↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル-99の大佐が異世界転生したら、身体の耐久度が水に濡れたティッシュ並みだった件〜天才的な脳だけで生き残る〜  作者: ティラピア池
第2章: 希少素材の街への旅

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/39

第19話: 生き残った四つの卵

はじめまして、または再びこんにちは。今回もお付き合いいただきありがとうございます。

海岸から戻ってしばらくした後、僕は見つけた奇妙な卵を、かなり広い部屋へ運び込んだ。


何人かの護衛にも手伝ってもらいながら、僕は一つずつ卵の状態を調べ始めた。



その形は、地球で見たネコザメの卵によく似ていた。


だが、細かく見れば見るほど、地球のものとは明らかに違っている。



殻は非常に硬い。


まるで石のようだった。



色も奇妙だ。


乾いた葉のような色をしている。



僕は指先で、表面を軽く叩いた。



「……硬いな。」



隣に立っていた護衛が頷く。



「石のようですね、アラリック様。」


「普通の石より硬いかもしれない。」



僕は続けて、卵の内部を観察した。



殻の奥には、細長い形をした何かがある。


色は殻とほとんど同じだが、わずかに透けている。



さらに奇妙なのは――。


それが、本来なら胚であるはずなのに、まるで鉄のように硬いことだった。



「……これ、本当に胚なのか?」



僕は顎に手を当てた。



*これが本当に生き物なら、こんなに硬い構造で、どうやって身体を成長させるんだ?*



僕は地球の知識だけで、すべてを説明しようとはしなかった。



エルドハローには、地球とは異なる自然法則が存在する可能性がある。



それに、この世界の海水には「塩」と呼ばれているものが大量に含まれている。


だが、それは僕が地球で知っている塩とは明らかに違う。



その成分が何なのか、僕にはまだ分からない。



だからこそ、最初から結論を決めつけるわけにはいかなかった。



僕は一つずつ記録を始めた。



卵の形。


色。


硬さ。


水の状態。


温度。


湿度。


経過時間。



そして、卵の周囲にある環境まで記録していく。



「今は何も変えないでおこう。」


護衛たちが頷く。



「この状態のままにして、しばらく観察する。」


「分かりました。」



一日目が過ぎた。



大きな変化はなかった。



二日目も、ほとんど同じだった。



僕は何人かの護衛とともに、卵を観察し続けた。



しかし、しばらく時間が経った頃――。



パキッ。



「……何?」



僕はすぐに振り返った。



そのうちの一つに、ひびが入っていた。



僕は近づく。



ひびは少しずつ広がっていく。



内部の状態も、明らかに変化していた。



僕はすぐに確認した。


だが、結果は僕が期待していたものではなかった。



内部の胚が、徐々に弱っている。



「……そんな。」



僕は言葉を失った。



しばらくすると、別の卵にも同じ変化が現れた。



一つ。


また一つ。



それまで安定しているように見えた状態が、次々と崩れていく。



僕はもう一度、記録を確認した。



水は新鮮で、まだ生きている。



外から見える範囲では、大きな変化もない。



だが、卵が置かれていた場所には、蒸気と熱い水があった。



僕は温度に疑いを持ち始めた。



しかし――。


だからといって、熱が原因だとすぐに決めつけることはできない。



*温度が高すぎたのかもしれない。*


*水中のガス交換が十分ではなかった可能性もある。*


*あるいは、この世界の「塩」が水分のバランスに影響しているのかもしれない。*


*……それとも、全部が関係している?*



僕は小さく息を吐いた。



「だったら、変数を分けて調べるしかないな。」



隣にいた護衛が困惑した顔をする。



「変数……ですか?」


「卵に影響する可能性があるものだ。温度、水、空気、湿度、それから水に含まれる成分。」


「……分かりました。」



護衛は頷いたものの、まだ完全には理解していないようだった。



僕は部屋に置かれた桶や水の入った容器、それから簡単な道具を見渡した。



*すごいな。*


*科学者の頭脳。*


*なのに研究室にあるのは、桶と鍋だけ。*



思わず笑いそうになった。



だが、目の前の卵を見て、すぐに表情を戻す。



僕は観察を続けた。



そして――。



時間が経つにつれて、残った卵の数は減っていった。



最後に残ったのは、四つ。



僕は四つの卵の前で、しばらく立ち尽くした。



「……四つ。」



海岸から持ち帰った卵のうち、まだ生命の兆候を示しているのは、この四つだけだった。



この四つまで生き残れるのかは、まだ分からない。



だから僕は、より安定した環境を作ることにした。



新鮮で生きた海水を用意する。



そして、卵を慎重にその中へ入れた。



部屋の温度が高すぎず、低すぎないように調整する。



さらに、容器を完全に密閉することもしなかった。



卵が周囲の環境と適切に物質を交換できるようにするためだ。



「卵には、できるだけ触れないでくれ。」


「分かりました。」


「今は観察だけだ。」


「はい、アラリック様。」



それから、何日も経過した。



僕は小さな変化も見逃さないよう、記録を続けた。



何も変化しない日もあった。



そして――。


卵の内部で、ほんのわずかに何かが動いているように見える日もあった。



そんなある日のことだった。



僕は、何かに気づいた。



「……待て。」



僕は一つ目の卵を確認する。



内部に変化がある。



次に二つ目。



三つ目。



そして四つ目。



僕は何度も確認した。



見間違いではないか確かめるために、もう一度すべての卵を確認する。



「……生きてる。」


僕は数秒間、何も言えなかった。



