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死神といっしょ!  作者: 是音
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第16話 迷惑アフタヌーン

さて、今日も昼食を作るべくキッチンに立つオレだったが・・・



「・・・これは何の遊びだ死神?」


「なんだろ〜ね〜?」


黒いローブがまな板でキャベツを切るオレの腰にしがみついてぶらさがっている。・・・重い。しかも理由はただ純粋に暇なだけらしい。


「ぶら〜ん」


「・・・邪魔だ。」

冷蔵庫へ向かおうにも動きにくい。



ピンポーン


ん、ドアのインターホンだからここの住人だな。


「はーい!って、いいかげん離れろお前!」


「ぶら〜ん」


ダメだ完全に脱力してるわこいつ。くっそ〜!


ピンポーン


「はい今出ま〜す!」


仕方なくズルズルと死神を玄関まで引きずりながらドアを開ける。


「あっ、こんにちは里原くん〜。」

そこには髪を茶色に染めたロングヘアーの女性がラップのかかった皿を持って立っていた。近くの部屋に住む女子大生[須藤 彩花]さんだ。

「あ、彩花さんこんにちは。どうしたんですか?」

「これ私が作ったんだけど余っちゃったの。だからおすそわけ〜。」

「お〜ありがとうございます。何作ったんですか?」

「聞いて驚くなよ里原!私特性の、名付けて《アーモンド生チョコクリーム煮込みうどん・焼そばソースと共に》よ!!」

「・・・お持ち帰りください。」


ま、大体予想はしていたよ。この人は何かというとオレを困らせる。関わりたくない人物ナンバー3なのだ。

ちなみに以前も言ったがナンバー1は死神、ナンバー2は美香だ。


「んぁ、いい匂いがするよ準くん〜」


腰にぶらさがって脱力していた死神が彩花さんのゲテモノうどんに反応した。いい匂いなんかしねぇよ。


「あ!おいしそ〜っありがとうございま〜す!」


死神は彩花さんの手から皿を受け取ると奥へ行ってしまった。美味しそうか?


「あらあら元気いっぱいね♪」

「どうもすみませんウチの・・・え、あれ?」


な、何今のスムーズなやりとりは?死神って見えないんじゃあ・・・


「可愛い子ね、黒いローブなんか着ちゃって。」


おわぁぁぁぁ!この人死神が見えてるよー!!


「え、あ、その〜。が、外国の子供を預かるのがブームなんですよ〜。」

何言ってんだオレはよ!


「そうよね〜、私も預かってるのよ〜!」


・・・?

あ、きっとこのお姉さん頭パーなんだ。


「それじゃあ今度あの死神みたいな子紹介してね〜っ」

「ゲホッ」

「バイバ〜イ♪」



バタン


・・・彩花さんは謎だらけで怖いよ。

その時部屋の奥から悲鳴(?)が聞こえた。


「どひょーーーー!!!」


死神だ。しかし悲鳴でどひょーは無いだろ。


「どうした死神!!?」


死神は居間で口から火を吹きながら転がりまわっている。


「ギャァァー!ナイトオブファイアーッ!!!」


もっとマシなリアクションしろよ。

この様子だときっと彩花さんの料理に大量の唐辛子でも入ってたな。


「ハンパネェ!ハァンパねぇ量の辛子だっちゃ☆これにゃあさすがのグラマラス死神もビックリびっくりー♪パンチがハートにドキュンドキュン!!」


うわ、死神が壊れた!


「だ、大丈夫か死神?今水持って来る・・・って、うわぁ!」


突然死神が背中に飛び付いてきた。


「非売品の新聞♪」


うわーいつもより意味わかんねぇ!!

