・・。」


 何いきなり語りだしたのコイツ?


「グラマラス死神はお腹がすきすぎて川へふらふらと歩んで行きました。そう、彼女は夢遊病だったのです。」


 最後はどうでもいいな。


「するとどうでしょう、川の上流からとっても素敵なBIG天ぷらが〈天ぷら粉〜天ぷら粉〜〉と・・・」


〈どんぶらこ〉だろ!


「じゃあ晩飯は天ぷらにしてやるからおとなしくしてろ。」

「やったぜー!」


 最近のオレってかなり死神にあまいよな。よくわからんが死神のペースにオレが慣れちまったってことなのか?う〜ん。

 手を止めて腰に捕まってる死神を見ると居間のテレビに顔を向けている。あ、このマンションの部屋はキッチンと居間がくっついてるタイプなんだよ。ちなみに床はフローリングね。と、こんな時に部屋紹介をしてみたり。


「準くん大変だ!」

「なんだ?」


「ベテランニュースキャスターが《それではちゅぎのニュースです》だってさ!かんじゃったよベテラン!アハハハハハ!」


 誰だってミスくらいするんだから馬鹿にすんなよ・・・。



「準くんご飯まだ〜?」

「ほら一個やるからテーブルに座れ。」


 オレはサンドイッチの一つを死神に渡した。死神は猛スピードでそれを掴むとテーブルに座った。


「おい準くん!」


 今度はなんだよ。


「なんでサンドイッチの中にツナが入ってるの!?サンドイッチの中はカラスミが基本でしょ!!」


 ・・・無視!

 そうだ、一個だけ紅しょうが入りを作ってやろ。


「ほらサンドイッチできたぞ。」


 オレはサンドイッチが乗った皿を三つテーブルに置いた。ちょっと作りすぎな気もするだろうが死神がいるからな。


「いただきまーす!」

「ご馳走になります里原殿〜。」

「はいはい。」


 死神と夜叉さんは凄い勢いでサンドイッチをほおばる。まったく、よく食うぜこいつら。


・・・は?


「なんで夜叉さんがいるんだよ!!!」


 オレはいつのまにか死神の隣に座ってサンドイッチを食べている鬼に向かって叫んだ。というか般若の仮面を外して食べてるから和服を見て夜叉さんだと判断した。

 夜叉さんの素顔は男のオレから見てもかなり美形なお兄さんだった。シャープな輪郭に高い鼻、鋭くも優しそうな目、ほどくと肩まであるだろう黒髪を前髪を残して後ろで束ねている。しかも背が高い。口調以外は何の疑いもないイケ面兄さんだ。こりゃあ合コンでもモテるだろうな。


「ああ里原殿、お邪魔してます。」

「ホントだよ夜叉さん。邪魔!」


 コラ死神。


「今日はどうしたんですか夜叉さん?」


 オレが問い掛けると夜叉さんは食べるのをやめて仮面をつけた。何度見ても奇妙で怖え〜。

「おおそうでした。実は今日は里原殿に用があって参ったのです。」


 ん、オレに?


「なんですか?」

「実は最近死神殿と同様に地獄から逃げ出した者がおりましてな。しかも潜伏先がこの辺りらしいのです。それで里原殿に捜索の協力をお願いしたいと思いまして。」

「地獄から逃げ出すなんて愚かなヤツね!」


 貴様が言うな死神。しかし人手不足の地獄からまた逃げたヤツがいるのか。そんなに飽きる仕事なのか死神業って?


「逃げ出したのは誰なんですか?ナイトメアとかだったり?」

「いえ、メアには見張りをつけて仕事をさせていますので。」


 いっつも見張りをかいくぐって遊びに来ていたのかよあのダークピエロは!


「じゃあ誰なんですか逃げ出したのは?」

「ヨーロッパ担当の《ヴァンパイア》です。」


 その名前に死神が反応した。

「えっ!バンプが逃げたの!?アハハハハ馬鹿だなぁ〜。」


 どうやら死神はヴァンパイアの事を知っているらしい。つーかマジで死神業やってんのって有名な怪物ばっかじゃん。死神とかナイトメアとか夜叉とか狐、ヴァンパイア、歌舞伎はちょっと違う気が・・・ま、いいや。


「オレは何をすれば良いんですか?」

「いえ、ただそれらしき噂を耳にしたらご報告願いたいというだけです。」

「わかりました。」


 そして夜叉さんは席を立った。しかし和服って綺麗だよなぁ、夜叉さんの和服なんか銀と紫の生地が鮮やかだもん。


「それでは某はこれで。里原殿ご馳走様でした。」

「あ、いえいえ。ご苦労さまです。」


「それから死神殿、いいかげん・・・」

「《大奥》♪」

「失礼します。」


 夜叉さん大変だな〜。つーかプレイボーイだなぁ、大奥で何やらかしたんだよ・・・。

 そして夜叉さんは逃げるように消えた。


 ・・・ヴァンパイアねぇ。なんか知らないケドその時突然彩花さんの顔が浮かんだ。それと同時に悪寒が走った。

 なんか嫌な予感。明日ちょっと彩花さんの部屋に行ってみるかね。


「準くんバンプ探しに行くの?」

「ん、少し心当たりがあるからな。」


「へぇ〜、それって次回への《伏線》ってやつ?」

「・・・言うな。」

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