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第2話 禊ぎの日
ぽつり。
また、ぽつり。
空を見上げると、雨が落ちてきていた。
夜になるころには、雨は本降りになっていた。
屋根を打つ雨音だけが、静かに響いている。
御堂の中で、二人は向かい合って
夕食をとっていた。
しばらくして、山神さまがぽつりと言う。
「今日は、人里に下りる日ではなかったのか?」
ハルは手を止め、
丁寧に箸と椀を置いた。
「そのつもりでしたが、雨が降ってきましたので。
明日、雨があがれば里に下りるつもりです」
「明日は禊ぎの日だぞ」
「はい、分かっています。
それまでに帰ってきます」
山神さまは何も言わず、箸だけを動かした。
雨音だけが、二人の間に流れていた。
⸻
翌朝。
雨は止み、葉に残った雫が朝の光を受けて美しく輝いていた。
ハルは急いで支度を整え、
里へ下りて用事を済ませると、足早に山へ戻った。
御堂の前では、山神さまが仁王立ちで待っていた。
「……遅い」
その一言だけを、不機嫌そうに落とす。
けれどハルは慌てることもなく、
「申し訳ありません」と小さく答えると、
淡々と禊ぎの準備に取りかかった。
山神さまは何も言わない。
ただ、その様子をじっと見ていた。
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次回は3月28日に、第3話「祈りの届く山」を更新予定しております。




