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Dark plant  作者: 神崎ミア
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三話


 空軍司令官とのぼりつめたゴードンは、今夜アクアドーム最後の夜襲にむけてアクアドーム側の山林に駐屯地を構えていた。数人見張りを遣れば既に就寝して暗いアクアドームは静かに次の朝を待っていた。マーリスからこの作戦に成功し、再びアクアドームを制圧すればそれに見合った報酬と、アクアドームを好きにしてもいいと言われ、前回の侵略時に手に入れた大量のコアを埋め込んだ兵士、人形と共にアクアドームを攻め落とすつもりだった。

外はいよいよ明るくなる頃、ゴードンは兵を集めて決行に移った。


「相手は前回攻略した弱兵、気を楽にそして確実に攻め落とせ、いいな?」


兵が乱れなくそれに答えて敬礼し、ゴードンは口角を上げて、地面に突き刺した剣を抜き取り、空に掲げた。



 三百の兵が、戦闘機三台と共に夜襲決行を始めた。各三方向から兵を分割し退路を断ち、遊撃する。正面突破する前線兵は易々とアクアドームに侵入し、基地を攻め落とす為にたいまつを掲げた。


「甘いな、前回制圧されたのにもかかわらずこの警備の緩さ…」


兵士の一人がそう呟いて、町の民家に押し入った途端、突然まばゆい光がアクアドームを満たし、一瞬目が眩んだ兵士達は思わず目を閉じた。


「悪いね。わざわざ奇襲してもらったのに」


高いヒールの音がなり響き、振り返った兵士達が見た先にあったのは、自分達を包囲する、レイディアンの兵士だった。その中心でほくそ笑んだ女、アイリーンは情けない顔をぶらさげた空軍兵士を嘲笑する。


「タレコミがあってな。悪いが綿密な作戦と増兵させてもらった。お前らはたしか…」

「三百の兵、三台の戦闘機の模様です」


アイリーンが満足げに頷いて、腰を抜かす一人の兵士の顎をピンヒールの先で蹴り上げる。


「我が軍は三千の海軍の助力が三千、計六千の兵がお前達を包囲し、海には戦艦が五隻。この前のお礼といこうか?」


派手な音と共に、アクアドームが大きく揺れた。あまりの衝撃に驚いて天井を見上げれば、空で飛んでいた最新型の戦闘機が潜水艦のように静かに泡を吐きながら沈んでゆく様子が伺えた。


「狙うは総司令官のゴードン・ディネガー!拘束し、制圧せよ!」


アイリーンの一言によって、レイディアンの士気が大きく高まり、兵は取り囲んだ空軍の兵士達を次々捕らえてゆく。アイリーンは愉快げにそれを眺め大きく笑い声をあげると、手に持っていた鞭を地面へと叩き付けた。


「辱めを受けたのだ、男として生きられないように仕返ししてやらねばな」


そして空軍はほぼ全ての兵を拘束、捕まった司令官は泣きながら命乞いをしたが、アイリーンに引きずられて消えて行き、彼がその後どうなったかは聞かされていないとか…。


リックは感激した様子でこの事を喜んだ。キールは胴上げまでされ、アクアドームには平和が戻っていた。


「ロイルくん、俺達頑張ったよ、君が帰ったとき堂々と顔向けが出来るように…!」


ルイスの回復により、ロイルの誤解は解けた。いなくなってしまったレニとロイルを思って、リックは誰にでもなくアクアドームの空へ向かって敬礼するのだった。



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