オレは死神を背負ったままキッチンで水を汲んだ。


「ほら水だぞ死神!」


死神はコップを掴むと勢い良く飲み干した。


「プハー!元気ハツラツ!」


「オロ○ミン・・・って乗らねぇよ!それより大丈夫か?」


「うん!いや〜辛かったよぉ〜クセになりそう♪」


やめてくれ。毎回《非売品の新聞♪》クラスの意味不明単語出されちゃたまらん。


「ところでさっきの女の人だぁれ?」

「須藤彩花さんだ。隣の部屋に住んでる。」

「あれ?隣ってヨーグルトおばさんの部屋じゃないの?」

「ヨーグルトはお前が勝手に放置したんだろ、反対隣の部屋だ。」

「ほぉ〜ん。」


何がほぉ〜んなんだか。にしても今回は彩花さんの料理と死神のコラボレーションでいつもよりちょいと暴走しすぎてたな。今後は会わせないように・・・


「おかわり貰ってくる〜!」

「待てぇい!」

「何故止めるんでい!」

「ダメだダメだ、お前アレ食べるとおかしくなるから。」

「いっつもおかしいよーだ!」


ん・・・何?今の返事。



「まぁいいや。そういえば準くん!今って受験シーズンってやつじゃない?」

「なんだ突然?まぁ大学の一般試験や二次試験、高校入試とか真っ盛りだからな今の時期は。」

「私も勉強するー!」


何考えてんだコイツ。おそらくは勉強が最近の流行りだと勘違いしてるんだろ。流行と感付けば何にでも食い付く。困った奴だな。


「とゆぅワケで勉強教えて準くん!」


やっぱそうなるか。



で、死神と居間で勉強を始めて三十分


「ふんふふーん♪」


ニコニコ顔で足をぱたぱたさせながらシャーペンを動かす死神。というかオレは死神がどの程度の学力があるか知らない。見た目は結構幼めなクセに時々古くさいことを口に出す。つまりは謎ガキなのだ。

とりあえず一次関数のグラフを書いてみろと紙を渡してオレは洗濯物を畳んでいた。

そろそろかな。


「どうだ死神、見せてみろ〜。」

「ほい。」


死神はノートパソコンを閉じて紙をオレに渡した。


「しかし意外だな、お前がこんなに集中するって事はお前一次関数がわかるってことか?」


ってか何でコイツノートパソコンなんか使ってたの?まぁいいや、ちゃんとグラフ書けたのかな?


・・・んぁ、グラフなんてどこにも無い。何かメチャメチャ計算した後が紙の端から端まで無数に書いてある。


「ふぁ〜、解けた解けた♪難敵でしたな。」


オレは一番下に書いてある導きだされた答えを見た。なんか見覚えのある数字の羅列が・・・ん〜とこれは確か



あ。


ぁぁぁぁあああ!!


「てめぇコレはオレの口座番号じゃねぇかーーー!!」


目が飛び出そうだった。


「フハハ!《1》と《0》、この二つの数字があれば私に解けない物はない!」


お前ディープな話すんじゃねぇよ!


「私の手の中で世界は回る!そう、私こそが神!私こそが究極!私こそが冷暖房なのだ!ハーッハッハッハ」


神と冷暖房は同格だったのかぁー!



※ハッキング行為は犯罪です。後で死神はオレがきつ〜く叱りました。




「うわぁ〜ん!準くんがぶったぁ!」

「当前です!やって良い事と悪い事があります!」


さらに問い詰めたら表紙に《ドッキドキ死神ノート》と書いてある何とも怪しげなノートが出てきたので没収した。

死神を見るとまだベソをかいていた。ったく


「死神、おやつにするか?」

「うん!」

立ち直り早ぇ〜!


「で、何食べたい?」

「ん〜、《ハート》?」

「よしワッフルな。ちょっと待ってろ。」


オレはキッチンへ向かう。


バサッ


あ、しまった。死神のノートを落としちまった。お、何か書いてある。


『準くんの料理はいつも美味しい。』


・・・。


いや待て!待て待て!!こんなほのぼのとした雰囲気で終わるのはコメディーとしてマズイんじゃないか!?ぉいコラ待てよ作者!待てってば!え、今回はもう終わる?馬鹿言ってんじゃねぇよ!

よしわかった、オレが今から面白い事を・・・


「じゃあまた次回ねぇ♪

もぅ準くんおやつまだ〜?」

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