「本当に……生きてる。」



一人の護衛が近づいてくる。



「アラリック様?」


僕は答えなかった。



ただ、四つの卵を見つめ続けていた。



これまでに、いくつもの卵が駄目になっていった。



それでも――。



最後に残った四つは、確かに生きている。



僕はゆっくりと息を吸った。



「……成功だ。」



その瞬間だった。



自分でも気づかないうちに、目が熱くなっていた。



僕は小さく笑った。



「ははは……。」



そして、頬を涙が伝っていく。



「……よかった。」



慌てて涙を拭う。



だが、涙は止まらなかった。



「本当に……生きてるんだな。」



僕の後ろにいた護衛たちも、何も言わずに四つの卵を見つめていた。



彼らも、これまで卵が一つずつ駄目になっていくところを見てきた。



だからこそ、今目の前にある四つの命を見て、安堵していた。



一人の護衛が静かに頭を下げる。



「……よかったです。」


別の護衛も微笑んだ。



「ようやく、生き残ってくれましたね。」



部屋の中が静かになる。



大きな歓声もない。



特別な祝宴もない。



ただ、そこにいる者たちが四つの小さな命を見つめていた。



僕はもう一度深く息を吐き、涙を拭った。



「よし……。」


僕は立ち上がる。



「外に出よう。」



僕は扉へ向かった。



そして、ドアノブに手をかける。



扉を開けた。



ガチャッ。



「……うわっ!?」



扉を開けた瞬間、目の前にネリアの顔があった。



「……。」


「……。」



僕とネリアは、数秒間そのまま見つめ合った。



「なんで待ってるんだ?」


ネリアは手に持っていたものを差し出した。



「これを渡すためです。」


「……何それ?」


「マジックバッグです。」



僕の目が一気に輝いた。



「マジックバッグ!?」



ネリアが僕へ渡す。



「カイルからです。パーティー全員に配ったそうです。」


「本当か!?」


「はい。」


「やった!」



僕はマジックバッグを受け取り、嬉しそうに眺めた。



*これ、めちゃくちゃ便利じゃないか!*


*これが最初からあれば、荷物を持って歩き回る必要もなかったのに!*



ネリアが僕を見ながら笑う。



「そんなに嬉しいんですか?」


「もちろん! これは、この世界で見た中でもかなり便利な道具だ。」


「……ただのバッグに見えますけど。」


「ただのバッグじゃない!」


僕は思わず言い返した。



そして、僕たちはそのまま食事をする場所へ向かって歩き始めた。



歩いている間も、僕は何度か新しいマジックバッグを確認してしまう。



*ありがとう、カイル。*


*これでようやく、便利な収納手段を手に入れた。*



食事をする場所へ到着すると、アルブレヒト・ヴァルテリスが家族とともに待っていた。



彼は僕を見ると、すぐに声をかけてきた。



「おお、アラリック。卵のほうはどうなった?」


「アルブレヒトさん。」


僕は少しだけ気まずそうにする。



「えっと……。」


僕は頬を掻いた。



「実は、四つだけです。」


アルブレヒトは一瞬黙った。



「四つか。」


「はい……。」


アルブレヒトは静かに頷いた。



「私は、それがどれほど難しいことなのか分かっている。」


「……。」


「そもそも、我々はその卵が存在することすら知らなかった。」


アルブレヒトは僕を見る。



「それを見つけ、調べ、そして生かした。」


そして、穏やかな笑みを浮かべた。



「ありがとう、アラリック。」


僕は少し照れながら笑った。



「僕はただ、研究しただけです。」


「それでも、素晴らしい成果だ。」


僕は頷いた。



すると、アルブレヒトが再び尋ねる。



「ところで……その卵は、いつ孵るんだ?」


「……。」


僕は固まった。



「孵る?」


「ああ。」


僕は少し考え込む。



「たぶん……数週間くらいだと思います。」


「数週間か。」


「正確な期間は、まだ分かりません。」


僕は小さく息を吐く。



「実際に観察を続けてみないと、判断できない。」


「なるほど。」


その会話を聞いていたアルブレヒトの末っ子が、突然目を輝かせた。



「じゃあ、孵ったら魚が食べられるの!?」


「……。」


僕は子供を見る。



アルブレヒトも息子を見る。



ネリアは必死に笑いをこらえている。



そして――。



「ふふっ。」


近くにいた護衛が、思わず小さく笑った。



それをきっかけに、周囲から笑い声が広がる。



「ははは!」


「この子は、もう食べることを考えているのか!」


アルブレヒトも笑っている。



だが、末っ子本人は不思議そうな顔をしていた。



「なんでみんな笑ってるの?」


僕もとうとう笑ってしまった。



「いや、なんでもない。」


僕は子供の頭を軽く撫でる。



「魚がちゃんと育ったら、いつか食べられるかもしれないな。」


子供の目がさらに輝いた。



「やったー!」


その言葉に、また全員が笑った。



僕も笑いながら、その光景を眺めていた。



卵の研究を始めてから、初めて心が少し軽くなった気がする。



だが――。



僕はまだ分かっていなかった。



この研究が、始まったばかりだということを。



四つの卵には、まだ多くの謎が残されている。



いつ孵化するのか。


中から何が生まれるのか。



そして――。


この世界の生物が、地球の生物とどこまで違うのか。



僕には、まだ何も分からない。



それでも今は、四つの命が生きていることが嬉しかった。



翌日――。

少しでも「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、ページ下部の**【ブックマークに追加】や【評価(★★★★★)】**をいただけると嬉しいです!

皆様の応援が執筆の大きな励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。