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死神といっしょ!  作者: 是音
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第15話 死神と偽造毛髪

今日も朝から忙しい。



オレはキッチンでフライパンを動かしていた。

「準くんご飯まだ〜?」

「今作ってるから待ってろ!」


朝食をテーブルに乗せて、と。


「やったー!ベーコンエッグだー!」


朝食ではしゃぐ奴なんてあんまりいないだろ。よし、死神の朝食はこれでよし。次は洗濯物干さなきゃ。


「うゅんひゅん、ひょーはひぃへんひらえぇ!

(準くん、今日は良い天気だねぇ!)」

「食べながら話すな!」


ベランダで洗濯物を干すオレに向かってテーブルでベーコンエッグをほおばりながら死神が何か言ったが、何言ってんだかわかんねぇ。


「で、お前今何て言ったんだ?」

「モグモグ・・・ゴクン。だからぁ、《準くん、今日も綺麗だね》って言ったの!」

「おー、それはありがとう。」


馬鹿かてめえ。


おっと、死神に構っている場合じゃない。急がないと遅刻しちまう。食事を終えた死神は決まってオレの支度を妨害にかかる。


「隣の家に塀ができたってさ!へぇ〜。」

駄洒落にしては最悪のレベルだな。


「準くん!布団が?」

「・・・くっつくな。」


「布団が!?」

「忙しいんだからまとわりつくな!」


「ふぅ〜とぉ〜ん〜がぁぁぁぁ!!?」


あーうぜぇ。

「ふっとんだ!!!」



「・・・布団が吹っ飛んだらそれはもはや大災害だよ準くん。」


ん、これは殺意かな?このまま小説ジャンルを《ホラー》に変えてしまおうか・・・?


「だのにそんな時に《ふっとんだ》としかその場の状況が把握できないなら準くんは一番早く死ぬタイプだと私は思いけり。されどもそれを黙って見過ごさない私こと死神《ロシュケンプライメーダ・ヘルツェモナイーグルスペカタマラス七世》は慈悲深く、かつセクシーさとグラマラスなBODYを兼ね備えた未だかつて例を見ない・・・」

「いってきまーす。」


付き合ってられるか。


「え、無視!?準くん無視ですか!?無死満塁、無死満塁!!ちょっと待ってよぉ〜!」


・・・無死満塁?




