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第1話 「霧の山の御堂」

山神さまは、すぐに不機嫌になる。


風も、霧も、雨も、そのしるしだ。


それを知っているのは、ハルだけだった。


山の奥、霧に包まれた古い御堂。

そこが、山神さまの住まう場所。


そして、ハルが共に暮らす場所でもある。


その日も、山は深い霧に包まれていた。


ふいに、山の空気がざわりと荒れる。


静かだった森が落ち着きをなくし、

木々が揺れる。

葉が舞い、風が渦を巻いた。


次の瞬間、

強い突風が山道を吹き抜ける。


村の子どもたちが、驚いて足を止めていた。

見知らぬ山道に、不安そうな顔をしている。


どうやら、迷い込んでしまったらしい。


ハルには分かった。

山神さまが、不機嫌なのだと。


ハルは子どもたちに歩み寄る。


「この先は危ないよ。雨も来そうだ。

里へ戻ろう」


子どもたちは、ほっとしたように頷いた。


ハルは山道を知り尽くした足取りで、

里へ続く道の途中まで送り届ける。


子どもたちの姿が見えなくなってから、御堂へ戻った。


「道に迷っただけですよ」

と、静かに言う。


その直後、森の奥で風向きがふいと変わる。


それもまた、

山神さまの機嫌のしるしだった。



御堂の横の小さな畑で、ハルは雑草を抜き始めた。


そのとき、頬に冷たいものが触れる。


ぽつり。

また、ぽつり。


空を見上げると、雨が落ちてきていた。


ハルは手を止め、くすりと小さく笑った。

お読みいただきありがとうございます。

次回は3月25日に、第2話

「禊ぎの日」を更新予定です。

よろしければ、またお付き合いください。

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