はじまりは
.
わたしの始まりは、どこかの国の普通の家族。
けど、わたしは幼くして天寿をまっとうしたというか。
普通にただの事故だった。3階から落ちて、死んだ。
痛くなんてなかった。落ちてる瞬間お気に入りのぬいぐるみを置いてきちゃったと思っていたらブラックアウト。
.
2度目は日本の少し裕福な家。
1度目のことは覚えてたせいで両親のことを上手く呼べなかったのが申し訳ない。
夢だと思うには小さいながらも思い出がありすぎて…。とはいえ流石に時間が解決してくれた。
ただ、高所恐怖症にはなってしまったけれども。
しょうがないよね。前の死因だし。トラウマである。
私は義務教育を終えて高校で勉強し、大学には行かないまま働き始めた。
本音を言えば高校でやりたいことが見つかると思っていたのだけれども全く思いつかなかったのだ。弓道なんかの大会で優勝したこともあったけれどそれを仕事にするつもりはなく。これではどこの大学に行けばいいのか検討もつかないのも仕方ない、と思いたい。
高校を卒業してからは色んなことをしてみた。
配信とかもしてみた。アニメやゲーム好きだったからコスプレしたり……お金は過去の栄光で手に入れたものを使ったり、意外と受けた配信のお金を使ってた。
ひとり暮らしも初めて、彼氏も出来た。初めての恋をした。
けど。ある日、彼から酷い裏切りにあって。
そしてタイミング悪く、本当に神様を恨みたくなるくらいタイミング悪く、私はまた死んでしまったらしい。男へのトラウマを抱えながら。
.
そして三度目。いい加減にしてほしい、そう思った。転生させるのはいいとしてもどうして、こう、記憶を持ち越させるのだろう。いい迷惑だ。
しかも今回は貴族社会らしい。服装が露出度の少ないドレスなのと、メイドが沢山いる。転生する度に常識が変わるのもいい加減にして欲しかった。有り体にいえば「ふざけんな」である。
あむあむ言うわたし…わたくし?の隣には同じくあむあむしてる…いやギャン泣きしてる赤子が周りからの祝福を受けていた。
なるほど、絢爛豪華な装飾品に囲まれているところを見ると割と大きな家に産まれたようで。
「お嬢様はとても静かですね…もっと泣くものだとばかり…」
精神年齢28歳に無茶振りはやめてくれ。
不安げなメイドが自分を抱き上げその身を揺らす。ギャン泣きしてる我が双子が見やすくなったのだが、どうやら自分の片割れは男らしい。へぇ、双子なら同性かと思っていたけどなるほど。母親らしき人物が抱き上げて喜んでるのは恐らくその子が嫡男だからだろう。そこはなんとなく女の勘。
メイドは優しくあやしてくれているが、母親はこちらを見向きもしない。
──あぁ、本当にめんどくさい。
こういう時は…とりあえず笑っとこ。
とりあえずわかったのは、私の名前は