追い付いた死神と通学路を歩くオレ。まったく、朝から疲れる。


「ラン、ランララランランラン♪ラン、ランラララン♪」


 朝からナウ○カはよせ。切なくなる。


「ピー、ピーピピピーピィピィ♪ピィ、ピィピピピィ♪」


 ピィピィうっせえよ。

 規制音化すんな。


「巨○兵って強くて可愛いよね♪」


 強いとは思うが可愛いとは微塵も思わん。どうやら昨日テレビで夢中になった為に今朝まで引きずっているようだ。映画を見終わった死神は手が付けられなかった。


『でっかい蟲が欲しい!』

『無理だ』

『でっかい兵士欲しい!』

『無理だ』

『谷へ行きたい!』

『どこへでも行け。』


『焼き払え!巨○兵!!ビィーッ』

『・・・?』

『ほら準くんは蟲の役だよ!』

『これはまた無理難題を・・・。』




こうしてオレは一晩中主人公のナウ○カではなく、何故か《巨人の兵士と蟲》ごっこをやらされたのだった。

 しかしながらあの作品は純粋に素晴らしいと思う。壮大な世界観とスケールの大きさには胸が苦しくさえなる。ま、感想はこの辺にしておいて・・・




「・・・んくん!準くんってば!」

「ん?おぅ、悪ぃ。」

「もう、ボーッとしてるから呪い三つくらいかけちゃったよ?」

「・・・解け・・・ぐおぉぉ・・・」


おぉぉぉ頭がクラクラする、なんか気持ち悪い・・・。確かこんな状況が以前も・・・。


「な、何の呪いだ?」

「えーっとねぇ、《お付き合いで飲み屋を七件ハシゴしたサラリーマンのピーク時の酔い》!」


超気持ち悪い・・・。


「貴様・・・そんなに毎日インスタントが良いか・・・?」

「解きます。残りの二つも解かせて頂きます。」


ふぅ。楽になった。朝からこのノリはキツイだろ。




学校に着き、教室に入ると三笠と美香がいた。

「おはようございます二人共。」

「おっす三笠。」


「美香ちゃんおはよ〜!」

「あ!死神さ〜んおはよ〜!!あ、あとスネアドラムおはよ。」



え?あ、オレ?スネアドラムってオレのこと?


「早く席着こうよスネアドラムくん!」

ぶっ殺すぞ死神。




それから何事もなく一日は過ぎていった。


・・・。


はいそうですそんなわけないです。死神が一緒で何事もないわけがないですな。

奴が暴走したのは四限目の数学の時間。

教室に入ってきたのは数学の教師ではなく教頭だった。

「えー今日は数学の磯村先生が休みの為、自習とする。」

教頭はそう言うと教卓の席に座った。


教頭を見た死神は何かに気付いたみたいだ。

「じゅ、準くん!あ、あれはまさか・・・ヅラってやつじゃない!?」

死神の大声を隣の席で聞いた美香が吹き出す。教頭から見れば美香が突然吹き出したものだから怪訝な顔で美香を見ていた。

「私あんなわかりやすいヅラなんて初めて見たよ〜。」

「死神、それはこの学校のタブーなんだ。」


オレは死神に囁いたが、完璧ヅラに興味を引かれた死神はついにふわふわと教頭の近くまで飛んでいき、まじまじとヅラを見始めた。

(アイツが何もしませんようにアイツが何もしませんようにアイツが何もしませんように!)

オレは超祈った。それはもう祈った。

だが死神は何もできないオレの祈りも知らず、教頭の髪を摘んだ。

ま、まさか!



「ぺろーん」


めくったーーーー!!


死神は教頭のヅラをめくった。まさにぺろーんだった。

だが教頭は自分のヅラをめくられたことに気付いていない。ヅラの異変に気付いたのはオレと美香と・・・あ、あとすっごい肩震わせてるから三笠もだな。


「見てー準くん!!ぺろーんってヅラ剥がれた!アハハハハ!!」

馬鹿だアイツは。どうにかして元に戻させないと・・・。

ジェスチャーでわかるかな?

(死神!それを元に戻せ!!)

「ん?何準くん変な動きして〜!?」

(い・い・か・ら・早く戻ってこい!!)

「戻れば良いの〜?」


よし、ジェスチャーは伝わったみたいだな。

死神は剥がしたヅラを放した。ヅラはパタッと教頭の頭の上に戻った。

が、戻ったヅラは元の位置から大きくズレた。

「ゴホッ!」

「ブハッ!」


ついに美香と三笠が暴発した。教頭も自分の頭に起こった異変に気付いて頭に手をやった。

顔面蒼白になる教頭。


「AHAHAHAHAHAHA!!彼トテモ面白イデース!」


実行犯が米国風に笑ってんじゃねえよ。



この死神の暴走によって学校のタブーが一つ減った。



家に帰っても死神はまだヅラの事で笑っていた。


「《先生、その頭・・・!》《き、君たちは自習を続けなさい!》だって!ゥアッハハハハ!!」


 お前最悪だろ。



「ふぅ〜、さて晩ご飯〜♪あっ準くん、今日のお弁当超美味しかったよ☆ミカンだけが。」


明日からアイツの弁当はミカンだけだな。




「ふぅ。お腹いっぱーい!」

食い過ぎだお前は!!


「ち〜いさぁい頃〜はぁ〜、ピィピピピピピピィ〜♪」


 今度は規制音の宅急便か。


「じゃあ私が墜落しそうな飛行船やるから、準くんはそれにぶらさがる少年の役ね!」

「・・・これはまた無理難題を・・・。」


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